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ダブエスのフェリクスと黒川燈のもっと知られるべき関係性

 初めまして、しいたけです。
 少なくともnoteの上では初めましてです。
 普段自分の感情はtwitterで叫び散らかしてるもので
 noteを書くのはこれが初めてです。

 Twitterで断続的に叫ぶだけではこの衝動はとても抑えきれません。140文字しか収まらないTwitterでは足りません。モーメント等で自分の発言をまとめていてもとっ散らかりすぎて収集つかなくなりました。
 私がこの約十ヶ月間目の当たりにしてきたある関係性について語らせてください。キャラクターの本質に触れるためカードストのネタバレも含みますが、それを機にアルゴナビスやダブエスに少しでも触れてみたいと思えるきっかけになればという思いで書きました。推しバンドが他にいてあまり二人の関係性を深く考えたことがなかった人、そもそも作品をあまり知らない人でも気軽に読める構成として書いたつもりです。


 まず初めに断っておきますが私はベーコンレタスと称される男同士の関係を常日頃酸素のように吸っています。この二人に関してもそういった妄想を毎日のようにしてはいますが当note内においてはそういった思考は極力抑えております。
 腐った思考抜きにこの二人のアツい関係性を語りたいしもっと多くの人に知ってほしいんです。


【そもそもそいつら誰?】

 原作・ブシロード、開発・DeNAで送るスマートフォン向けアプリ『アルゴナビス from BanG Dream! AAside』(アルゴナビス フロム バンドリ ダブルエーサイド、通称ダブエス)に登場する25人のメインキャラクターのうちの2人です。フロムバンドリの名の通り、作品自体はスマホ音ゲーアプリの代名詞の一つともされる『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』(通称ガルパ)のプロジェクト元、『BanG Dream!』から派生したボーイズバンドプロジェクトです。
 同じバンドリ作品としてガルパと同じ括りとして語られることは多いですが、ガルパとは舞台も世界観も完全に隔てられており、ガルパの35人とダブエスの25人が絡むことはありません。
 キャラクターもダブエスは北は北海道西は長崎から集った中学生から社会人と幅広い年齢層のキャラクターで構成されており、一部ギスドリと称されるガルパとも一味違う湿度と濃度の人間関係がふんだんに詰め込まれています。シナリオの原案・脚本をニチアサやメサイア等舞台の脚本でも知られる毛利亘宏氏が手掛けており、ストーリーの質は間違いなく保証されています。
 一話一話も短すぎず長すぎず、テンポの良い掛け合いとくどすぎず読みやすい現代的なセリフ回し、多様性を重んじながら現代的かつ多角的な価値観に寄り添ったストーリーが何度読んでもクセになる。
 みんなダブエスやって!!!!!!


フェリクスと黒川燈って?

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 25人のキャラクターと5つのバンドで構成される登場人物のうち、『Fantôme Iris』(ファントムイリス)というヴィジュアルバンドのボーカルとギターの二人です。中央の金髪がフェリクス(正式名称:フェリクス・ルイ゠クロード・モンドール)、黒髪のギタリストが黒川燈(くろかわともる)です。『吸血鬼の王とその仲間たちが人間と吸血鬼の共存を目指して旅をしている』という設定の下、フェスの優勝を目指してバンド活動をしています。ステージ上ではフェリクスは『FELIX』、燈は『LIGHT』というステージネームを名乗っています。あとの三人ものちほど語りますが気になる方は公式サイトをご覧ください。(https://aaside.bushimo.jp/character/
 中高生や大学生のバンドが名を連ねる中、彼らは普段社会人として(一名を除いて)働いている、愛知県名古屋市出身のアラサーの大人たちが集った兼業バンドマンです。世界観の中の彼らも独自の設定や関係性を持っていて、ステージの上でしか見られない彼らの輝きも魅力的ですが、今回は世界観ではなく、普段の日常の彼らに焦点を当てて書かせていただきます。


【ダブエスのフェリクスと黒川燈のもっと知られるべき関係性】

二度目のテロップです。序盤に注記は載せましたが以降はネタバレの配慮はしません。ネタバレを踏まずストーリーを読みたい方はこんなnote開かずに推しを病院送りにしてストーリー読んできてください。一部フェリクスと黒川燈のカードストのネタバレもあります。

黒川燈の道の分岐点にいつもフェリクスがいる

 腐語りしないと言った傍からと思われるだろう見出しですが、違うんです。本当に燈の行きつく先、その原点にいつもフェリクスがいるんです。
 メインストーリー1章キックオフミーティング、ステージでの給血、挙げればキリがないですがフェリクスの傍にはいつも燈がいて、燈の傍にはいつもフェリクスがいます。
 物理的距離だけではありません。燈が道に悩んだとき、立ち上がり前に進むとき。そのはじまりにはいつもフェリクスという男がいるんです。

①ファントムバンドストーリー1章5話
 この二人の関係性の縮図がこれでもかと詰め込まれた、私の大好きな話です。
 黒川燈が社畜キャラとして描写されてるのは周知の事実です。ですが彼は決して仕事辞めたいわけじゃないんですよ。音楽で夢を叶えたいのはもちろんだけど仕事も捨てられない。彼の職場の問題点はあくまで上層部だけで、彼の後輩くんはもちろん、その周囲の平や彼の同僚は決して悪い人ではない。一緒に苦難を乗り越える燈の大切な仲間。そこで得た知見や経験がバンドの世界観の構築にも繋がっている。
 そんな彼の考えはフェリクスには理解できない。それでも『理解できないと許容しないはイコールじゃない』と言います。それに加えて彼は『僕はトモルの考えを否定しない。絶対にね』と続けました。

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 あまりにも重すぎません???
 実際彼それ以降もどのスト読んでも燈が本気で考えて出した結論一切否定してないんですよ。『理解できないと許容しないはイコールじゃない』ってある種ファントムのストーリーのサブテーマだと思っていて、事実燈の意思をはっきりと否定した洲崎以外の四人がこれに則って自分の両A面と戦ってるんですよ。フェリクスは燈、御劔と楠はお互い、洲崎は否定した事実と明確に理解と許容の相手が存在する中で燈だけは理解と許容に相対する相手はいません。しかしバンスト1-5で燈は『その人が決めたことを否定する権利なんて誰にもあるはずがない』と間接的にフェリクスと同じことを考えています。
 前述したフェリクスも御劔も楠も洲崎も燈も、何も特定の相手に限った話ではありません。彼らは常にどんな相手にも同様の対応をとっています。その中でもフェリクスは燈に対して『僕はトモルの考えを否定しない。絶対にね』と『絶対に』を強調しています。理解も共感もできないけど、燈が悩み抜いて決めたことをフェリクスは絶対に否定しないんです。何も考えずすべてを肯定してるわけじゃないけれど、だからこそ『トモルがやりたいようにやってみるといい』と背中を押している。そのフェリクスの後押しに甘んじることなく、燈は燈自身の意思で自分の進む道を決めている。そしてフェリクスはそんな彼のことをずっと支え続けてるんです。お互いに依存することなく、ただ自然と、燈の隣にはいつもフェリクスがいるんですよ。
 みんなとの食事を断って『トモルの話を聞く』という大事な用事を二人きりの状況でするくらいには。

②ファントムバンドストーリー4章1話

そや

 何度この話に涙したか分かりません。少なくとも私のダブエスで一番読み返したストーリーはこれと4章4話とEor曲ストと壊花です。
 真っ暗な闇の中で差した光が燈をライブハウスに誘った。その光に誘われた燈がフェリクスの心にももう一度火を燈した。この出会いが運命。(挿入歌ヒーリングっど♥プリキュアTouch!!)
 救われるだけじゃない。お互いがお互いの光に当てられ、お互いがお互いの心に火を燈した。その始まりがファントムを作り、今の五人を作り上げた。涙なしには見られません。メジャーデビュー直前の復活ライブのラスト一曲ともなれば客も相当な数がいたはずなのに、その人波を割いてフェリクスの前へ誘われた燈、言葉通りモーセですよ。ファ4章1話のスチルをよくモーセとか宗教画とか言ってますけど、あの逢瀬こそモーセなんです。
 そんなの運命以外に何があるっていうの…………
 ファ4章1話は話せば足りないですがそれはまた後述。
 余談ですが普段日本姓キャラを苗字呼びするのが基本な私が燈だけ名前呼びするようになったのもこの話がきっかけです。他のキャラを名字で呼んでいることに違和感を覚える方々もいらっしゃるでしょうがそもそも普段は私も兄弟で苗字が重ならない限り推しは苗字呼びが基本です。「」という名前があまりにも強すぎただけなんです。燈と紫夕ちゃんが特殊なだけなんです。(フェリはモンドールよりフェリの方が呼びやすいから……。)

③ファントムバンドストーリー4章4話/5章5話
 フェリクスとの逢瀬を思い出した燈は『音楽がやりたかった』ことを思い出します。名古屋の仕事を手放して東京支社の仕事のみに専念すると宣言する燈を、フェリクスは『やっぱりトモルは面白いな……』と再認識します。1章5話を彷彿とするように『トモルがやりたいようにやってみるといい』と今一度彼の背中を押す二人の信頼関係がとても印象深いです。
 4章4話は単体で見ても感動的ですが、それをより印象付けるのがファントム5章5話です。
 2章の喧嘩を謝ろうとする洲崎に燈が先に謝った例の一幕。一見平和的に解決しましたが、メタ的視点で見るとここは何一つ解決していません。そもそも夢も仕事も諦めたくない燈に対して『仕事ってそんなに大事?』と燈の気持ちを無下にする言い方をしたのは洲崎です。燈も言い過ぎたのは自覚しているしあそこでちゃんと自分の言動を顧みて謝罪はしていますが、燈も洲崎も自分の仕事の価値観を改めてはいないんですよ。そもそも数年も再就職せず自分の趣味に没頭し、それで金稼いで音楽の才能に恵まれている洲崎と、才能も何もなく努力するしかないから自分がいていい場所にしがみつくしかない燈とでは仕事の価値観が違うのは当たり前。今働いていない洲崎が仕事について何を言っても燈に響かないのも当たり前。洲崎もあの燈の言葉を受け入れるだけで自分の言動のどこに非があったかまでは現時点では顧みてないんですよ。だからこの先もどこかでまたその件が蒸し返されるだろうし、ピエロのストーリーで洲崎がそれを思い返す一幕が来るかもしれません。そもそもファ1-5で仕事で得た経験がファントムの音楽に繋がっていると燈がフェリクスに話している以上燈の仕事観を洲崎が否定する資格はないしそんな今の燈の音楽が洲崎も一番好きな以上洲崎にとってもそれが答えなのだけど。いつになったら気付いてくれるのやら。
 また話が脱線しかけましたがその膠着状態の原因を根本的に解決しようとはせず、仲直りという形であの一幕を一度消火する流れはある種『理解しないと許容しないはイコールじゃない』に結びついてるんですよね。
 フェリクスのボイスに『トモルは面白いね。大抵のわがままは受け入れてくれるのに、こうと決めたことは意地でも譲らないんだ』というものがあります。皆さんも日常バンドを別のバンドにしていてもダブエスのアプデのDL待ちでよく耳にしていると思います。
 ここの燈の「意地でも譲らないこと」は仕事でも人間関係でも、もっと言えば音楽でもなく『夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない』に尽きます。だから燈は案外フェリクスや洲崎に対しても対人関係ではそこまで小難しいことは考えていません。目の前の仕事や音楽のことに一生懸命なのでそんなことで頭抱えてる余裕ありません。2章のあれに関しては人によって様々な捉え方があるとは思うのでそれについてここで解釈戦争をするつもりはないのでご容赦ください。
 その燈が仕事のことで納得いかないこと言われたのにああもあっさり彼を許したのは彼のお人よしもあるでしょうが、それ以上に4章を通して『音楽がやりたかった』ことを思い出したからこそではないでしょうか。
 彼は音楽に対してひたむきです。だからこそ音楽をやるために仕事も捨てたくないし、才能でどうにもできないからこそ愚直に努力し続けている。そんな燈だからこそ理解はできなくとも「トモルのやりたいようにやればいい」と背中を押すフェリクスの言葉は燈にとっての道しるべそのものだし、同じバンドで活動をしていても彼にとってフェリクスはずっと「憧れ」になっているのではないでしょうか。
 そんな憧れのフェリクスが、いつも燈の行動の起点になっているんですよ。もう一度ギターを手にするきっかけになったのも、夢と仕事の両立に悩む彼の背中を押したのも、洲崎との口論を打ち明けたのも、『音楽がやりたかった』ことを思い出したのも。

 黒川燈が思い悩み、立ち上がる行動の起点のすべてにフェリクス・ルイ゠クロード・モンドールという男がいるんです。

いつもフェ

 誇張抜きに全部です、全部。ストーリー読み返せば読み返すほど黒川燈という男を知れば知るほど彼が行動起こす度その横にいつもあの自称吸血鬼の金髪フランス人いるんだもん……。黒川燈を推すに当たって彼を勉強してるふぉろわーが「黒川勉強すればするほどあのフランス国籍の男の影がチラつく」とか言ってるんだもん。くそわろたとか笑い飛ばしたくても事実そうだしストーリー噛みしめれば噛みしめるほどそれ突き付けられるし。黒川燈の矢印って最終的に全部夢と音楽に向いてるからフェリクスはその写し鏡にすぎないけど。彼の音楽の動機すべてにあの男が直結してるから必然的に彼もイコールで結ばれるところあるんだけど。それ関係なしに黒川燈という男個人の人生の起点すべてにフェリクスという男が関わってるから結局黒川燈という男を語るときに彼の存在を無視して語ることできないんですよ。私がフェリ最推しなのもあるのだけれども。

 対人関係で悩みはないとは言いましたが、1/3イベの燈のカードストにもあるように彼はバンド内である種の劣等感を感じています。世界観の構築や作詞担当のフェリクス、作曲担当の洲崎、衣装作りやカフェ経営で頑張ってる楠にメイク担当の御劔とそれぞれバンド内の役割が確立されている中で、自分だけがギター以外でファントムの役に立てていないと悩みを抱えている。人間関係のことのように見せかけて結局自分のことで悩んでるんです。それもバンドのことで。どこまで音楽とバンドに実直なのこの男。
そんな燈の悩みを聞く楠の話の中で突然フェリクスが舞い込んできます。骨董品のシャンデリアを衝動買いしたフェリクスを叱って一緒に返品に向かう燈を目に楠は
フェリクスのお目付け役をできるのは燈くらいのものだ
 と零します。
 盛大なのろけを繰り広げられたという腐女子の溜息はともかく、あまりにもこの一幕強烈すぎるんです。誘惑イベで燈は常人には理解できないフェリクスの言葉を訳し、自分の解釈とすり合わせつつ周囲に彼の真意を伝える役目を担っていました。
 普通の人ならまだしも、御劔でさえも分からないんすよ。フェリクスとはもう十二年ほどの付き合いがある中で、彼や楠でさえもフェリクスの言葉を読み解くことはできていないんです。

 フェリクスは四年前まで御劔やローディの楠と共に別のバンドを組んでいました。作中内ではメジャーデビュー直前までいったこと、『面白くないから』と復活ライブで解散宣言をしたこと、フェリクス個人のトラブルが解散の一因となったのではないかという御劔の杞憂、燈がかつて二人のファンだったことが描写されています。一見フェリクスの横暴が前盤を解散したように思えますが、今一度作中文脈を読み解きます。
 まずフェリクスも前盤の彼らが元々気に入っていなかったはずありません。それこそ作中でフェリクスがファントムを捨てるかもしれない未来を匂わせるたび私たちはファントムを彼ら五人以外にありえないと胸を張って言えますが、それは当時の彼らや燈とて同じだったはず。今のファントムは結成から四年ですが、楠のヒストリーから彼らの前盤も活動年数は休止を含めてファントムと同じ四年間だったことが分かります。その四年もの間、彼らの中にフェリクスの真意を読み解けた人間がいたのでしょうか。御劔や楠ですらお手上げ状態の彼に待ったをかけ、ハッキリと自分の意志を伝えられた人間がいたのでしょうか。
 楠の言う『フェリクスのお目付け役をできるのは燈くらいのものだ』は一見作詞や作曲、活動を支える表立った役割とは違う。それでもフェリクスの意思を読み解き、言葉を訳し、彼にはっきりと待ったをかけられるのは他の誰でもない、燈にしかなしえない所業です。

番外編①:ランガンラン楽曲ストーリー
 ここで一度羽休め。椿をモチーフとしたフウライ楽曲ストーリー。憧れに近づくためひたむきにギターに励む彼にフェリクスが力を添える形で、最終的に彼の成長へと繋がるお話。頑張る椿と椿のために頑張る神ノ島がとってもかわいい心温まるお話。
 そんな中でも彼はさらりと爆弾落としていきました。椿と合流した神ノ島に対して「そろそろトモルが探しに来る頃だしね」と言い残して去って行きます。
 この一言だけで二人の信頼感がこうも垣間見えることありますか? 諸突猛進でひたむきに頑張る椿を迎えに来る神ノ島と同じように、すぐふらふら勝手にどこかに行くフェリクスを迎えに行くのもまた、いつも燈で。すぐふらふら勝手にどこかに行くのもフェリクスとしては意図的にやっていることだし、彼もまた、どこに行っても必ず燈は自分を探しにやってくるのだと信じてる。あのあとまた燈を振り回そうとどこか別のところに行っているかもしれないけれど、それでもこの話のメインである椿と神ノ島の二人が巡り合えた一幕を挟むことで、燈もまたフェリクスを見つけ出せたのだろうという暗黙の了解を自然と私たちは読み解けるのです。

 これは余談ですがスピンオフ漫画『ファントムごはん』の作者のさおとめ先生が非公式の落書きでステージからいなくなったFELIXを探して(夢の中で)奔走するLIGHT(燈)のイラストを描いています。非公式とはいえファ飯の作者たる先生も『フェリクスを探して奔走する燈』の作中文脈をしっかり読み取ってくれていてひそかに嬉しい。

番外編②:End of reason楽曲ストーリー
 ラガラでも話した『フェリクスを探して奔走する燈』に対して、『それで辛くないのか』という問いかけが初期収録ストにしてここでしっかり回収されています。
 見ての通り燈は絵に描いたような社畜キャラ。普段から仕事に明け暮れ、バンドの練習や体力づくりに励み、その上その辺ふらふらどっかに行くフェリクスを探して。兼業バンドマンなだけで大変なのにそれで辛くないのか。鞍馬にしては至極真っ当な問いかけをします。
 先ほど話した2章の洲崎同様、彼の仕事観に関しては人によって賛否両論だと思います。私も一年前彼と同じような環境に置かれた身内を知っているからこそ、彼に転職してほしいといった声も理解できます。その上で作中では洲崎がしっかり彼に同様のことを言っているため、シナリオとしての文脈バランスはしっかり取れているものとします。少なくとも私の中では。
 しかしここで重要なのは彼の仕事観の是非ではなく、彼自身が夢は諦めたくないし仕事も捨てたくないと明言していることです。お金のためでも上司のためでもない。そこで得た経験や仲間との繋がりがやがてファントムの世界観の構築にも繋がっていると思っているからこそ、彼は仕事も夢のために簡単には捨てられない。そうフェリクスに話している。
 それがこの鞍馬への答えに繋がっているんです。仕事のことを直接匂わせたわけでもないけど、フェリクスは自分の憧れであり、自分が悩んだ時もいつもフェリさんに助けられていると心の中で回顧して。振り回されて嫌になったりしないのか聞かれても『そんな風に考えたことはないなぁ……』とあっけらかんと否定して。
 憧れのフェリクスと出会い、夢を追いかけるのは大人になってからでも遅くはないと励まされて。彼との出会いで勇気をもらい、もう一度バンドをやろうと、空を飛びたいと思うようになったと再認識して。
 そして燈の肩甲骨を捥ごうとした鞍馬をフェリクスが止めに入りました。いつも燈が来るのを待っているフェリクスが自ら割って入ったんです。いつから話聞いてたのこの人。下手すれば燈の惚気話も陰でこっそり聞いてたかもしれないし。
 一度トモルに免じて身を引いて別れたのにわざわざ燈を引き剥がしてまで牽制に戻ってきたのは言うまでもないけどまず〝トモルに免じて〟って僕自身は引き下がりたくないってハッキリ意思表示してるこの男~~~~~~~~!!!!(ヴィジュアルのニューウェーブ)

 色々様々な感情が行き交うダブエスのストだけど、フェリがここまで負の面で感情的になっているストって本当にEorくらいで。
 洲崎の不幸も面白がって笑ってるし、Into the Flame曲ストで燈の後輩くんのために洲崎を(後輩くんの)車に当たらせに行くし、洲崎が攫われても面白そうなことってテンション上がってるし。洲崎を助けようと御劔楠が戦ってる最中燈の横で野生オスの本能止まらないとか書いてるし。お化けが怖くて本気で嫌がってる楠を連れて事故物件に泊まろうと目を輝かせるし。列挙すればキリがないほど己の好奇心が赴くまま生きてるこのフランス産自称吸血鬼、武力をチラつかせて洲崎を浚った族でさえ寛大な心で新たな眷属として迎え入れてるのに。
 燈を傷つけた鞍馬に対しては『これ以上トモルを巻き込まないでほしいね』とハッキリと牽制していて。トモルに免じて一度身を引いたのにトモルを遠ざけた上で牽制しに戻ってきて。バンストの項目で書き損ねたけどファ3-1でも燈を宇治川との積もる話に巻き込まないよう遠ざけていて。Eorの鞍馬と燈の因縁を長い付き合いの御劔にも話さずにいて。
 もう、もうホントに。

 お前は燈のなんなの……????


【フェリクスと燈、幼少期に会っていた説】

 妄想乙と笑われるのは承知の上です。
 でも本当にオタクの妄言でもなければ捏造妄想でもなく、公式から提示された文脈を読み取った上で考えられる可能性のひとつです。

 事の発端はファントム4章3話の開示と共に現れるフェリクスのヒストリーの項目のひとつ、「新たなバンドの構想」です。
 そこにははっきり、

燈との再会から、テーマを吸血鬼とする。虎春、大門を新たなメンバーに誘う』
 と記されています。

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 〝燈との再会〟と記されているんです。

 知っての通り燈にとってフェリクスは憧れのバンドマンであり、自分をここまで連れてきてくれた恩人です。前盤時代からのフェリクスのファンで、当時からずっと彼のことを慕っています。
 しかしそれはバンドマンとしてであり、燈はフェリクスの私的な内情のことまでは当然ながら知りません。燈のヒストリーにもそういった記述はなく、ファントム加入までの流れが書いてあるのみです。

 一方フェリクスはこれまでの他と燈への僅かな接し方の違いを見ればこの〝燈との再会〟の文面もしっくり来るんです。フェリクスのヒストリーの項目を見ると上京前の彼のヒストリーの空きは誕生~6歳、7~11歳が空いています。もしバンドストや曲ストでこれらの伏線を回収することでヒストリーが埋まるなら、この項目のいずれかにそれらを当て嵌めることができるかもしれません。燈も3~小学校入学までに空きがあり、このいずれかにこれが記載される仮定すると、フェリクスが7歳、燈が5歳のときにふたりがなんらかの形で会っていた可能性もゼロではありません。御劔がバンド結成の話が持ち上がったときフェリクスと燈を「初対面」と言っていたことから、少なくとも御劔といた前盤の活動でフェリクスが私的に燈を意識する出会いがあった可能性は低いとみるべきでしょう。
 日本とフランス、おまけに内気なフェリクスとフランス語など嗜みのない幼き燈にどう接触の余地があるかと言われると、そこは妄想や拡大解釈の範囲になってしまいます。もう既に作中や楠のヒストリーで記されているとはいえ楠パパの件もあるのですべてがこの通りにいくとは限りません。
 しかしフェリクスとの出会い云々は抜きに、燈がかつて旅行でフランスに訪れていたことを示唆する物的証拠はあります。

 グループチャットトーク(L○NE)動画の燈のアイコン画像です。

【Fantôme Iris チャットトークルーム】
9月21日(月) 11:23
https://twitter.com/AAside_INFO/status/1307867896543141889?s=20

 燈は中学時代写真部に所属しており、今なお写真を趣味にしています。
 そしてこの燈の画像、決してダブくん運営がネットに溢れる絶景写真のうちの一つをテキトーに買ったというわけではないんです。
 この写真、検索に検索を重ねたところ、ある一枚の写真と照合することができました。

燈のLINEアイコンM

 フランスのボルドー地方にあるサン・テミリオンという町です。

 このブログでこの項目を書くためだけにわざわざお金出して買いました。決してスクショ・転載等はしないで下さいね。
 風景写真をアイコンにしてる子は他にもいるし、こんな一分程度の動画のために風景写真を設定するならそれこそブシ○ードのスタッフの持ち寄った風景写真を使うのでもいいわけで。
 それでもあえて、「フランスの写真」を燈のアイコンにしてるんですよ。フェリクスじゃなくて燈が
 パリではなくボルドー? と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、ボルドーは近年フランスの若者が住みたい街としてパリを上回り首位を獲得しています。都会と自然が共存しあう、穏やかで過ごしやすい街として注目が集まっているようです。ワインの生産地としても有名でサン・テミリオンはその中でも赤ワインのみを生産しているところです。
 そもそもフェリクスの出身がフランスのどこなのかという疑問に立ち返ったとき、パリではなくボルドーではないのかという疑惑が私の中であります。
 ダブエス内イベント『星空パレード』の☆3配布フェリクスのカードストでは彼が兄のジルベールに連れられ、二人でピレネーに星を観に行ったことが記されています。しかしこの当時のフェリクスを7歳程度と仮定するとジルベールは16歳。いくらジルベールが母親代わりになっていた(フェリクスは生まれたときに母親を亡くして父子家庭だった)としても、子供二人でパリからそんなに遠くへ行けるのかといった疑問が出てきます。しかしボルドーなら片道電車3時間と行けない距離ではありません。おそらく実家はパリにあると思っていますが、それとは別にボルドーに別荘を構えている可能性はこの説を抜きにしてもあると思います。
 話がそびれましたがもしフェリクスと燈の出会いが幼少期だとしたら、フェリクスが来日するきっかけ自体「楠父の故郷だから」だけではない可能性すら浮上します。しかも(初めての出会い自体がどういったものかはさておき)燈は当時のことを覚えていないように見えるのに対して、フェリクスはファ4-1で燈の名を尋ね、
トモル……そうか、やっぱり……フフ
 と零しています。

そや

 この言葉の真意は未だ解せませんが、もしあの一幕の背景にそんな過去があったならと仮定して考えてください。

 これを運命と呼ばずして何と呼びますか?


【僕がここにいるのは君の】


 前説不要。この言葉がすべてです。

 ダブエスでは誕生日のキャラクターに対してバンドメンバーがお誕生日限定ボイスを送ります。ストーリーを彷彿とさせるボイスや誕生日に何を送ろうかなどを考えるキャラクターの素敵な一面が伺えるものです。
 2021年4月12日、黒川燈の誕生日。事件は起きました。

僕君

トモル、誕生日おめでとう!
 僕がここにいるのは君の……いや、これからも一緒に
 美しい音楽を奏でていこう

 フェリクスは彼のキャラスト『フェリクスと蓮』にて七星に対し「『好きなものは大事にすること」、「『好きであることをちゃんと伝えること」の重要性を『伝えられるうちに、ちゃんとね』と自らの経験談を匂わせるような形で説いています。
 ダックリバーや鞍馬、前盤が関わる話ではどうしても話したくない過去や紫夕ちゃんとの件があるから言えないのだろう、と察することができました。
 他にもEx4章では「(フェスで)優勝できなくてもバンド解散したりしないか」と問いかける洲崎に対して彼の肯定してほしい気持ちを察しながら(参照・フェリクスのヒストリー)も確約できない未来を安易に肯定しない口の重さから「今はまだ何も言えない」と言葉を濁すほかありませんでした。
 そのフェリクスが、燈に対してはこんなにも大きな感情をぶつけているんです。燈に対しては何も隠し立てする必要ないのに、それを言ったところで何かが深刻な事態が起こるわけでもないのに。彼が「好き」って感情を直接伝えられないほど、燈に対して大きな想いを抱えているんです。
 余談としてダブエスはTwitterのプロモーションも幾つか打ち出していましたが、その中で公式はフェリクスと燈の二人をピックアップしたプロモの動画を出していました。問題のセリフが出てくるプロモは他にもあったはずですが、遥か昔過ぎて保存してたはずのブックマークも埋もれすぎて見つからないのでフォロワーさんが見つけてくれたプロモを備忘録に残しておきます。

【アルゴナビス from BanG Dream! AAside】
随時、楽曲追加やイベント開催中✨
https://twitter.com/AAside_INFO/status/1375284499718672386?s=20

 見ての通り燈は今も該当ストーリーを読めば拾えるセリフですが、フェリクスのセリフは
トモル、僕がここにいるのは君の……
 となっています。プロモに収めるためとはいえ、ここまで明確に該当のセリフを絞ってきました。もう今じゃ見ることも聞くこともできない、ましてやフェリクスの誕生日ボイスでもない、燈の誕生日の4/12にしか聞けない限定ボイスをフェリクスの象徴的セリフとして引用してくるダブエスくん、あまりにロックすぎる。
 これ公開されたの少なくとも私が最初に確認したプロモだとファントム4章や壊花スト公開前で燈の誕生日から一ヶ月も前なんですよ。これを聞けと言わんばかりにはりきりすぎて一部のオタクを直球でころしに来るダブくんのパーティワイルド☆5五枚で埋め尽くされてる。誰もここまでしろって言ってない。超ありがとう。本当大好き。

 また『僕がここにいるのは君の』に気を取られがちですが、その後の『これからも美しい音楽を奏でていこう』もしれっと激重感情込めすぎてる。Ex4章の洲崎に対して確約できない未来を安易に肯定しなかった彼が。キャラスト『フェリクスとフェス』で御劔に対して「(面白くなくなったらバンドを)捨てるだろうね」と言っている彼が。
 燈には。『これからも美しい音楽を奏でていこう』と、先の分からない未来をはっきりと肯定している。

 イベスト『壊れた世界の花』のフェリクス☆4カードは「孤独な花」。エリカの花言葉となっています。エリカの花言葉を親密ではないかと予想する燈に対し「まったく逆の意味だよ」と言い切る彼の言葉に涙したあの日は今も忘れない。ラン様の重厚なお声が乗っていたら今も寝込んでショックでツイ廃やめてたかもしれない。
 そこでフェリクスはそこから自分を裏表のない男だとしながらも、裏側を見せていないだけとか? と探る燈に対して
『……あるいは、見せているのは裏側だけかもしれないよ
 と答えました。

 さらに今回のイベント『Spooky Halloween Night』の☆3報酬の白石万浬のカードストにおいて、ステージと日常でオンオフを分けているフェリクスを指した白石に対し
『そう。ただし……どちらが『オン』の顔なのかはわからないけどね
と発しています。
 普通にストを読めば白石のような考えに至るのが当然ですが、壊花フェリのカードストを読んでいるといないのとでは彼のこの言葉の受け取り方は180°変わるといっても過言ではありません。


 フェリクスに限らずこのバンドは御劔も楠も洲崎も秘密と知られたくない過去を抱えています。(洲崎の『知られたくない秘密』に関しては今イベストとJanus楠カードスト参照)
 燈だけが何もない、まっさらなありのままの彼と言ってもいい状態です。

 フェリクスは紫夕ちゃんやダックリバーとの確執も抱えており、鞍馬との因縁も未だ収まったとは言えません。知る余地もないはずの御劔と楠の棘を知っており、Janusストで意図的にそれを刺激し楠の『本当の自分』を曝け出そうとする様は、形は違えどイプシ5章の紫夕ちゃんと同様の行為ではないでしょうか。
 それでも配信夜会アンコール銀の百合で『僕らがそうだったように君も変われる』でお互いを見据えていたFELIXとLIGHTが、フェリクスと燈であることもまた事実です。フェリクスのスキルアップボイスの『僕はいつでもなりたい自分さ』も、もしそこに燈からの憧れを含んでいるならば、それこそフェリクスにとってのFELIXは彼にとっての『なりたい自分』に他なりません。
 そこに拡大解釈の先ほどの「幼少期にふたりが出会っていたとしたら」。これを重ねたとき、膝から床に崩れ落ちたときの記憶は鮮明に覚えています。

 フェリクスがまだこの先どんな隠しごとをしているか定かではありませんし、幾つものストで匂わせているように、いつフェリクスがバンドを捨てるときが来るかもわかりません。
 それでも、フェリクスがどんな秘密や過去を背負っていたとしても。
 燈に誓った『これからも一緒に美しい音楽を奏でていこう』だけは、絶対に背を向けるようなことはしないでくれと願うフェリクスのギャの記録であります。少しでもこの二人・モーセ組の魅力に惹かれた方が祈ることを願って。
 フェリクスと燈に限らず、この作品にはまだまだ語りたいキャラクターや関係性の魅力がいっぱい詰まっています。これからもTwitterではまとめきれなくなった際定期的にnoteも更新していこうと思うのでよろしくお願いします。

追記(21/11/1)

 皆さんこんばんは。想定以上に早い追記でした。次の供給があった際は別の新規記事にまとめるつもりでいたのですが、今回は追記する内容がこちらを前提にした方が早いためこの記事に追記させていただきます。

 さて、待望のメインスト5章が追加されましたね。
 フェリクスと紫夕ちゃんを巡る過去と今、そして紫夕ちゃんと七星、イプシのこれからが描かれたストーリーです。
 5章については他にも語りたいことはありますが、今回はフェリクスと紫夕ちゃんの過去、そしてフェリクスと燈の『運命』についてまた新たな考察材料がありました。

 メインスト本編の流れは読んでの通りですが、私が着目したのはメインスト読了後に開示されるフェリクスのヒストリーです。
 フェリクスは紫夕ちゃんの過去の接触者ということもあり、今回のストーリーでも大きなキーマンとなっています。そのため大半のキャラクターは『上京後』に新項目が追加されていますが、(私の確認が正しければ)フェリクスのみ『上京前』にも新たな出来事が追加されています。

【上京前】

24歳 宇治川紫夕との出会い
会社に訪れた際に紫夕と出会う。孤独な様子が
自らの幼少期と重なり、放っておけなくなる
24歳 宇治川紫夕との出会い
本社を訪れるたびに紫夕と話すように。
孤独な彼の救いになればと音楽の作り方を教える

【上京後】

結果発表前
結果発表が行われる会場に向かう。
メンバーに不安を感じさせないようにふるまう
結果発表
ジャイロが1位であることを知り、当然だと
感じつつ、次回は負けないと心に決める
リーダー会議
イプシ以外の各バンドのリーダーを集める。
そこで紫夕のことについて蓮に話す
過去に触れる
紫夕と自分の過去についてみんなに話す。
後悔と期待を込めて、蓮を見つめる
後悔と懺悔
蓮とぶつかる紫夕を見て心底驚く。
何もできない自分に不甲斐なさを感じる


 七星が出会ったときの紫夕ちゃんには既にフェリクスに教わった音楽があり、父に認めてもらうために培ってきた音楽は七星をも魅了しました。七星が紫夕ちゃんに想いを伝えられるのも音楽があるからですが、フェリクスが出会った当初の彼にはそれすらなく、父にeyeを向けてもらうための手段すらありませんでした。だからフェリクスが七星のような存在になれないのは当然ですし、何もできない自分に不甲斐なさを感じるしかなかった。
 今イベストを読んでフェリクスが紫夕に対して距離を置きすぎではないかといった意見も見ましたが……。イプシ5章5話の鞍馬、壊花鞍馬カードストの紫夕の「(フェリクスとの過去)思い出したくもないわ」、今のフェリクスが紫夕に一線を引いている事象を照らし合わせれば……。フェリクスが彼に『(君の音楽を聴けば)きっとお父さんも褒めてくれる』といったことを言ってしまい、その自責に駆られているかもしれないと推察するのはそう難しいことではありません。事実当時同じく孤独に苛まれていた彼はジルベールや楠父、そして音楽を通じて世界が広がったためその言動を槍玉に上げてフェリクスを責めることはできません。誰かの救いは誰かの孤独であり、立ち位置が変わればそれは正義にも悪にも、希望にも絶望にもなりえるのですから。
 ここで一度フェリクスの来歴を振り返ると……Twitterで開示されたフェリクスの履歴書ではフランスのリセ(高校)を卒業してから御劔に勧められて25歳でなったはずの語学講師一本でここまで来たことになり、18歳で来日してから25歳になるまでのフェリクスに空白期間が出来ています。もしや働かずバンド一本でここまで来たのかとも思いましたが……。もしそうならもっと早く御劔が職を紹介しているでしょうし、高卒で来日した貴族家系の次男が手に職も付けずに六年も名古屋のインディーズV系バンド一本で暮らしていたとは(そうなるとフェリ様が六年もニート生活していたことになる(現在の洲崎のニート歴より一年長い)ので公式がそんな形でフェリ様の威光を霞ませるとは)考えにくいです。
 導き出される結論としてはフェリクスは元ダックリバーの社員であり、(純粋なネタバレ防止もあるでしょうが)宇治川パパとも揉め事を起こしその経歴を消されてしまったのではないか、という可能性です。ヒストリーの会社、本社という描写からも決して突拍子もない話ではありません。フェリクスが実際にダクリバの元社員であったか否かはともかく、少なくとも彼の前盤のメジャーデビューを後押ししていたのはダックリバーであった可能性は限りなく高いと思われます。イベスト『壊れた世界の花』の『僕個人のトラブル』とはこの紫夕ちゃんやダックリバーとの揉め事を指していたのではないでしょうか。紫夕ちゃんのヒストリーでは彼が「お遊び」を始めたのは8歳からとありますが、24歳のフェリクスと交流を始めた当時の紫夕は7歳。こちらは私のフォロワーさんの考察ですが、もしかしたら紫夕の初めてのお遊びの「玩具」はフェリクスだった、ということはないでしょうか。それでなくとも壊花でフェリクスが言っていた『僕個人のこと』が紫夕ちゃんやダックリバーとの件を指している可能性が高い以上、フェリクスから御劔楠以外のメンバーが離れていったこと自体、紫夕ちゃんの『お遊び』が原因であった可能性も容易に想像がつきます。

【追記】(2021/12/31)
 こちら名古屋時代のフェリクスの職業予想として元ダックリバー社員ではないかと推察していましたが、すべてのヒストリーが明かされた今でも彼の名古屋時代の職業については明かされないままでした。重要な転機となる項目はヒストリーに明記されており、フェリクスの履歴書に目を通しても18〜24は大学や院、その他職業に就いている記述はなかったため、おそらく25に御劔に職を紹介してもらうまでフェリ様が無職であった可能性が最も濃厚となってしまいました
 まさかのマジで洲崎より一年長くニートしてた現実に例の燈ヒストリー公開と併せて二重の意味で頭が痛くなっておりましたが。まあ現実的に考えると就労ビザ取得までに時間かかったんだろうなって思います。運転免許やフラワーアレンジメント検定はともかく、語学や音楽や花とも縁のない日本史2級を取得してるのがそれのために勉強してた名残だと思うとちょっとかわいい。ジルベールの来日がフェリクスより先か後かは未だ読めませんがもし後だとして楠に断られてたらこの人名古屋でどう暮らすつもりだったの。ヒッチハイクならぬヒッチハウスで女の家転々としてた世界線があったらどうしよう。吸血鬼は招かれた家にしか入れないからないことを願うばかり。

 自分と似た境遇の子を余計に孤独に追いやり、かつての仲間の声はもう聞こえない。長年苦楽を共にしてきた御劔や楠にさえ心を曝け出すこともできず、あの復活ライブにして解散ライブに臨んだフェリクスの胸中が如何なるものであったか。考えるだけで頭が割れそうです。
 紫夕とも、彼の父とも、ダックリバーとも決別した。自分から離れていく仲間。唯一寄り添ってくれる友人にさえ、本当の真実は話せないまま。
 どうしようもない孤独と絶望の中復活ライブで解散宣言を出し、叶うかも分からない『いつかまた』を誓おうとしたフェリクスに真っ先に『なんだそれ』を突き付けたのは──。ここまで言わずとももうお分かりですよね。

 あまりにも。あまりにも切なくて。こんなことがあっていいのかと胸がはち切れそうで。あのときのフェリクスの目に飛び込んできた燈がどれほど眩しかったか。燈がフェリクスに対して『もう一度火を灯してくれた』と感謝の念を募らせているけれど。そのフェリクスが。どれほど燈が炎を燈してくれたことに想いを募らせていることか、黒川燈絶対気付いてない。フェリクスの過去は燈との初めての出会い以外大方想定通りに進んでいるけれど。実際公式に答えとして突きつけられるとこんなに計り知れない感慨に包まれるものなのだなと改めて日々実感しております。
 お互いがお互いに火を燈している、というのはファントム4章から毎日のように話している通りですし、そんな二人の様をよく私と一部の眷属フォロワーで放火魔と言ったのも記憶に新しいけど。ピエロ1番の歌詞で彼を『火薬師』と指す王を目に、ようやくすっと胸に落ちました。

 トップオタじゃん……。

【追記】21/12/31
 以前、こちらの項目を空耳で火薬師だと思っていたのですが、ピエロ歌詞が公開されたことによりここが「まやかしの笑み」であることが判明しました。こちらの項目に関しては完全に誤った情報となってしまったのですが、たとえ空耳だろうと黒川燈の代名詞に「火薬師」と使うことがとても気に入ったのでこの空耳には実に棚ぼたです。(少なくとも放火魔放火魔言ってるよりかはよほど社会性あるから……)


 これはフェリギャとしての拡大解釈となりますが、ファントムのカバー曲のひとつに『the WORLD』があります。ダブエスではオリジナル曲だけではなくカバー曲ですら歌詞の文脈をストーリーに絡めてくるイベストもあります。中にはこのストーリーを書くためにこのカバー曲を選出したのではないか、と思うほどのクオリティのものまであるほど。ニルヴァーナやunravel等が特に顕著ですね。当然キャラ像を構築する前の初期に選曲された楽曲もあり、オリ曲イベの繋ぎとしての役割も伴っているため、すべてのカバー曲がそうというわけではありません。しかしこちらはリリース時点で実装されている初期曲のため、特にイベントストーリーで明確なモチーフが暗喩されているわけではないのはダブエスをプレイしている皆さんはご存じの通りかと思います。
 話が脱線しかけましたが、そんなカバー曲にも比重を置いているアルゴナビスプロジェクトが10月中旬頃に開催したリアルライブ・カバーフェスティバル。そこでファントムが披露したのは『1/3の純情な感情』、『the WORLD』、『誘惑』でした。このうち1/3、誘惑はそれぞれ燈と御劔がバナー(主役)となるイベントの曲です。このとき登壇したファントムのキャストはランさま(FELIX/フェリクス役)冬真さん(LIGHT/燈役)Satoさん(HARU/虎春役)だったため、1/3と誘惑の選出はそれに合わせてと考えられます。しかしFELIXのイベ曲となるニルヴァーナではなく、the WORLDを選んだのはthe WORLDもFELIX(正確にはフェリクス)をイメージしたカバー曲だったからではないかとも取れます。
 それを仮定してこの曲の歌詞を紐解くと、Bメロの『どうして? 僕は壊れた救世主(メシア)?』という歌詞が印象的に映りませんか? メインスト5章、ヒストリーの『何もできない自分に不甲斐なさを感じる』を踏まえた今だからこそはっとさせられる歌詞です。当然カバー曲なのですべてがキャラクターとリンクするわけではないのは承知の上です。しかしそれを踏まえた上での『広がる闇の中交し合った革命の契り』『いつか僕が見せてあげる光り輝く世界を』が何を意味するのか。考えた瞬間泣き崩れてしまいました。

 そしてこれを踏まえた上でもう一度考えさせられたのは『Into the Flame』です。こちらは明確に燈をイメージして作られたオリジナル曲。Into the Flameはヒストリーでは燈と課長の一件からインスピレーションを受けたフェリクスが作詞をしたとあります。実際に歌詞も世界観に沿ってはいますが仕事と夢の板挟みに思い悩む燈が綴られています。

 これはまた個人の音楽の感性によるものだとは思うのですが……。メタ的視点で見るとランさま曰く『Into the Flame』は銀百合やセラヴィ等より早く、ファントムで最初に収録されたオリジナル曲だそうです。当時はランさまも楽曲制作陣もFantôme Irisの音楽性を決めきれず、様々な形で模索していたとインタビューで答えています。なので他のオリジナル曲はキャラやコンビ等明確なモチーフがあっても最終的には「ファントムの曲だ」と感じる構成のように思えるのですが、Into the Flameは他の曲と比較しても良い意味で少し毛色が違う気がするんですよね。SOLでこれを初めて聞いたとき、良い意味でファントムの曲でもV系の曲とも違う、「黒川燈の曲だ」といった本能的直観を覚えました。
 経緯こそ少し特殊なのですが、その背景がより「フェリクスが書いた燈への応援歌」という側面を際立たせているように思えるのです。

 ですが……そもそも仕事と夢の板挟みにされていても、燈はあの通りなので基本未来をどうすればいいかで思い悩むことはありません。頑張るしかないので。目指すべき目標もそれに向けてどう仕事と向き合うかも割と初期から明示されている燈が『どこかに僕が目指すべき何かがあるのだろうか』と、教えてくれと嘆くはずがないんです。ましてや燈がスマソリュ2年目で「真っ暗な日々の中で〜」とすっかり意気消沈していたとはいえ『孤独な夜に何もかもが終わればいい』と願い涙するのも妙な話であり、夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない燈に対しフェリクスが『忘れていい』なんて歌詞を綴るのかという疑問が時折私の頭に浮かぶようになりました。

 しかし、しかしですよ。
 Into the FlameのCメロ〜落ちサビの歌詞が『フェリクス視点の燈の生き様』ではなく、『フェリクスから燈への独白』だったとしたら。
 この歌詞の点と点がすべて線となって結び付くんです。

 フェリクスはエリカであり、孤独の花で。教え子も彼の父もかつての仲間も離れていった壊れた世界の隅っこで、果てのない空を見上げるしかなかった。
「いつかまた」を誓いながらも何をすべきかも分からず『どこかに僕が目指すべき何かがあるのだろうか』と教えてくれと嘆いても答えなど見つからなかった。
 そんなフェリクスの人生に二度も火を燈してくれた恩人にその過去を告げることなく『願い涙したことはもう忘れていい』と彼の背中を押して。
 何もかもが終わればいい、壊れた世界の隅っこでそんな孤独に押し潰されながら解散を告げたフェリクスの心に、運命の彼はもう一度火を燈してくれて。

どうせいつか燃え尽き消えてしまうのならば未練も後悔も全部綺麗に焼き尽くして、って。

 Cメロから落ちサビにかけて明らかに曲ストの範疇では収まらない、フェリクスから燈への個人的な私情が綴られているんです。ラブレターか何か?

 そんな強すぎる想いを下手したら20年近く抱きながらも、彼未だ『僕がここにいるのは君の』を告げられていないんですよ。

 もう、もう……。

 私ブロマンスでも見せつけられてるの……?


【追記】2021/12/31
 こちらを執筆したのは同年10月頃のため、現在ヒストリーが完全に明かされた今はこちらに記載した内容も一部公式文脈との矛盾があります。当時の推察の歩みとして楽しんで下されば幸いです。

 現在ダブエスにてすべてのヒストリーが明かされた情報を元にした最新の記事は【https://note.com/see_take_n05n05/n/n7d81efff98ff】にて執筆致しました。もしよろしければ気が向いた際に読んでください。

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