【ゆる説】結局、人は自分が信じたいものを信じているだけなんじゃないか説
注意:【ゆる説】は、日頃「実は、こうなんじゃないか」と感じた説を、備忘録的にゆる〜く書き留めたものです。真偽は皆さんで確かめてください。
私は、Seth Godinのフォロワーだ。
彼の出している書籍は、全部ではないが、結構読み込んでいる。
(ちなみに、平易な英語なので、日本語訳ではなくて、圧倒的に原著をオススメする)
そんなSeth Godinの名言はたくさんあって、全部は紹介しきれないのだが、最近「本当にそうだなぁ」と思うのが、これ。
People believe what they want to believe(人は自分が信じたいものを信じている)
言われてみれば、「確かに、そうかも」と思うのだが、これはマーケティング的な観点では、結構奥が深い。
そもそも、「自分が信じたいものを信じている」とはどういうことか、というと、
例えば、「働く」ということに関して
・「死に物狂いで働けるのは、体力的にも精神的にも20代まで。だから、20代のうちは、とにもかくにも一生懸命働いた方がいい」
という価値観がある一方で、
・「シンギュラリティが目の前に来ているんだから、旧来型の働き方に囚われずに、好きなことを追求した方がいい。働かなくてもいいなら、働かない方がいい」
という価値観もある(どうでもいいが、前者は、働き方改革なご時世でだいぶ肩身が狭いだろう)
ここで言いたいのは、どっちが正しいか、ではなく、
・いずれの価値観もその人にとっては正しい
・大人になればなるほど、よほど衝撃的な体験がない限り、その価値観が変わることはない
ということ。
あなたが「働く」ということに関して、どちらの価値観をお持ちか知らないが、こうした価値観というのは、その人の歩んできた人生や体験に裏打ちされているものであって、どちらが良い悪いではない。
そういう人生を歩んできたから、それが正しい、と信じたいだけなのだ。
(ちなみに、よくある論争が水掛け論で終わって、相手の考えを考えるまでに至らないのは、まさに「人は自分が信じたいことを信じている」の表れだろう)
では、「人は自分が信じたいことを信じている」ということは、マーケティング的にどんな意味を持つのだろうか。
それは、マーケティング活動で、相手の価値観を変えることは、(よほどのことがない限り)無理だ、ということだ。
企業が「Aではなく、B」というメッセージを発信したところで、「いや、Bではなく、Aでしょ」と信じている人の態度変容を起こすことは、現実的には難しい(やってもよいが、ROIが低すぎることがほとんどだ)
裏を返せば、企業は最初から「Aではなく、B」という価値観を持っている人をターゲットに、その価値観を肯定・後押しするようなマーケティング活動を展開する方が成功する、ということだ。
企業側が一方的に想いを押しつけるのではなく(残念ながら、そういうケースは多いのだが…)、ターゲットとなる生活者や顧客が「既に信じていること」を言葉にしてあげる、汲み取ってあげる。その想いをさらに強くさせてくれるものを提供してあげる。
それが、価値観が多様化する今、求められているマーケティングなのだと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?