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タロットの歴史 パート2

こんにちは。
Your Secret Advisor, Ms. Chloe です。
オカルトタロット研究家であり、プロのタロットリーダーです。
よろしくお願いします。

前回に引き続きタロットの歴史についてお話しします。これは、パート2になります。

もしよろしければ、前回の【タロットの歴史 パート1】もお読みいただけると嬉しいです。

タロットの成り立ち


現在使われているタロットデッキの「元」になったものは、15世紀初頭の北イタリアで生まれたデッキとなります。

タロットデッキが生まれる前の14世紀に、playing cardsがもう使用されていました。これに関しても歴史を探ると面白いのですが、いわゆる、現代ポーカーゲームに使われているカードです。スペード、ハート、クローバー、ダイヤのスート、そしてジョーカーで成り立っているゲームカードです。これは、日本ではトランプカードと言われていますね。しかし、前回述べたように、「トランプ」という言葉は、「triumph」(栄誉・勝利)という意味の、イタリアのTrionfiゲームから来ているもので、これが大アルカナカードの元になっています。日本ではどう呼ばれているのかはわかりませんが、こちらアメリカでは、大アルカナカードを「トランプカード」と呼ぶこともあります。ややこしいですが。

この、ポーカーカードに、トランプカード(大アルカナカード)が加えられ、「タロット」になりました。15世紀以降、イタリアをはじめ、ヨーロッパの各地でさまざまなバリエーションのタロットカードが作られるようになりました。

Visconti-Sforza Tarot ビスコンティ・スフォルツァタロット


それでは、初期のタロットデッキについてお話ししていきます。

最も古いデッキの一つが、イタリアはミラノで生まれた

Visconti-Sforza Tarot
です。

Visconti Tarot (Lo Scarabeo社による復元版)
左から、Fool, Magician, High Priestess

このような名前になっている理由は、このデッキが、ミラノ公爵、フィリッポ・マリア・ビスコンティとその継承者、フランチェスコ・スフォルツァのために作られたものだからです。

現存しているデッキは世界に15デッキしかないそうです。しかも、その15のデッキは別々の場所(コレクター)に保管されていたそうで、Brera Brambilla (1463), Cary Yale (1445-66), Pierpont-Morgan Bergamo (1450-80) コレクションが知られています。78枚の完全な形ではないものの(紛失したのか、元々ないのかは不明)現在でも図書館・博物館に保管されています。アートは、イタリアルネサンス時代のミラノ公爵家御用達アーティスト、Bonifacio Bemboが描いたものです。とてもエレガントで煌びやかな印象です。

私はニューヨークのThe Morgan Library & Museum で、現存する、ビスコンティ・タロットを実際に見ました。この美術館には、John Pierpont Morganのコレクションが展示されています。

とても、眩しいカードです。キラキラしていて、華やかなカードでした。

ただ、注意しなければならないのは、このタロットデッキはエソテリシズムに基づいて作られたものでは全くなく、神秘学に基づくものでもなければ神聖なものでもなんでもなかったということです。

金持ちとしてのステータス

贅沢ができるという地位にいる、まさに、デッキの所有は裕福であることの象徴でした。贅沢な芸術品です。使用されるときは、ポーカーのようにゲームとして使われていました。

しかも、もっぱら「ギャンブル」用として使われていました。貴族の遊びです。このカードは、描かれているものがなんであれ、占い目的で作られた事実はありません。

Carte de Trionfi (Triumph cards) 

ペトラルカの切ない片思いの抒情詩が元になったカードデッキですが、これは、フェラーラ(Ferrara)公爵の所有物として1442年のものとして、出てきました。参照:Carte de Trionfi

このデッキもゲームとしてしか文献では紹介されておらず、寓話を元にしたカードゲームでした。

私は、所有していないのですが、Facsimile Italian Renaissance Woodcut Tarotとして、ロバート・プレイス氏が復元版を製作していらっしゃるようです。

Sola Busca Tarot ソーラ・ブースカタロット


このデッキもイタリアルネサンス時代、1490年ごろに制作されたとされています。ただ、このデッキが研究されはじめたのは比較的最近で、1938年にArthur Mayger Hindによりはじめて芸術品として紹介され、本格的に研究されはじめたのは、1990年代で、まさに500年もの間眠っていたタロットカードとなります。

Sola Busca Tarot (Lo Scarabeo社による復元版)
ライダー版タロットを知る人にはなんとなく馴染みのある絵柄。
まさかのライダー版イラスト担当者のパクリ説浮上。

ソーラ・ブースカタロットは、ビスコンティタロットと違い、全てがイラスト化されています。(つまりは、現代のライダー版タロットのように全てのカードがイラスト化されているカードです)。ライダー版タロットのイラストを担当したパメラ・コールマン・スミスは、このソーラ・ブースカタロットの絵柄を一部元にしてライダー版を描いたとされています。まさかのパクリ疑惑浮上です。(この件については、パメラ・コールマン・スミスについての記事でお話しします)。こういうこともあって近年、このタロットへの注目が集まっています。

興味深いのは、絵柄が、聖職者と戦争のリーダーばかりが中心となって描かれていることです。ギリシャやローマ時代のヒーローたち。カエサルやマリウスも登場です。とても雄々しいです。カード一枚一枚にドラマがありストーリーがあります。このデッキは、Lo Scarabeo社からも復元版が出版されているので、AmazonやRakutenなどで復元版を手軽に購入できるはずです。
私も持っていますが、普段、日常でこのデッキはリーディング用としては使いにくいです。私の場合、このデッキは研究用として使用するのみです。

このデッキも、ギャンブルやゲームに使われていたと思われるのですが(この時代のタロットの立ち位置を考えると、こう考えるのが自然ではあります)、さまざまな仮説が立てられています。好き勝手・・・とは言い過ぎですが、オカルト盲信者たちが好き勝手な仮説を立てていることは否めません。何か「隠された意味があるに違いない」「おまじない的な意味が隠れているのかもしれない」と裏をかきたくなるのが人間の心理でしょう。例えば、The Game of Saturn (2017)の中で、Peter Mark Adamsは、ベネチアのエリート金持ちによるダークマジックのための経典だ・・・というような仮説を立てているのですが、決定的な証拠はありません。あるのは、ギャンブルで使われていたということ。やはり学者の間ではまだ結論は出ていないようです。はっきりと、「魔術」と言えないのがこの頃(ルネサンス時代)のタロットですので、一方的な発言には気をつけなければなりません。

今回は、最も古い「タロット」の紹介でした。イタリア産だったことがお分かりいただけたと思います。次回は、この後16世紀より登場、フランスのマルセイユ版に移りたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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