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バリ島旅行①私を癒せるっつーんなら癒してみやがれ!

「友達の友達が、バリ島の王族の親族と付き合っていて、島を案内してくれるんだけど、一緒に行かない?」

 こう誘われて、どんなに興味が無かった島だったとしても、断る人がいるだろうか?

 この頃の私は、月100時間以上の残業を、何年も続けていた労基法違反の女だった。(注:けっこう昔の話なんで、よくある話かも…)

しかも、産業医に呼び出され、面談をされ、「あなたのような方々のおかげで当社は頑張れているんですね!お仕事ご苦労様です!」と言われた、とんだブラック企業だった。

でも。仕事が好きだった。

 特に人生に対し野望や目標の無い凡人には、仕事は最高の自己実現であり、ひりひりするスリルとサスペンスに満ちていた。

 誰に何を言われようと、法律違反だと止められようと、何が何でも、思いっきり仕事がしたかったし、していたのだが、もしかしたら私の身体、本当に大丈夫なのか?

 ちょっと身体に油を塗られて摩られたり押されたりても、効果があるとは思えず、私に必要なのは、すでに「癒し」ではなく「治療」なのでは、とは疑っていた。

よって、癒しのリゾート「バリ島」ラグジュアリーホテルにスパ。などには、全く興味が無かった。

本来選ぶべきは、シンガポールのメディカルツアーなのではないか?

しかし待てよ…。バリの王族だよ?何かすごいコネで、物凄い何かの力で、不思議な何かの効果が発揮され、たちまち私が何かになってしまう可能性が無くはないか?(何になるかは、わからないが)

ようし、バリめぇー!私を癒せるっつーんなら癒してみやがれ!

こうして、なぜか興味の無い島へ、興味の無いことをしに行くこととなったのであった。

 

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