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死にかけたパート3


こちらをお先にどうぞ。


24歳、埼玉の結婚式場で働いていた。
スタッフの人数も多い。年齢層は20歳〜50歳までと様々。

その中でも私の配属された会場のマネージャーとよく顔を合わせるようになってから仲良くなり気にいってくれた。38歳とかだったと思う。

元プロボクシング選手で、日本一に輝いたこともあるとんでもない凄い人。

とても優しい。熱い人で人情を大事にする。争いごとは嫌いでどんな場でも円満に解決させようと間に入る人。
仮に名前をツヨシさんとしよう。

ツヨシさんはサーフィンが趣味。
他にもサーフィンが趣味の男性陣が2人いた。

『たま子も今度行く?』と誘ってくれ新しい事好きな私は2つ返事で『はいっ!行く!』。

このサーフィン好き3人は集まればいつも波の話をしている。今週末はいい波が来るやら、いついつ過ぎてからの方がいい。来週はあんまりだね、とか。

だんだんと分かってくる。サーファーはきっとみんなこうゆう生き物だろうと悟り始めた。

私が誘われたのは台風が来る前だった。

そうゆう日は高めの波が来るから初心者でも乗りやすい!とおすすめらしい。

なんかもう嫌な予感がした。

そう、また嫌な予感がした。

こればっかりはどんなに鈍感な人でも嫌な予感がしない訳がない。

けれど男同士の約束だ、サーフボードもウエットスーツも私が着れるサイズのを貸してくれる準備までしてくれている。断るわけにいかない。(私は女です。)

仕事が終わってからツヨシさんの家へみんなで泊まり
早朝、暗いうちに家を出る。大人3人と大学生くん1人と私。

大人3人のうちのもう1人を兄やんと呼ぼう。

千葉か茨城の海だったと思う。

朝の7時についた。あたりは明るくなっているが
少々曇っていて海も心なしか濁っている。
来ているのは私たちだけのようだ。

まあまあの波が立っていて、最初はツヨシさんが一緒について1から教えてくれた。

慣れてきて平気になってきたところで
大人たち3人は『ここからパドルして入って行ったら波の流れに乗って練習できるからプカプカしててね!』
と言う事で、私と学生くんは各々練習してみることにした。

スポーツは何事も練習あるのみなので疑問にも思っていないし当たり前の流れである。

とりあえずやってみよう!

と砂浜から入って行き、サーフィンの基本はパドルで沖の近くで波を待ち、良いのが来たら乗る。
ちなみにパドルというのはサーフボードに寝そべりカメのように手を漕ぐアレ。

何度か波に押されて砂浜へ戻りを繰り返して練習していた。

やっているうちに体力が恐らく無くなっていた。
パドルが出来なくなってきて波に負けている。
思った方向に進めなくなっていき、沖近くへ気付かないうちひ流された。

けれども雲行きは怪しい。
さっきよりも勝手にぐんぐんどこかにすすむ。

波が高くなっている
波打ち、沈み込むと砂浜が見えなくなるほどに。

あれ、あれ。なんか操縦が効かない?

波を打ち付ける大きな音がしてくる。
右を見ればテトラポッド。

これ〜、もしかしてやばい?と思った時には
もう側まで迫るテトラポッド。さっきより近い。目と鼻の先。

このままだとこいつに打ち付けられる。


どんどん高く、強くなる波。


海の下はもう足がつかない深さ。 

色も濁って茶色と黒が混ざったよう。


波が高い。当たり前だが上がっては下がりを繰り返す。
高く上がり、下がるのは低く。
海の底までついてしまいそうなほど沈み込む。

うわ、まじでやばい。かも。

これテトラポッドへ飛びつけば助かるのか?
いやいや私泳げないんだよ。
サーフボード手放したら浮いてられない。終わりだ。

全力でパドルをするも全く進みもしなければ、
のまれた波から抜けることもできない。

心臓のバクバク音が次第に大きくなっていく。

どっ、どっ、ドッ。

そして疲労を溜めた腕。全力でパドル。無意味なパドル。
どうすれば私は助かるんだ。経験不足すぎて分からねえ!!

半べそかきながらパドルパドル、パドル。

全然進まない!!

どんどん近くなるテトラポッド。
そこに打ち付けられる波が飛沫を上げる。
波が大きく撃ちつける爆音。

バッ ジャッザッ 

バーーーーンッっっっつッツ!!


。。。。。打ち付けられたら終了。絶対死ぬ。


その時波でボードが上に押し上げられ砂浜が見えた。
大人3人のうちの1人がコチラを指さしている。

兄やん!!!!

『おーーーーい!』と大きく手を振って助けを求めるが声が届いている感じが全くしない。

波が下がると同時に私も沈み込み一瞬でまた砂浜は見えなくなった。

え、、、

気づいてくれたかな?
わたしゃもうおしまいや。。。溺れるの怖い。。。

自然の前にして人間は無力。

ボードに掴まっているのがやっとの波の揺れ。
嫌だ、溺れたくないよおおおおおあおあああ。

また波に上げられ砂浜が見えた。

!!!

兄やん!こっちに泳いできてくれてる!


と思ってからは早かった。
クロール泳ぎ、身一つだけであっという間に私の後ろについた。『俺が後ろから押すからパドルでそっち側へ漕げ!!』と的確に指示をくれた。

だが全く私のパドルは用をなさない。


兄やんが後ろから押してくれる勢いで進んでいる。

『よし!あと少し‼︎あと少し‼︎頑張れ‼︎こっちに漕いだら波から抜けれるから!そのままの流れで砂浜に出れるぞ!!』
兄やんは何度も叫ぶ。『頑張れ‼︎』『頑張れ‼︎』と。
私たちは呑まれていた波から抜け、完全に沖へ出た。
するとまさかの大学生くんが現れた。

流されていたらしい。

兄やん『よし!お前もこのまま戻るぞ!』と言い3人でパドルしながら波に乗り砂浜へ流れた。

浜へ上がり無事生還。
ほっとしたと同時にツヨシさんが走ってきた。

『大丈夫!?うわー!良かった〜』と安堵を浮かべている。
おお?やっぱりそんなに危ない状況だったのかとやっと本当の危なさに気がついた。

何やら聞くと、テトラポッドへ当たるとやっぱり死ぬらしい。波に落ちたとしても打ち付けられて上へ上がれず溺れてしまうとか。

テツヤさんは今まで何をしていたかというと私たちが見当たらなくなってから防波堤の上を裸足で全力で走り
探し回ってくれていた。そして探しながら
もしたま子を見つけたら自分が死んでもいいから飛び込み何としても助ける。と覚悟していたらしい。

車に携帯を置いており救急隊もすぐには呼べず、というか駐車場も遠いので携帯を取りに行くうちにもう死ぬかもという可能性があるので自ら見つけ出し飛び込もうとしていた。と。

そして探しながらも、最悪の場合私の父親と彼氏へ土下座して謝ることと謝っても償いきれない、、、

など色々と頭をよぎっていたらしい。

確かにツヨシさんが飛び込めば私は助かっていただろう。その強靭な肉体と、有言実行を仕事で見ていたので確信がある。

だがツヨシさんは産まれたばかりの子どもと奥さんがいる。

そんな人が命をかけようとしてくれたのだ。

それほど危なかったらしい。

そうしているうちに天気が良くなってきた。
だんだんと日差しが出てきた。晴天に近い。

いや〜、本当に良かった。と大人3人が話しながらみんなで車へ戻り、また近くの別の浜へ来た。






私『よーし。練習しましょ!』



離岸流に流されたようです。未経験だったので助かった時すぐはわからなかったですが本当に危ないらしいですね。そして泳げない&腕力の無い私がプカプカただ浮いておく。と言う判断は正しかった模様。
波の流れを教えてもらい安全な場所から海へ入って行ったのに波にのまれたのは私の技術不足です。
ほんとに恐怖でした。もう行きません。と言うと思ったらこのあともう一回だけ別日にサーフィン行きました!てへ。今日もありがとうございます!

追伸

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