ココナツ洗剤
洗濯や掃除に食器洗いなど幅広く使えるココナツ洗剤。
リニューアルを機にイチから見直した話。
∥製品表示
ラベル情報はなかなかに大事。
100%植物由来でも、最終形態は合成洗剤。ココナッツ→ココナツということだろうか。
成分表示には製品の個性が…記載されているのは界面活性剤15%分だけとしても。
自然由来の洗剤ではよく見る組み合わせ。
脂肪酸アルカノールアミド
├ 非イオン性
└ 増粘、増泡
アルキルエーテル硫酸エステルNa
├ 陰イオン性
└ 洗浄、起泡
ファクトに絞った新ラベルに対し、旧ラベルはというと…
「除菌・脱臭」「石鹸より安全・無公害性」「排水が〜キレイにします」って、ココナッツオイルの控えめな性質を誇張したような…
どこぞの指導でも入ったかな。
最も気になるのは、アルキル硫酸エステルNa (AS) から、アルキルエーテル硫酸エステルNa (AES) にひっそり変更された点。
成分としては別モノであり、再検討のきっかけとなった。
∥安全性
脂肪酸アルカノールアミドは、有機感が残る名前のごとく、安全性についてのお沙汰も特に見かけない。
アルキルエーテル硫酸エステルNa (AES) にもこまごまあるらしく断定はできないけど、下表のように同一成分と見なされるのが常。
違うのであればエビデンスを…素人にもわかる範囲で。ポンコツ
$$
\begin{array}{l:l:l} \textbf{洗剤}(家表法)&\textbf{化粧品}(薬機法)&\textbf{指定化学物質名}(PRTR法)\\\hline\hdashline
アルキル硫酸エステルNa&ラウリル硫酸Na&ドデシル硫酸Na&\\
アルキルエーテル硫酸エステルNa&ラウレス硫酸Na&ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル硫酸エステルNa\\\hdashline
脂肪酸アルカノールアミド&コカミドDEA/MEA&対象外\\
\end {array}
$$
メーカー曰く「すべての成分が化粧品に使用されている成分で構成されています」とのこと、ココナツAESもラウレスと見なしていいかと。
この似通った名前の二つ、お国が目を光らせる成分 (指定化学物質) ではある。
どんなリスクがどの程度あるか、安全データシートで確認できる。
元はといえばASにエーテル付加してできるのがAESで、肌への負担は減るとのことから、今すぐ乗り換えるまではないと判断。
そもそも全成分のうち15%のことだし、無頓着はともかく、神経質すぎてもどうだろう…
残る85%の大半は水だと思うけど、家表法にそこまでの表示義務はなく、ココナツ側にはさらなる開示を願うところ。
∥身体洗いについて
市販のシャンプー・ボディソープが界面活性剤20〜30%とされるのに比べれば、ココナツの15%はマイルド処方となる。
そのためか、一部の販売店では全身くまなく洗う愛用者の声を掲載する形で容認している。
かく言うわが家も全身使いで、歴7年を超す今も特に問題なし。
とはいえ、無邪気なクチコミとシチ難しいデータで混淆の海を、身をもって泳いだ上の自己判断。
体質やニーズにリスク許容度は人それぞれだし、身体への使用は否定も推奨もいたしませぬ。
∥生分解性
「ココナツは易生分解性」とのメーカー言質から、排出から28日以内に70%以上の生分解率を達成していることになる。
これは一般的にも高水準だそうで、すばやい分解でAESの魚毒性を回収する形だろうか。
やはり最もエコなのは石鹸だけど、別のところで負荷が高く…強い脱脂力と石鹸カスの問題。
竹炭だけで泡ゼロ洗浄ならいざ知らず、「ちきゅうにやさしい」も簡単にいかない。
∥結論として
満点がない中、結局は何を取り、何を手放すかの話。
私にとって取るものとは、多用途・人体や環境になるべく低負荷であること。
手放していいのは、インスタント性 (即時・劇的効果)。
運用コストも含めて一番近いところにあるのがココナツ洗剤というだけ。
より逸材が見つかれば、変わりゆくもの。
ぶっちゃけ洗浄力はホドホドでいいから、無茶を承知で言うなれば…
洗剤や洗浄料の垣根を取っ払い、
オープンソースな製造により、
害性ゼロの陰イオン性に、アルキルグルコシドあたりを組み合わせ (雑にして具体的)、
アレコレ盛らないシンプル処方で、
水や大気に大地、いかなる動物の負担にもならない、
フェアトレードで児童酷使もない、
ただただ有り難く植物の力をお借りするような…
宮沢賢治よろしく、「サウイウモノニ私ハ逢ヒタイ。」
本当は誰もが望むとこだろうけど。
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