ごあいさつ
みなさま、こんにちは。宮尾節子です。
一昨年、このように始めた宮尾節子賞ですが、おかげさまで第二回も素晴らしい3名の方に、受け取って頂くことができました。そして、ささやかな賞ではありますが、たいへん喜んでいただけることが何より幸せに思います。
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「表現」について、考えるときいつも思い出す、ある方のことばがあります。何度かいろんな場所でお話をさせて頂いたことなので、聞き覚えがある方もいらっしゃるでしょうがご容赦ください。それは、ひとりの即興詩人の方のことばでした。
その方は、舞台で客席に向かって「お題をください」と言って幾つか会場のお客さんにことばをあげてもらい、その場で一篇の詩を構築しながらポエトリーリーディングをするのです。わたしには初めての経験でしたので、とても驚きました。そして、その方にあとで。「見知らぬひとから、どんなことばが投げ出されるか、わからないのに。怖くはないですか?」と尋ねてみました。
すると思わぬ、ことばがその詩人の口から発せられたのです。
「守られているから、怖くないです」と。「守られているから」とは、何だろう。
その方は続けました。「現実だと、わたしはこんなことはできません。とても、こわくて。でも、舞台の上だからできるのです。舞台という空間は何をやってもいいと、守られた場所なのです。」――晒された場所ではなく、守られた場所。
わたしは、目から鱗が落ちました。そして、彼女(その方)のことばで、「表現とは何か」を、一瞬で知ることができました。表現とはすなわち「守られた場所」のことでした。現実がどのように、厳しく過酷なものであろうと、ひとは表現というささやかな「舞台」(非現実)に生きる、あるいは、息継ぎをすることができる。
さまざまな場所で、その人なりの「生(せい)の花」ともいうべき、舞台がくりひろげられている。それは小さな工夫かもしれない。それはひとつのリボンかもしれない。それはひとつの色のかもしれない。それはひとことの挨拶かもしれない。誰かが、守られ。誰かを、守る。ひとには表現があることを、ひとの宝に思います。
新型コロナウイルスという感染症の蔓延により、ひとびとは以前のような日常生活が送れなくなって、三年になろうとしています。ウイルスは新しい変異を見せながら、何度も感染の波を繰り返し、まだまだ終息の気配は見えません。
そんなときにも、さまざまな表現者たちによって「わたしを守り、あなたを守る」「守られた場所」が作られ続けていること、その想像と創造に、希望を託します。
第二回宮尾節子賞。3名の方の受賞のことばを、ここに掲載させて頂きます。
ご高覧くださいませ。
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浅葉爽香
受賞のことば
<浅葉爽香プロフィール>
詩を纏うキメラ
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雨音
受賞のことば
<雨音プロフィール>
詩人・静岡県出身在住ときどきイギリス在住
日本詩人クラブ会員、静岡県詩人会会員、
ネット詩誌MYDEAR所属 詩誌Marubatsu参加
中学生の頃よりいつの間にか詩を書くようになる。20歳くらいから、綺麗なノートを見つけて、詩を書き綴るようになった。2003年よりネット詩誌MYDEARに所属。毎月新作の発表を続け、また2007年よりMYDEAR掲示板にて評者をつとめている。MYDEAR主宰島秀生氏編・著「ネットの中の詩人たち4」「ネットの中の詩人たち5」「ネットの中の詩人たち6」「ネットの中の詩人たち7」(アマゾンにて販売中)に参加。2020年詩集「ドロップス」(純和屋)
誰かの心の片隅にそっと飾る一輪の花のような詩をかけたらと、書き続けています。
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猫道(猫道一家)
受賞のことば
<猫道(猫道一家)プロフィール>
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授賞理由はこちらから。
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みなさんから受賞のことばをいただいて、わたしが幸せになっています。
これが、生きてお届けする宮尾節子賞の醍醐味かもしれません(笑)。
愛されなければ、愛すればいいじゃない。なければ、つくればいいじゃない。
そんな思いでつくった、ささやかな賞ですが。みなさんのおかげで、みなさんと
ともに育っていけそうです。表現は届いて、はじめて輝きます。
受け取って頂いて、ありがとうございました。
支えてくださって、ありがとうございます。
感謝をこめて
宮尾節子
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*渋谷のポエトリーラジオ
第二回宮尾節子賞のことを 胎動レーベル生駒さんがパーソナリティーを担当する
「渋谷のポエトリーラジオ」#渋谷のポエラジでもとりあげてくださいました。
12月22日と29日に宮尾が出演。29日のアーカイブはこちらです。
いこまさん、ありがとうございました!
前回の受賞者のこと