【ゆる説】新規事業開発こそ、マーケティング思考が必要説
注意:【ゆる説】は、日頃「実は、こうなんじゃないか」と感じた説を、備忘録的にゆる〜く書き留めたものです。真偽は皆さんで確かめてください。
新規事業開発について、ずっともやもやしていたことがあった。
うまく言葉に言い表せなかったのだが、少し頭の中の整理がついたので、書き記しておこうと思う。
何がずっともやもやしてきたか、というと、
なぜ、普通に考えたらイケてない事業アイデアを、それを考えている当の本人が気づかないのか
ということだ。
世の中は、新規事業開発の方法論で溢れている。
「リーンスタートアップ」や「デザイン思考」、それらをきれいにまとめた「起業の科学」などだ。
別にそれらを否定するつもりは毛頭なく、思考のフレームワークとして一定程度参考になるのだが、個人的には、0→1(ゼロイチ:何か新しいものを生み出すこと)にフォーカスされ過ぎている気がしてならない。
そもそも、事業者側が思うほど、人間はそんなに新しいものを求めていない。
なんでも手に入る今、「現状に満足」と答える日本人は7割にものぼるし、仮にこれまでになかった新しい何かを提示されたとしても、普通の人は、
・そもそも要らない、興味ない
・よくわからない、自分向けじゃない
・別に今のままでいい
・面倒くさい
・失敗したくない
と色々と言い訳をつくって、事業者側が求めるような行動に出ない。
ましてや、嫌と言うほど情報が溢れている今、生活者は常にその情報の要否を瞬時に判断して、思考をショートカットしながら生きているので、そもそもそのプロダクトやサービスが認知されること自体、運ゲーなのである。
最初の問いに戻れば、そうした今のデフォルトの状況が前提にないまま、0→1をすることが目的になり、結果的にイケてない事業アイデアが生まれるのだろう、という結論に至った。
要は、「どうやったら人の心を動かし、行動を変えられるのか」というマーケティング思考が欠如しているのが問題だ、ということだ。
具体的な態度・行動変容のさせ方は、これからも【ゆる説】でゆるゆると書いていこうと思うが、大事なのは
期待と現実のギャップが大きくないと、人は行動に移さない
ということ。
ありきたりで、既存の商品・サービスと比較して「とても良い」レベルの想定の範囲内のものでは、なかなか人は新しいものにトライしないのである。
逆に言うと、今までの顧客の常識を裏切るプロダクトになっていたり、顧客がハッとするようなインサイトをついたコミュニケーションに落とし込めたり、顧客に「喉から手が出るほど欲しい!」と思わせる魅力的なオファーがあったりすると、人はいい意味で期待が裏切られ、新しい行動に出る。
しかし残念ながら、新規事業開発を担う方やそれを支援する外部パートナーは、必ずしもマーケティングのバックグラウンドを持っていないことが多い。そのため、上記のような態度・行動変容設計が甘かったりする。
もしかしたら、ブームに沸くが、現場レベルでなかなかうまくいっていない日本の新規事業開発で一番必要なのは、マーケティングなのかもしれない。