【ゆる説】広告代理店へのオリエンは超絶シンプルでいいんじゃないか説
注意:【ゆる説】は、日頃「実は、こうなんじゃないか」と感じた説を、備忘録的にゆる〜く書き留めたものです。真偽は皆さんで確かめてください。
以前、何人かのクリエイティブディレクターとそれぞれ別々の機会に話しているときに、彼らが口を揃えて言っていたことがある。
それは、
事業会社から提示されるオリエンシートが、ぶっちゃけよくわからん
ということ。
彼ら曰く、オリエンされて一番困るのは、数十枚、場合によっては数百枚もの資料を渡され、「これ、参考情報なんで読んでおいてください」と言われることだという。
なぜ困るか、というと、
・情報が多過ぎて、何が重要で、何が重要でない情報なのかわからない
・定義や意図していることがよくわからない用語が多く、混乱する
・結局、何のために何がしたいのかわからない
に概ね集約される。
ある程度、事業会社側の内情も知るマーケティングコンサルタントの私がオリエンシートを見ても、確かに彼らが言わんとすることはよくわかる。
広告代理店の立場からすれば、
事業戦略やKGI/KPI、STP、4Pの戦略方向性まで最低限定義された状態で、オリエンをして欲しい。
そのうえで、オリエン対象のコミュニケーション施策に関して、自分たちが知りたい項目を端的に教えてほしい。
というのが本音だ。
しかし、残念ながら、広告代理店が期待する形でオリエンが実施されないケースの方が多い。
結果的に、広告代理店側はどの情報が重要かわからないから、
・あれこれ内部で検討するものの、事業会社側が求めているアウトプットとズレていく
・事業会社への気遣いもあり、オリエンシートに書いてあることを"そのまま"反映した面白味のないアウトプットになってしまう
ということが起きてしまいがちだ。
一方、事業会社側にも、それなりの事情がある。
会社によって、組織構造や職責・役割分担は異なるため、一概には言えないが、
・事業戦略やマーケティング戦略は事業部やブランドチームが決めるが、広告コミュニケーション領域は宣伝部にバトンタッチされる
・バトンタッチされた宣伝部は、事業部側の検討背景・内容をすべて把握しているわけではない
・しかし、外部の広告代理店にオリエンしなければいけないので、質疑応答の際にちゃんと答えられるよう、可能な限りたくさんの情報を用意する
→こうした社内のバケツリレーの過程で、大事な情報とそうでない情報が混ぜこぜになり、提示する情報が膨れ上がる
ということも、問題を更に複雑化している要因だ。
まぁ、誰も不真面目に仕事をしているわけではない。むしろ、それぞれの自分の担当・役割の中で精一杯頑張っている結果、残念なことに、オリエンの内容が広告代理店にとって伝わりにくいものになっている、というわけだ。
正直、この問題は根深い。
事業部と宣伝部含む支援部門の役割分担や、業務プロセスの見直しなど、深いところまで踏み込まないと、本質的な問題解決には至らないからだ(地味に、個々人の文章力に差がある、という問題もある…)
したがって、これさえやっていればよい、という万能策は存在はしない。
しかし、さまざまなクリエイティブディレクターにヒアリングした結果、私が行き着いた現実的な解は、
オリエンシートを超絶シンプルにする
ということだ。
具体的には、以下の5つをスライド1枚に端的にまとめあげるのだ。
1.目的:
このコミュニケーションを通じて、ビジネスで何を実現したいのか?
2.ターゲット:
このコミュニケーションのターゲットは具体的に誰か?
3.起こしたい態度・行動変容:
ターゲットの意識や態度をどのような状態にしたいのか、その結果、どのような行動を取ってほしいのか?
4.インサイトスターター:
なぜそのような態度・行動変容が起こせると考えたのか?その根拠となるターゲットのインサイトは?
5.RTB (Reason To Believe)
なぜその商品・サービスはそのような態度・行動変容を起こせると言えるのか?それを裏付ける根拠は何か?
以上だ。
これらが端的にまとめられていると、今回の施策を通じて何がしたいかがわかり、その目的達成のためにコミュニケーションで何をすべきか、広告代理店側も見えてくる。
また、表現の"余白"が与えられるので、いわゆる、クリエイティブジャンプも生まれやすい。
加えて、オリエンシートをシンプルにする過程で、事業会社側のマーケターの考えも洗練されてシャープになっていく、という効果もある。
では、どうやってオリエンシートのシンプル化を進めていくか。
個人的な考えでは、できれば、事業部が音頭をとって進めていけるとよい。どうしても、組織力学的に、宣伝部の立場から物事を変えにくいことが多いからだ。
事業会社の方からしたら、オリエンシートを思い切ってシンプルにするのは、不安を覚えるしれない。
しかし、社内の軋轢をうまく避けながら、一方で、広告代理店側のストレスを減らし、よりよいアウトプットが出てくる可能性が高まると言えるので、ぜひ一度試してみてもらいたいと思う。
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