星の数ほどある面白い動画の中から、見てもらう動画にするには…
ハードヒットとGLEATの全面対抗戦が行われた6.9『LIDET UWF Ver.0』は、反響が大きかった。
大会直後に生放送したニコプロの『ハードヒット 死なば諸共』(以下しなもろ)でも話したが、取材に来ていたマスコミも多かった。チケットが早々に完売したこともあり、ニコプロがPPV生中継したのだが、このPPVの売上もなかなかの数字だった。
団体対抗戦っていうのはやはりプロレスの華だ。6月の頭にさいたまスーパーアリーナで開催された『CyberFight Festival 2021』でも、プロレスリング・ノアとDDTプロレスリングの対抗戦がいくつか行われた。両団体の若手同士がぶつかり合ったり、スーパー・ササダンゴ・マシン&男色ディーノの世界観に、杉浦貴&桜庭和志が踏み込んでみせたり、拳王率いる金剛vs高木大社長率いるDDT軍のどれを取っても両団体のイデオロギーをぶつけ合う感じで非常に面白かった。
ノアとDDTのように普段やっているプロレスのスタイルが違う団体がぶつかり合うにしろ、今回のGLEAT内のU部門であるLIDET UWFとハードヒットのように、いわゆる同じUWFスタイルのプロレスをやっている同士がぶつかり合うにしろ、対抗戦があったから注目度が上がり、見ているほうの熱量が上がった部分はあると思う。
上記であげたノアとDDTが直接的に対戦した対抗戦以外にも、ノア、DDT、東京女子プロレスのシングルタイトルマッチをやったトリプルメインイベントも、ガンバレ☆プロレスを含めた4団体それぞれの提供試合も、ある意味で対抗戦だった。
こうやって改めて横一線で見てみると、4団体それぞれカラーがまったく違うし、それぞれに魅力があるのがよく分かった。
『CyberFight Festival 2021』を見たことで「普段ノアしか見ていないけど、DDTも面白そうだな」と思った人もいるだろう。もしかしたら「DDTは大好きだけど、東京女子だけはどうしても見る機会がなかった」という人がいたかもしれない。
もしかしたら今までずっとDDTを見ていたけど、これからは東京女子を見ていこうかなと思った人もいるかもしれない。いわゆる“推し変”した人もいるのではないだろうか。
だが、『CyberFight Festival 2021』がいいのは、例え推し変しようが、新たに推しが増えることになったとしても、WRESTLE UNIVERSEに加入すればノア、DDT、東京女子、ガンプロの4団体は網羅出来るのだ。これは強い。
それに『CyberFight Festival 2021』はABEMAでの生中継はなく、WRESTLE UNIVERSEの独占生中継だった。ということは、WRESTLE UNIVERSEには加入したのだろうから、推し変しても以前推していた団体(選手)のことだってチェック出来るし、推しが増えてもひとまず試合を画面で見るだけなら追加出費はない。
これはプロレスに限ったことではないが、コロナ禍によって会場で観戦するという行為が、なかなかハードルの高いことになってしまった感はある。もちろん実際に会場に行って生観戦するという行為の興奮度や臨場感は、どんなに映像がキレイになろうが、通信速度が5Gになろうが、逆立ちしたって敵わない。
それでも自宅だろうが、電車の中だろうが、“配信で見る”という非常に手軽な観戦方法は、今後もある程度定着していくだろう。
いち早く自社で動画配信サービスを開始し、最新の大会の生中継も膨大なアーカイブもサブスクリプションで見られてしまうWWEと新日本プロレスはやはり強い! 前述したようにWRESTLE UNIVERSEは、カラーの違う4団体が見放題というのが今後さらに強味になっていくだろう。そういう意味でニコプロはサービス開始こそ早かったが、主要団体が独自の動画配信サービスを開始して以降、なかなか辛い状況だった。
ようやく話は戻るが、今回のLIDET UWFが非常に好評だったのは、長きに渡ってニコプロがハードヒットの冠スポンサーとして独占中継し、しなもろという番組を続けてきたことで、佐藤光留を、ハードヒットを、しなもろを見るのが好きなファン、いわゆる“下水道民”をコツコツ育ててきた成果だと思う。
ハードヒットがDDTから独立し、本格的に佐藤光留体制になって以降、そのプロレススタイルのせいか「ハードヒットはプロレスなの?」「ハードヒットは格闘技じゃないから」みたいな言われ方をして、プロレスマスコミも格闘技マスコミも取り上げにくいものとなった。
とはいえ、UWFスタイルを採用した唯一の大会であり、このリングでしか見られない選手や試合があるのは間違いなかった。もちろん、個人的に私が佐藤光留と長年の付き合いがあるというのも少しは加味されたと思うが、ハードヒットとニコプロをつないで、微力ながらハードヒットを続けることの手助けは出来ていたと思う。
そのハードヒットがここに来てLIDET UWFなるものが現れ、同じUWFスタイルのハードヒットと対抗戦をやることになり、ハードヒット史上最も注目を集める状況になった。5.2新木場大会『My name is HARD HIT』のPPV生中継も非常に好評だった。
そしてハードヒットとニコプロの繋がりとは関係のないところで決まったこととはいえ、リデット社のGLEATとLIDET UWFの放送権利をニコプロが獲得していたこともあり、6.9『LIDET UWF Ver.0』新宿FACE大会をニコプロがPPV生中継出来たのは大きかった。
そこに加えてニコプロで月イチで放送しているしなもろの放送日を、佐藤光留と協議して6月9日の深夜にした。これで「対抗戦の口火を切った5.2ハードヒット新木場大会」「全面対抗戦が行われた6.9LIDET UWF」「大会直後に佐藤光留の生の声が聞けるしなもろ」を、すべてニコプロで見ることが出来たのだ。
ハードヒットvsLIDET UWFの対抗戦一連の流れを、東京にいようが地方にいようがタイムラグなく、ニコプロで見ることが出来たことで、ファンの熱量をアッブさせることが出来たのではないだろうか。
今やスマホ1台あれば誰だって動画配信出来る時代だ。無料から有料まで面白そうな動画は星の数ほどある。プロレスの、しかもUWFスタイルの…というなかなかニッチな世界に目を向けさせるためには、ただ動画を垂れ流しているだけではたぶんダメだろう。
しなもろや公式YouTubeがどれだけハードヒットに貢献出来ているのかは、イマイチ分からないのだが、先日のしなもろで佐藤光留が対抗戦について熱っぽく語っている部分を編集してアップした動画が、割とアクセス数が上がってきているので、やはり熱量があれば人の心は動くんじゃないかと思っていたりはする。
主催者は全日本プロレス大田区体育館大会の翌日にパンクラスでMMAの試合だったり、変態的なスケジュールで試合をしているが、対抗戦はハードヒットが陽の目を見るチャンス。
YouTubeは基本無料で見られるので、“フック”になりそうな動画をバンバン上げていく。そのフックにちょっとでも引っ掛かったらニコプロを見てほしい。ハードヒットのアーカイブもあるし、しなもろは月イチで放送している。ただ試合を流すだけではなく、その回りの動画や番組も熱量持ってつくるので、そのすべて網羅してもらえれば、かなり楽しめるはずだ。
お陰様でハードヒット公式YouTubeのチャンネル登録者が、もうすぐ500人になりそう! 最初の目標である1000人までようやく半分! 下水道の皆さん、今後とも布教活動へのご協力、よろしくお願いします!