自分の望む世界をつくれるとしたら?:自分の在り方を探る 対話をアップグレードする④
自分の望む世界をつくれるとしたら、どんな世界をつくりますか?
世界について知らないことが多すぎるから、自分が世界をつくるのは怖いと思いますか?
それでも自分の望む世界をつくらなければならないとしたら、あなたはどんな世界を望むでしょうか。
この問いはあなたが真に望む世界を見えやすくするためのものです。
「少なくともみんなが幸せであるためには」とか、「今もしくは過去に抱えた困難をほかの人が持たないためには」とか、そういった切り口で考えるかもしれません。
そういった方法によってあなた一人で出した答えは独善的にならざるをえません。
独善を避けるためには、さらに一歩進んで上のテーマについて家族や友人と話し合う必要があります。気恥ずかしいでしょうか。きはずかしいのは当然です。
なぜなら、自分の望む世界はこの世界におけるあなたの在り方そのものに関わるからです。言い換えれば、あなたの本当に大切にしているものがそこにあるのです。修正されるべき独善さをそなえながら。
ほかの人がどのような世界を望むか気になるでしょうか。ほかの人とあなたの考えは違っているのが当然です。だから気にする必要はありません。答え方の参考程度に記すと以下のようなものがあげられます。
リラックス、平和的、愛情にあふれた、つながっている、幸せ、満足、力に満ちた、今ここに存在する、希望にあふれた、喜びに満ちた、突き動かされるような、自信に満ちた、分かち合う、穏やか、満ち足りた、積極的な関与、くつろいだ、気楽、協力的、健全、オープン、革新的、友好的、誇りある、寛容、インクルーシブ
『なぜこの人はわかってくれないのか:対立を超える会話の技術』p.164より引用
私自身のことを言うと、
「愛情にあふれた」「自由」「オープン」「協力的」「おだやか」「平和的」
といった言葉が私のキーコンセプトだと感じました。
私の特徴は「冷静」「論理的」「物静か」だと理解していたので、どうやら自分が本当に望むのとは違う在り方をしていたことがわかりました。
自分の望む世界、自分の望む在り方を特定することができると、物事は大いに進展します。
たとえば、子どもを叱る場面を考えてみます。
片づけをするように言っても動こうとしない子どもに対して。
親「片づけしないんだったら、ごみ箱に捨てるよ!」
子「片づける!」
(子が途中で遊び始める)
親「はやくやりなさい!捨てるよ!」
子「今やる!」
子「終わったよ!」
親は部屋がきれいになった満足感はあるものの、子はイライラが残る。結果、子を従わせたことと引き換えに親子の関係は悪化している。
一方で、自分の望む在り方が「愛情にあふれた」「自由」「オープン」「協力的」「おだやか」「平和的」だと気づいている場合は、下のようなアプローチをとることができます。
親「お部屋がきれいじゃないと落ち着かないんだ。今散らかってるから嫌なんだ。一緒に片づけしようよ!」
子「あとでする~」
親「じゃあ、今見てるその本が切りのいいところまでいったらやるっていうのはどう?」
子「わかった~」
親「そろそろ切りのいいところまでいった?」
子「まだ~」
親「え~。あとどのくらい?」
(しばらくして)
子「いいよ~。やろう!」
自分の望む在り方がわかっていると、協力的な提案もでき、穏やかに待つこともできます。また、怒って強制的にやらせるのを避けられたことで、親子の関係悪化も回避されました。
自分の望む在り方がわかると、言動が変わります。
ぜひ、自分の望む世界について思いを馳せ、自分の望む在り方を探ってみてください。
この記事がみなさんのお役に立てばうれしいです。
いただいたサポートは、よりみなさんの役に立つ記事を執筆するための研究費用(書籍購入、ワークショップ開催・参加、フィールドワークなど)として使わせていただきます。