姉が優しくなったのは。
私の家族は兄、姉、兄、私、母、父の6人家族。
室蘭のおばあちゃんの家に転がり込んでいたので
6人も人が入ると家の中はぎゅうぎゅうだった。
自由に使える部屋は兄と姉の部屋になっており
私は末っ子という理由で居間で生活していた。
姉は私のことが嫌いだったと思う。
いや、嫌いだったらしい。
姉の部屋にこっそり入り、何やら缶に詰まった手紙のような物をいくつか開いて読んだことがある。
プライベートに突っ込むような、これはやっては行けない事(やるべきではない事)だと大人になった今だからわかる。
当時小学生だった私はドキドキしながら悪い事をしているとは薄々気づきながらも秘密知りたさに読んでしまったのだ。
7つほど離れているので小学生の私がギャーギャー騒ぐのが鬱陶しく、嫌だ。も言うようなことが書いてあった。
姉は優しいので妹の事をそんな風に思ってしまう自分の事も嫌なんだと。
一緒に暮らしていたのに喋った記憶はほとんどない。
姉はいつも勉強していて私も話しかけづらかったし、気が合わないと思い込んでいたのでお互いが避けていたように思える。
大人になってからも連絡を取った記憶はほぼない。
本当に疲れ切っていた時に私が母へ連絡をし、母から何か聞いたのであろうその後、姉が心配をして連絡をくれた事がある。
姉が連絡をくれるなんてめずらしいなー。と思った。
一昨年だったか、10月14日の昼。
とても快晴で秋なのに日差しが暑い日だった。前日に
室蘭に帰省をしたが、次の日の朝には札幌へ帰ってきていた。
姉から電話がきた。姉から?めずらしいな。この時も思った。
姉「お母さん、脳梗塞だったって聞いたけどお母さんの様子大丈夫そう?」
そう。今朝分かったのだ。だが私はそれどころではない。
私「お母さん、わかんない。」
姉「わからないって、お母さんと一緒じゃないの?」
私「うん。札幌に帰ってきた。旦那さんが死んだかもしれない。」
それ以上は説明できなかった。姉は何も聞かずに
姉「今から行く。子どもがいるから準備してからになる、急ぐけど少し時間はかかっちゃう、待ってて。」
姉の話し方はいつも優しい。性格もおっとりしていて
誰にでも平等に優しい。姉はいつもと変わらない話し方で冷静だむた。
私のことを嫌いだと思っていた姉が
今から行く。なんて言ってくれるとは思ってもみなかった。
姉はお葬式が終わる最後まで一緒にいてくれた。
お葬式の打ち合わせも全て、何も言うことなくただそばにいるだけ、私の話を聞くだけ、まるでカウンセラーのようだった。
私が何か話すまで何も聞かないし、否定する事もない。
姉らしいなと思った。
1年後くらいに姉に第二子が産まれ、LINEで報告をしてくれた。
第一子の時は母伝えで知ったし、姉の現状はいつも母が世間話くらいに話してくれていたので本人の口から聞くとはこれまた思っていなかった。
「遊びにおいで〜」
なんて言ってくれるなんて。家族って、きっとこれなんだ。
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