アニエス・ヴァルダの展覧会へ行く
若い頃は、フランスに憧れていた。
それは、紛れもなく映画の影響で
暇さえあればTSUTAYAなどへ行き
フランス映画のビデオを数えきれないほど借りていた。
アニエス・ヴァルダと言えば
私の中では『5時から7時までのクレオ』だ。
主人公の女性のファッションが大人っぽくて洗練された感じや
パリの街並みが流れるように映し出され
その中でもカフェでの映像がとても印象的だ。
そこへ集う人々が話すフランス語の音、仕草、雰囲気。
すべてに胸を鷲掴みされてしまった。
だから、映像に夢中だったので物語のあらすじは
ちっとも頭の中には入っていなかった。
今回の展覧会で、この映画のことをアニエスが語っていたのを聞いて
その当時の社会現象を取り入れたことだと知って
そうだったんだ〜と驚いたほどだ。
この展覧会の会場であるCCCBは、
バルセロナのカタルーニャ広場から歩いて10分ほどのところにある。
正面入り口から入り、細い通路を通り抜けると
大きい吹き抜けの広い場所に受付がある。
そこからエスカレーターで何度か上がっていくと
アニエス・ヴァルダの入り口に辿り着く。
そこには寄せては返す波の海の映像と、実際に浜辺の砂が敷き詰められた
その両方が合体したものが置かれていた。
展内には代表的な映画ごとにミニスクリーンが設置され
部分的な映像を観ることができるし、
それに付随する写真なども多数展示されている。
撮影時に彼女が着ていた
パステル・ビタミンカラーのワンピースが展示されていて
若い頃はとっても小柄だったのだろうと思うほどのサイズだった。
それを見た時に、映画『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』のカトリーヌ・ドヌーブが着ていた洋服を思い出してしまったほど。
そう、考えてみればこの両作品は
彼女の伴侶であるジャック・ドゥミ監督の作品だ。
彼女はもともと写真家から映画監督を始めた人で
数多くのポートレートも展示されていた。
その中でも、あまり狂気を感じないダリの写真が印象的だった。
その時のエピソードとして
ダリに撮影をお願いするために
アニエスがダリに宛てた赤いインクで書かれた手紙も展示されていて
なるほど、こんなふうに撮影を依頼していたんだなぁ〜と
手紙の内容を読みながら、頭の中で映像がふと浮かんでしまった。
彼女が好きだったネコちゃん。
ネコの置物なども
多数、飾られていて
ネコちゃん好きにはたまらないかもしれない。
1本の映画を撮るだけでも相当なエネルギーを要するのに
主な映画作品だけでも20以上はある。
なぜ、撮りたいのか
どんなふうに撮りたいのか
いろんな意味の問いかけから始まって、
それを映像化して編集してまとめる。
そして今度は世界中の人に見てもらう。
その作業を何度も何度も重ねたアニエス・ヴァルダ。
ぜひ、彼女の作品のそれぞれを
この展覧会で見てもらいたい。
一人のひとができること。
もちろん、一人ではできないけれど
アニエス・ヴァルダの
ひらめき
創造
共有
を堪能してもらいたい。
CCCBの展覧会内容が上のYouTubeで少しご覧いただけます。
バルセロナのガイドブック『心おどるバルセロナへ』は
ガウディなどの名所だけでなく
レストランや雑貨店などの街歩きが楽しくなる場所が
色々載っています。
もし、ご興味がありましたら手に取ってくださいませ。