ホーチミンに麺だけ食べに行く。
昨年の「ハノイに麺だけ食べに行く。」に続いて、今回はホーチミン市内での食べ歩き。わざわざ日本を飛び出して「麺だけ食べに行く」というと、何かの罰ゲームのようであるが、米麺が大好きな私にとっては、全くノープロブレムだ。
むしろ、日本のベトナム料理屋ではお目にかかれないような、いろいろアレンジされた米麺に出会える楽しみがある。「あんな麺いいな、食えたらいいな…」と、うっかりド●えもんの主題歌のメロディが脳内に浮かびそうになってしまい、我ながら書いていて薄ら寒い気分になる。
というわけで、路地奥の古い建物で食べるフーティウから、歩道で食べるストリートフードな麺まで、あれこれ5品を食べ歩いた。
本サイトの方には、地図や写真ももうちょっと多く載せているので、こちらも参考にしてみてください。
中心街の路地奥で食べる海鮮フーティウ
ベトナム南部ではスタンダードな麺料理フーティウ。にぎやかなホーチミン1区、高島屋の入っているビルの近くの路地奥にある Hu Tieu Muc Ong Gia は、店名に「Muc(イカ)」とあるように、イカのフーティウが看板メニュー。スープはあっさりで食べやすい。ベトナムで食べた麺の中で、今のところいちばん好みのお店だ。いや、二番かな。まあ、どっちでもいいけど、とにかくそれくらい気に入ったお店だ。
基本のメニューは、 Muc(イカ)、Tom(エビ)、So(ホタテ)、Suon(豚リブ)。この訪問時は、イカとホタテのフーティウ(Hu Tieu Muc So)を注文。
店へと続く路地の入り口は、すごく分かりにくい。よりによって、ガールズバーの脇の路地を入っていくことになる。一度、夜に行った際には、ガールズバーの入り口に立っている艶めかしいお姉さんたちが客引きの誘いの言葉をかけてくるので、ちょっと怯んでしまった。
店舗の建物の築年数も、かなり年季がありそうだ。繁華街の一角の路地奥に、こんな空間が残っているということも、萌えポイントだ。
うどんのような見た目のバインカン
バインカン(Bánh canh)は、米粉とタピオカ粉を混ぜた麺。うどんのような太麺だが、うどんのようなコシはなく、ぷちぷち切れやすい。
Bánh canh cuaは、店名に Cua(カニ)とあるように、カニ入り麺が看板メニュー。この日はエビをトッピング。カニの出汁がほんのり効いていて、気が付けばスープまで完食。
朝ごはんで食べに行ったが、店内はなかなかの盛況ぶりだった。地元の人気店なのだろう。
モツ系の具が盛りだくさんのフォー
ホーチミン市美術館に近いフォーのお店。
店名に「フォー」とあるが、麺のタイプ(フォー、ブン、フーティウ…など)は選ぶことができ、具の種類を組み合わせて注文をするスタイル。迷ったらとりあえず「タップカム(Thap Cam)」と伝えておけば、いろいろな具を楽しむことができる。
カンボジア発祥のフーティウナンバン
豚骨スープに玉ねぎの風味を効かせたスープが特徴の「フーティウナンバン」。
Hủ Tiếu Nam Vang Thành Đạt は、地元の人気店。お昼時に行ったら混んではいたけど、回転も速いのですぐに席を案内された。隣りのテーブルでは日本人のグループが食べていたので、観光客にも知られているお店なのだろう。
麺はフーティウとインスタント麺の2種、それぞれ「スープ式」と「つけ麺式」の2つのスタイルを選ぶことができる。スープは、飲めば飲むほどクセになりそうな味で、スープまで完食してしまった。つけ麺スタイルもいろいろな楽しみ方ができそうなので、次に行く機会があったら、つけ麺式で頼んでみることにする。
歩道で食べる混ぜ麺ブンティットヌン
最後の店は…いや、店というか、歩道である。椅子は、ベトナムならではの座高の低い椅子。これぞ本当のストリートで食べるご飯。私は「歩道めし」と呼んでいる。
ブンティットヌン(Bún thịt nướng)は、ブンという麺にいろいろな具材が入ったスープ無し麺。揚げた春巻きも添えられていた。
ここの店のメニューは、おそらくブンティットヌンのみ。席に座ると、何も言わずともこの定番メニューが運ばれてきた。ある意味、気軽だ。混ぜ麺スタイルで、一緒についてきたタレを少しづつ投入しながら、自分好みにしていく。
ホーチミンの街を歩いていると、こうした歩道や路地の隙間にごはん屋さんが現れるけど、そもそも「店舗」という概念があるのだろうか…とか、いったいどういう経営形態になっているんだろうという興味が湧いてくる。衛生面を気にされる方はちょっと抵抗があるかもしれないけれど、食事にアジア旅のちょっとした非日常感を取り入れてみたい人には、こうした「歩道めし」もいいかもしれない。