逝ってしまった貴女へ
彼女のものを一つ一つ片付けるごとに、一つ一つ彼女の存在が消えていってしまうようで、手に取って残しておいても意味がないことも、もう使われることもないとわかってるのに、また元の場所に戻してしまう。
部屋の中でちょっとした瞬間に彼女がまだいるような気がして…
洗濯機を使う時、食器を洗う時、眠りにつく時…生活の端々でどうしても彼女の存在を探してしまう。
愛している、も
大好きだよ、も
かけがえのない存在だということも、もっと沢山伝えられた筈なのに。
命は有限だと知っているのに、私は何度も同じ過ちを繰り返す。
どうやって眠っていたのかも
どうやって食事をしていたのかも
彼女が好きだった食べ物はなんだったか
彼女が好きな場所はどこだったか
気づけば彼女はいつも私の傍らでなんでもないように穏やかに寄り添ってくれていた。
彼女のいない時間をどうやって生きてきたのか分からなくなってしまった。
おいていかないで
連れていかないで
私から彼女をとらないで
声に出して泣いて懇願しても、そこには誰もいないのに
ほとんど見えなくてなっていた瞳で
周囲を見渡して私を探し「ここにいるよ」と伝えるとまた静かに眠りにつく。
何もしてあげられなかったのに
救ってもらったのはいつも私だったのに
最期まで私の心配をしてくれた貴女
あの朝、寝落ちてしまった私が目を覚ますともう歩くこともできない身体なのに少しだけ上半身を持ち上げて、私の方をじっと見つめ小さな声で鳴いてくれた
私が起きるまで待っていてくれてありがとう
最期の瞬間までまで私に寄り添ってくれてありがとう。
愛していた
これからも愛している
もう触れられないし、どこを探しても貴女はいないけれど
どうか、次に生まれ変わる時は目一杯幸せになっください。
私1人では気づけなかった幸福を教えてくれてありがとう。
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