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【ゆる説】AIDMA、実は順番が逆なんじゃないか説

注意:【ゆる説】は、日頃「実は、こうなんじゃないか」と感じた説を、備忘録的にゆる〜く書き留めたものです。真偽は皆さんで確かめてください。

ここ2年ぐらい、ホットヨガのLAVAに通っている。

前の会社の先輩に勧められて行き始めたのがきっかけで、今やストレス解消や体調管理のために週2~3回はレッスンを受けている、“LAVA男”だ。

1時間のホットヨガは、心身ともにリフレッシュしてとても充実した時間を過ごせるので、結構好きだ。
しかし、あまりに大量に汗をかきすぎて、どんなにちゃんと洗濯してもヨガウェアの臭いが取れないこともしばしば。

周りの人も大量の汗をかいているし、隣にいるからといって感じるほどの臭いでもないと思っているので、私自身、「ま、そんなもんだよね」という感じでずっとやり過ごしていた。

しかし、とある日、同じくLAVAに通う妻が、とあるものを持ち帰ってきた。
花王の香り柔軟剤フレアフレグランスの新シリーズ「& SPORT」とLAVAがコラボした、サンプル品だ。

その謳い文句は、「汗を消臭&香り楽しむ」。
見るからにターゲットは、スポーツを楽しむ、若いアクティブな女性。
30代半ばのスキンヘッドのおっさんである私は完全にターゲット外だ。

しかも、私は、香り柔軟剤なる商品とも縁遠い。
たまに自分で洗濯するときもあるが、なぜ柔軟剤を入れないといけないのか、とすら思っているぐらいだ。

本当に柔軟剤ごときで、ヨガウェアの臭いが取れるのか。
当然、私は半信半疑だった。というか、そもそも柔軟剤自体に興味もなかった。

しかし、である。

「どうせタダでもらったものだし」と妻が&SPORTを使ってヨガウェアを洗濯してくれたのだが、それを着てヨガのレッスンを受けたとき、あの嫌な汗の臭いが消えていたのである。香りもそんなに嫌いではない。

「これは結構いいな」と思った私は、すぐさま妻にAmazonで&SPORTを買ってもらったのだった。

断っておくが、私は花王の回し者ではない。
しかし、このエピソードは、意外と示唆に富むと思い、今記事を書いている。

それは何かというと、

まず行動があって、態度が変わるんだ

ということだ。

少しマーケティングをかじったことのある方なら誰でも知っている、AIDMA.

Attention(認知)、Interest(興味関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)、の頭文字をとったもので、人の態度・行動変容の推移をフレームワークにしたものだ。

マスマーケティング時代にできたフレームワークで、ソーシャルメディアの登場により、AISASなどの派生・進化形もあるが、基本的な流れは、商品・サービスを認知してから購買なりシェアなりの行動に出る、という考えは変わらない。

しかし、&SPORTでのエピソードを踏まえると、それはもう古くなってきているのではないか。

というのも、情報過多で常に思考をショートカットしながら生きている現代人にとって、自分の興味関心の外にあるものは最初から半自動的にシャットアウトされる傾向が強い(言い換えると、情報として目の前に提示されていたとしても、瞬時に「自分とは関係ない」ものと判断され、基本的にスルーされる)

私の場合、香り柔軟剤は、完全にスルー対象だ。
どんなに広告を見せられても、「興味ある」「欲しいな」と思うことはなく、ましてや「買う」や「シェアする」は想像すらできない。

そういう人にいくらあの手この手でコミュニケーションをしようとしても、正直あまり効果がない。

なので、従来のマーケティングアプローチのようにお金と時間をかけて、空中・遠隔戦で人の態度・行動変容をさせるのではなく、直接、最初に行動を変えてしまった方が、人はその良さを体感し、興味を持ち、認知し、シェアするのではないか、という説だ。

もちろん、行動を変えるのは、相手の置かれた状況や価値観と合っていなきゃいけないし、半ば強制的に行動を変えさせるにせよ、行動してもらうだけの強いインセンティブを作る必要がある。当然、態度を変えるだけの商品・サービスのベネフィットがあることは大前提だ。

(&SPORTの例でいえば、大好きなヨガでウェアが臭うのが「嫌」と意識/無意識で思っているレッスンの帰り際に、そのペインを実際に解消できる商品を信頼するインストラクターの人からサンプルとして渡される、ということだ)

この行動を変えさせることを起点としたマーケティングは、本当の意味で顧客や生活者を深く理解していないとできない。

プロダクトアウト型の発想や、性・年代・居住地のデモジオグラレベルの曖昧なターゲティングが、遂に終焉を迎えたのではないか。&SPORTのエピソードからそう思う今日この頃である。

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