元嬢と客、その後の話②
前回の続き。
とんでもなく楽しい観光歩きが終わり、ちょうどいい時間だったので近くの有名なところでお昼を食べたあと。Aさんが近くの喫茶店で食後のコーヒーでも飲む?と誘ってくれました。嬉しい(コーヒー党)、ルンルンで席につき、美味しいコーヒーをちびちび飲み、ねこお得意のずるくて地味な攻撃を開始しました。
「今日、何時まで一緒に居れる?」
Aさんは何にも裏が無い表情で「何時まででも大丈夫~」とのんびり答えてました。カフェオレ飲んでた。
よし。これ飲んだら帰ろっか、にならないように予防線をまず張る。
「良かった~。21時くらいまでは一緒に居れる?実家、居づらくて。」
Aさんは徐々に包囲されているとも知らず、「オッケ~。」と仏顔。
そこからの時間をどう持っていくか…
ここで僥倖、大学が近くにあったのでその話から、Aさんが通っていた学校の話になりました。Aさんの学校はねこの姉(過去編に度々出てくるスーパーキャットです)と同じ学校で、その話で以前も盛り上がったのです。
その学校は誰も気にならないのか疑問でしたがラブホ街を抜けたところにありました。
「あの学校…まだ近隣にそういうホテルあるの?」
ちょっと恥ずかしそうにラブホとは言わず。口元に手を当てて。照れ笑い。
「あるよ~全然変わってない」
よし。ここで地味攻撃。
「そうなんだ~!お姉ちゃんから聞いて。すごいとこにあるね」
「今度行ってみる?校舎は結構きれいになってるよ。今度ってか、今日でも。」
「えっ、いいの?じゃこの後行こ?」
どうですかこの美しい流れ。
これでもう私の方はホテルOKを伝えたようなものじゃないですか?
Aさんはいいよ~とにこにこ。裏を読む気が無いのか相手にしてないのか、本当に良い人だなぁ…と思いながら私もにこにこ。
今後の展開も考えて、道中で意を決して聞きましたよ。
「今、お風呂屋さんまだ行ってる…?」
単純な興味だから、と前置きしました。
「ねこちゃん辞めてから行ってないな~」
さらっと答えてくれました。その流れで、
「彼女は…?」
↑超頑張った。手を繋いだり写真撮ったりしてくれて、気が大きくなってたかも知れません。
「今居ないよ~。前の彼女と別れたのが1年前くらいかな」
よし!!よしよしフリー!!
もうこれで今日の目的は果たされたようなもの。心に余裕が出てきました。
Aさんの母校は本当にラブホ街を抜けた所にあって、校舎が見やすいところで車を停めてくれました。
校舎を眺めながらお話。お互い微妙に腹を探ってる気がしないでも無かったのですが、Aさんがトイレ行きたい~と言い、おっ、こりゃラブホチャンスでは?と思ったけど普通に近くのコンビニへ。田舎のコンビニには駐車場があります。
なんじゃい。。。と思いながら車内で待つねこ。どうしたらいいか分からないけどなんかAさんもアリな雰囲気出してんだよな~。うーん。トイレ行きたいって言われた時、ラブホは?行ったことないから行ってみたいな♡って言うべきだったかな。白々し過ぎるのでやめましたが…
そこから、この後どこ行く?って話になり、今日行ったお店のアニメを観たいとAさんが言うので、移動する?音出せる所がいいよね、別にここでもいいけど…と首を傾げていると、Aさんがついに言いました。
「シャワー浴びたいな~。」
ほぼハイキングだったその日、季節は夏。普通に二人ともすごい汗だくになりました。
今日は優勝だ!
ね~暑かったもんね、私も浴びたい~と言うと
「(学校)のラブホ行きますか~」
来た。誘い方軽っ。
うんっと私も軽く返事しました。
ラブホ、久し振り。そういやこんなんだったわ。初めて来た感じで過ごしているので部屋選びもお願いしたりして、部屋に入って、トイレ行って、スーッとソファーに座るAさん。
(脳内ねこ:シャワー、浴びてこんかい!)
ねこも並んで座ってしばらくアニメを観ていて、なんなんこの時間…と思ったねこ、再びパンチ。歯磨きしたい~洗面台ってどっち?と再び可愛こぶって誘導して貰いました。二人で並んで歯を磨く。お店でもこういう時間あったな…ハハ。なつかし。
そのまま、シャワー浴びようかな~って言ってくれたAさん。オッ!きた!!と、油断をしたねこ。
はぁ~い、私もそのあと浴びるね。と答えましたがここで、私の負け。
なぜこの時自分が
「一緒に入っちゃおうかな、」
って言わなかったのか、今でも謎です。
これ言ってたら勝ち確でしたね。
シャワーを浴びて戻ったらまたソファーに居るAさん、なんで?ベッド居といてくれよwもうどうしたらいいのか分からない。
前回にも書いた通り、ねこの倫理観は人とはズレまくってる自覚があり、更にAさんにはプライベートでも尻軽女なのだと思われたくないという謎の意地。自分から動けない。
割と肉食なのでそういう場面はお手の物でしたが、Aさん相手だと手も足も出ませんでした。
Aさんがガウンを着ていたのでねこもそれに倣いまして、Aさんにもたれながらスマホでアニメを観ていると、何だか仕事や過去の話で真面目な話になり、スマホを置いて二人で話し込んでいたらもう帰らないと行けない時間になりました。ねこの実家は泊まりでない場合門限があります。
そろそろ帰らなきゃ…というと、おっ、もうそんな時間!?ねこちゃんと話してると時間過ぎるの早い~と、普通に服を着て出ようとするAさん。こんな事ある?ねこ、据え膳過ぎて引かれたのかな。それとも、おちょくられてる(と思われてる)可能性があるな。
持ち前の経済観念、ヤらずアニメ観るんだったら、車で良くない?それだけならホテル誘わないでよ。お金もったいないじゃん! (そこ)
おちょくられてるなら良いけど、ヤる気もないのにラブホに着いてくる女、と思われてたら癪なのだが。謎のプライド。誤解されてるなら、解いとこ。と思って、車がラブホ街を抜けてから、
「今言うなって事言っても良い?やるもんだと思ってたんだけど…」
パンチ。Aさん、
「いや、俺もそのつもりだったよ。」
と言うのです。まさかの返す刀です。
ハ!??
むずっ。Aさん、一筋縄じゃいかないのか?
むしろ、正攻法しか勝てない?
「????」の顔で運転するAさんの横顔を観察。暗がりで見る彼も、本当に男前です。
「いや、でも。なんていうか。そのつもりだったけど、これでいいのかなって。」
貞操観の話になるのか?と黙っていると、
「ねこちゃんのこと、どんどん好きになっていくんだけど、付き合おうとかって…言っていいのかな。」
…あ?
あれ?あれ、ん?それって?
疑問符が並びます。1分もなかったと思うけど少し黙ってしまいました。
「それは………告白?って事?」
と言うと、いや、ごめん、と前置きしてAさんは言い直しました。
「好き。付き合って欲しい。」
え!?!?このタイミング!?
絶対違うじゃん…今日のハイキングで絶景、あったでしょ、前のご飯の時も、雰囲気あったでしょ、でも、今!?
「告白もしてないのにしよって言うのは違うと思って…。ごめん。」
これを言われて、私は思ったのです。
私の人を見る目は正しい。Aさん、本当にちゃんとしてて、良い人、イイ男だわ。
泣いてしまいそうでした。
身も心もズタボロで、少し前まで雑巾のようだった私にこんな幸せな事が待ってるなんて。
もっと早く連絡してたら、もしかしたら。味わわなくて良かった不幸も沢山あるかも知れませんが、そんな事は分かりませんし考えたくありません。今のねこだから掴めた幸せなんじゃないかと思うんです。
( ˘-˘ )ジーン…となって黙り込むねこ。黙るなよw
Aさんは前方を見ながら、ねこの様子を伺っていました。
「私で良ければこれから宜しくお願いします。」
なんとか、そう答える事が出来ました。
晴れて元風俗嬢、身元を特定した元客とのお付き合いが始まったのです。
Aさんとの事はまたポチポチ書くかも知れませんが、どうなるか、ねこにも分かりません。見守って下さい。