第49回衆院選 選挙区訪問の感想 前編

 令和3年の10月31日に投開票が行われた第49回衆議院議員総選挙。筆者としては応援している候補者の応援をしたかったのだが、大学の履修登録を春学期に続いて失敗して無気力状態になって、地元の精神科に行くことになったこともあり、実現しなかった。一方で、公示前後にいろいろな選挙区を訪問できたのは何だかんだで楽しかったので記録しておこうと思った。紹介は筆者が訪れた順になっている。


【京都4区】

                 

 京都市右京区・西京区、亀岡市、南丹市、船井郡から成る選挙区で、都市部と山間地域の両方の要素を併せ持つのが特徴。元々、野中広務自民党幹事長の選挙区で京都の中では比較的自民党が強い場所。第46~48回総選挙では、その野中に政界入りを後押しされた田中英之が当選していた。

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 いずれの選挙でも、民主党→希望の党から立候補していた北神圭朗が次点で落選し比例復活も出来ていなかった(47回では比例名簿の惜敗率で次点だった為後に繰り上げ当選、48回では本来比例復活できるはずだったのに小池百合子が身内を比例名簿に載せたせいで完全落選)。こういう経緯で政党に振り回されたくなくなったのか、北神は今回「政権選択ではなく、人物選択選挙だ」と言って無所属で選挙戦挑むことに。

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衆議院の任期満了まで半年を切り、個人のポスターが禁止されてからもう一度訪れた時のポスターの写真も掲載

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 無難に地方議員と4連・3連ポスターを作った田中。3連の真ん中は二之湯智参院議員の次男の真士府議会議員。

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 無所属の地方議員と2連ポスターを作った北神

 後日、マストドンのフォロワーから「北神圭朗が面白いポスターを作ってたぞ」と聞き、再びポスターを見に行くと、このようなものが

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 民進党時代、同じ長島グループに所属していた吉良州司衆院議員との2連ポスターなのだが…この人大分の議員なのに下のキャッチコピー大丈夫の??


 選挙結果は、北神が1万5千票も票を上積みして見事に返り咲きを果たした。京都府内最大の激戦となり、開票速報を見ながらハラハラしてしまったが、なんと、選挙区内全ての自治体で1位だった。右京でのポスターの多さから何となく「北神勝つのでは?」と思ったが、共産党候補とも競合しながらここまで綺麗に勝つとは…

【滋賀1区】

 大津市、高島市から成る選挙区かつては川端達夫元衆院副議長の地盤だったが、民主党政権崩壊後は、自民党二階派の大岡敏孝が着実に票を増やしながら連続当選している。前回総選挙では引退した川端の後継として嘉田由紀子前滋賀県知事が無所属で立候補したが、希望の党と連携しようとしていたことにキレた社民党に刺客候補を立てられ非自民票が分散し落選した。

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 その後嘉田が参院選に出馬することになり、滋賀1区の野党統一候補は国民民主党の斎藤アレックスに変更。前原誠司元民進党代表の元秘書で、元々参議院京都選挙区から出馬する予定だったのだが、立憲民主党が後から擁立した候補で非自民非共産候補を1本化するためにこれを退くことになり滋賀へ。

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 全国的にも珍しく、滋賀では国民民主党と共産党が協定書を結んで共闘をすることに。

 その後公示日にも大津を訪れた。各メディアの調査では接戦判定。選挙直前に大岡が環境副大臣になり地元入りが難しくなったのが原因ではないかと推測。

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 この日、大津には国民民主党の玉木雄一郎代表が(横でこくみんうさぎの板を持って立ってるのは川端元衆院副議長)

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 TAMAKINの演説は初めて聞いたのだがかなり上手で、そりゃあ香川で人気な訳だと納得。

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 川端達夫と斎藤アレックス本人の演説も見終わったので帰宅。ちなみに川端は現在国民民主党の党籍を保有しているらしい。

 選挙結果は大岡が1万3千票近く票を上積みして再選。斎藤はダメかと思われたが、11月1日の早朝、4時20分ごろに比例近畿ブロックで国民民主党が1議席獲得したことが確実となり、まさかの比例復活で初当選を決めた。

【京都1区】

 京都市北区、上京区、中京区、下京区、南区から成る選挙区。文科大臣、財務大臣、自民党幹事長、衆議院幹事長等の要職を歴任した自民党の大物伊吹文明が2009年の政権交代選挙を除いて毎回当選していた。

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 その一方で、蜷川虎三による革新府政が長く続いた影響で共産党が異様に強く(1区に限らず京都はその傾向がある)、現行選挙区制度になってからは共産党の穀田恵二国会対策委員長がそこそこの惜敗率で比例復活している。ただ、これは毎回共産党の比例近畿ブロックで1位に指定されているからでもあるので、ライバルの伊吹から「どんなに倒したと思っても必ず近畿比例1位で国会にやってくるのであんまり戦ったという印象がない」と言われている。実際のところこの二人は仲が悪い訳でもなく、お互いにリスペクトしあっている。


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 今年6月、伊吹が政界引退を表明。その後、後継者が発表された。政治家の世襲に対して否定的な伊吹の後継者ということで誰かと気になっていたが…

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 勝目康。上京区の勝目医院の医者(現在はやすし妹が継いでる)の息子で元総務官僚。中京区の生まれで京都府に出向した経験もある、京都1区の政治家としてこれ以上ないほどぴったりな人物だった。

 実は選挙期間中に勝目やすし個人演説会に行く機会があったので、その時のことも書いておく。この時は、勝目・伊吹のほかに、伊吹と同じ二階派の武田良太前総務大臣も弁士としてやってきていた(他の人の応援でも忙しいのですぐに帰って行った)。

〈武田良太〉
・総務大臣だった頃、部下から勝目の優秀さを伝えられた  
・京都市のワクチン接種に関してのあれこれで伊吹に助けられた
・頑張ったのに野党は批判ばかりで提案しない

〈伊吹文明〉
・商店街で支援者に「勝目をよろしくお願いします」と頼むと「どこの党ですか」と返された(会場内に笑い声)
・まだまだ知名度不足
・共産党に負けるようなことになれば霞が関で信用されなくなるので小選挙区での当選でないといけない
・自分の選挙よりも大変で、精神的にも肉体的にも疲れている

 残念ながら勝目康候補本人の演説はほとんど覚えていなかったが、初出馬だからかあんまり演説上手じゃないなと思ってしまった。前に喋った人が上手すぎるのがいけない。

 一方今度こそ初勝利を決めたい共産党。1区内には多分日本一戦闘力の高いポスターが出現。

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二条に行く用事があった時には二条駅前での街宣に遭遇

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 内容は「まあ、共産党の人間がよく言いそうな事だなあ」といったものだった。覚えているのは、演説が終わってから隣の韓国料理店の売り子に「お腹空いてないですか」と聞かれて「それやっちゃうと買収になっちゃうんだよねえ」と答えていたことぐらい。

 

 結果は今までとあまり変わらず勝目が初当選、穀田は比例復活となった。更に日本維新の会から出馬した堀場幸子も比例復活した。南区や下京区ではなんと穀田を上回る得票をしていた。京都にも維新のブームが来てる…ってコト!?

 

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 ところでこのポスター結局なんの為に貼ったの?

 今回はここで終わり


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