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四国八十八ケ所 約1200km通し歩き⑨遍路転がし、道を間違え足に激痛が。もう歩けないかも。21番太龍寺。7日目

 とうとう夜が明けてしまった。本日は、また遍路転がし。怖いよぅ…。

 一昨日一緒に歩いたH氏は、本日私が宿泊する地よりも、10km以上先まで歩くとの事で、先に出発され、ああ、もう会う事も無いんだろうなあ、と思いお別れの挨拶をする。(が、なぜか、この先、偶然再会する事になりまして。お遍路あるある。すごいタイミングで、いろんな人と、ばったり再会するんです。)

20番鶴林寺への遍路転がしを登って降りて、21番太龍寺への遍路転がしを登り寺に到着。

あれ?これが遍路転がし?

何だかあっさりと昼には21番に着いてしまうが、寒さが半端ない。あちこちのバケツの水が凍っているし。こんな所でお昼食べたら、凍傷になってしまうので、早く山を下りよう!と先を急ぐ。

下山し始めて50分。ずっと車道で歩いていてつまらないし、でも何だか変だ。

もっとこう、遍路道っぽい所が続くはずだったような?と、地図を見てみる。

私は今、どこにいるのだ?

そして発見する。

違うじゃん!ここ、私が歩きたかった遍路道じゃないじゃん!ただの車道じゃん!つまんないじゃん!うわーん道を間違えちゃった!遍路道を歩きたいのに、もう50分も車道の坂道を下ってきちゃってる(泣泣泣!)

さあ、どうする?ここからさっきの寺まで登り返すと約1時間に加え、そこから22番平等寺まで、約10km。2時間半。合計3時間半?寺が閉まる17時までに間に合うのか?

というか、別にこのまま山を下りて車道を歩いていった方が多分楽なんだけど。

けど、車道歩いてもつまんない。私っ!遍路道が歩きたいの!そして、次回?、また来て歩く機会があるのか?いや、多分無いっしょ!これは、さっきの寺へ戻るっしょ!

しかし私は、ここで、人生の決断を下す事の難しさを知る。

割と元気に遍路転がしを登り終えたけど、それなりに疲労が積み重なっており、ここから急いで1時間、寺まで登り返して、その先何時間も歩くのって本当に大丈夫か?疲れ果てて後悔しないか?辛くならないか?馬鹿な道を選んじゃったと泣くことにならないか?

お昼のおにぎりを車道で食べながら、揺れる乙女心にクラクラする。でも今選ばないと。この車道で止まって、ずーっと迷って時間を過ごしていても、何一つ良いことは無い!

ここで、私は自分を秀吉だと思うことにした。本能寺の変を聞いた秀吉は、毛利と相対していた中国地方から、大返しして明智光秀を討ったのだ!

山道を登り返す事を決断した私、秀吉は、もう迷う事をやめた。後のことなぞ知らん。選んだら、選んだ道を信じるしかない。くそ、明智めえー!

普段、簡単に決断したり、迷ったりしている時には気が付かなかったが、どっちを選んでも、何を選んでも、どんなに苦労をしても、得しても、自分が選んだ道を後悔する必要なんて無いんじゃないか?何も考えず、頭を空っぽにして、ただひたすら歩けばいいんじゃないか?

そして必死に歩きに歩き、22番札所へ16時55分に到着し、ご朱印をいただく事ができ。

私の左足首に激しい痛みが発生している事に気が付く。

あ…。これは、2年前に骨折した足首で、1年前に、最上33ケ所札所通し歩きをしたとき、300km歩き、あと50kmという時に痛み始めた、あの時の痛みと同じかも。そして、あの時は、痛くてそれ以上歩けず、レンタカー借りて、何とか廻りきったんだった。

これ、私、もうこれ以上歩けないんじゃないの?私の四国歩き遍路、終わっちゃったんじゃないの?

もう自分、秀吉の今日の選択は信じられない。ばかばか!私、秀吉の馬鹿―っ!歩けなくなっちゃったら、もうお終いだ(涙)。私のお遍路は終わっちゃったの?

後悔と、不安と、足の痛みと、今後どうするかとか、ぐるぐると考えつつ、何とか痛みに耐え、足をひきずりつつ宿に着く。

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