起泡のキホン
植物由来の洗剤 (非石鹸系) の奥ゆかしすぎる泡立ち。
その解決に一役買うのがアブラだなんて、ダークホースもいいところだった。
∥そもそも泡とは
洗浄の主戦力というより、汚れを浮かせ、洗剤のムダ使いを抑える補助効果が大きい。
なにより、むくむく起きてくる泡がもたらす本能レベルの至福ときたら…
不可欠じゃないけど、不要でもない。
そんな狭間のスタンスで、植物由来の泡を究めていく次第であります。
∥泡の素は脂肪酸
泡のカギは油脂に含まれる脂肪酸にある。
$$
\begin{array}{l:c:c:c:l} 脂肪酸&泡立ち&泡持ち&泡質&洗浄力\\\hline\hline
\textbf{ラウリン酸}&◎&✕&大きい&冷水〜\\
\textbf{ミリスチン酸}&◎&△&細かい&温水\\
\textbf{パルミチン酸}&△&◯&細かい&50℃〜\\
\textbf{ステアリン酸}&✕&◯&‐&60℃〜\\\hdashline
\textbf{オレイン酸}&◯&◎&細かい&冷水〜\\
\textbf{リノール酸}&◯&◯&細かい&冷水~\\
\textbf{リシノール酸}&◎&◯&大きい&なし\\
\end {array}
$$
$$
\begin{array}{r}※上部:飽和脂肪酸,下部:不飽和脂肪酸
\end{array}
$$
上記は石鹸に限った話ではなく、わが家が重用する『ココナツ洗剤』では不飽和脂肪酸が合っているような…
∥推奨オイル
◼️米油
米胚芽油、玄米油とも。
ほどよくサッパリと洗う泡。
他のオレイン系オイルに比べ、芯のある泡が続く。
組成バランスがいいのか、あるいは脂肪酸外の成分が関係するのか…?
◼️白ごま油
セサミオイルともいわれる、焙煎されていない無色透明のオイル。
しっとり感を残して洗う泡で、芯もある。
◼️キャスターオイル (ひまし油)
洗浄力はない代わり、大きな泡と保水ベールで肌を包む潤す泡。
ただし、入りすぎるとまとわりつくので注意。
∥難ありオイル
◼️ココナッツオイル
儚く刺激的で打ち上げ花火みたいな泡。
オイル自体が夏に液状化して洗剤のトロみもろとも奪い、冬は固まって融かす手間が出る。
■オリーブオイル
オレインに振り切りすぎたか、かぼそく終わる線香花火の泡。
石鹸作りの感覚でココナッツオイルとブレンドしても、ノンソープ洗剤では同じ勝手とならず…
■植物バター
シア、カカオなど。総じてステアリン酸が多く、起泡に貢献しない。
そもそも、リッチな保湿力のバターが真価を発揮するのは、リンスオフものよりリーブオンものじゃないかと思う。
∥どのように使う?
もともと泡ヂカラの強い石油系や石鹸系の洗剤には要らぬお世話かと。
『ココナツ洗剤』 (界面活性率15%) と類似の製品であれば、総量の2%までのオイルを加えると、何かしらの変化はあると思う。
経験上、洗浄力と肌への優しさを両立できるのは17%前後と感じていて、オイル+2%の範囲なら洗浄力を落とすことはないはず。ハズ
ものすごーく雑な理論。
∥ちなみに脂肪酸以外では…
界面活性成分とタッグを組む脂肪酸ほどの泡ヂカラはないけれど、水のみで泡立つサポニンがある。
ウールやシルクなどの動物繊維も洗える優しげ泡。
サポニンの単体入手は難しいため、含有豊富な植物ごと用いる。
ムクロジ (別名ソープナッツ)、シカカイ(ソープポッド)、サイカチの乾燥果実をまるごとだったり、パウダー化したものだったり。
ただ 、サポニンは魚毒成分でもあり、乱用には注意。
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