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トライブ紹介 FIRE【2/2】

前回に引き続き「FIRE」ついて 4. FIREのインサイトと未来洞察、5. 生活者変化行動仮説:ストレス源排除欲求の増加についてご紹介します!


4. FIREのインサイトと未来洞察

調査で分かったFIREの価値観の中でとくに重要なのが「ストレスの原因に対する捉え方」です。

FIREの多くは、仕事での人間関係が自分の人生で発生するストレスの主要な原因と考えていることが分かりました。自分の人生に上司がいる限り、クビにされないよう気を遣わなければならない、また彼らとのコミュニケーションに気を使わなければならない、ということが悩みの大きな部分を占めているのです。

そのため、経済的独立を達成したあとの生活に憧れながらも、まだ冒頭の目標額に達していない人たちは、仕事選びの際によりよい関係性が構築できる上司がいるかどうかを強く重視することで、仕事および上司との関係性から生まれるストレスをうまく軽減していました。

彼らが最終的に目指すのは、金銭的に裕福になり豊かに暮らすことではなく、ストレスのない健康的な生活を送ることであり、そのために資産運用をおこなっているのです。

ストレス軽減のためにマインドフルネスや瞑想、運動などの行為も用いられていますが、頭の中でストレス対策をしても、根本的なストレス原因となる仕事や関係性の悪い上司を排除することはできません。ストレスが発生する原因が存在する限り瞑想も一時的な対処に過ぎません。

ストレスの発生源を人生から排除しよう、その際に主要なストレスの発生源が、経済的不安であり、経済的不安につきまとうのが仕事によるストレス、特に上司との摩擦だと考えているのがFIREの特徴の一つと言えるでしょう。

5. 生活者変化行動仮説:ストレス源排除欲求の増加

今までは「人生とはストレスと付き合っていかなければいけないものであるから、ストレスに対する賢い対処方法を生活の中に取り入れよう」という考え方が主流でした。その結果として、ヨガ・フィットネス・ランニング・ハイキング・キャンプ・瞑想などの行動が人気を博してきたと整理することもできます。

しかし、FIREの考え方は「ストレスに対して真正面から対処したい。ストレス源を人生から排除するようにライフスタイルを思い切って設計しよう」と考えるのがFIREの強い動機です。そうなると、日々の瞑想や週末のキャンプでは物足りなくなります。田舎に引っ越して支出を切り詰める代わりに、気が合う上司のもとで好きな仕事をしフリーランスをすることで収入を増やし、虎視眈々と10年計画を立てて資産を形成していく。

そうなると会社でのポジションや地位などの今まで当たり前だと考えられてきた社会的な成功とは無縁の生活を送ることになります。これがFIREの求めるライフスタイルです。

これまで重視されていた収入条件の良さよりも、人間関係のよい職場で働きたいという人が多くなるでしょう。転職、引っ越し、離婚など、ストレス源となっているものを特定し、それに対応するために抜本的な生活スタイルを変える意思決定をする人が増えていくのではないかと我々は考えています。

たとえば、転職する際は業務内容と自分の生活スタイルの合致や報酬だけでなく、上司や同僚との関係でストレスなく働けるかどうかを事前にチェックしたり、引っ越しの際は駅近や築年数などの従来の条件だけではなく、天候や近隣住民の様子なども含めてストレスなく気持ちよく生活できるかという視点で不動産が選ばれるようになっていくのではないでしょうか。

さらに、ここから考えられるビジネスチャンスのひとつが、引越し、転職、結婚、進学など、あらゆるマッチングサービスでの事前のストレス度の調査です。上司との相性の確認、結婚前の支出観のすり合わせなど、マッチングを促す評価軸も変化していくことでしょう。


今回のレポートはアメリカの先進的な生活者をもとに作成しましたが、日本でも働き方の多様化が進み、収入の多さよりストレスの軽減を目指す人びとは増加していると考えられるでしょう。特に2020年のパンデミックによって、ライフスタイルを見直す人は特に増加するのではないでしょうか。その際に、FIREという特殊な考え方を持った人たちの価値観や行動様式を分析した本レポートはヒントを与えてくれると考えています。


今回は「FIRE」についてご紹介しました!
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