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安南将棋の棋譜表記法の提案

こんにちは、安南将棋指しを自称する御原真尋(みはら まひろ)と申します。

修論が忙しくなり、安南将棋も全然触れていないこの頃。まぁ、普段から滅多に触れていないんですが……

さて、将棋には棋譜というゲームログがあり、多くの人に理解しやすいように取り決められた規約のようなもの(表記法)があります。
安南将棋も基本的には本将棋にならって同じ表記法で棋譜を取ればよいのですが、ルールの差異により本将棋の記法を用いるにあたって不都合な点が少しあります。
この不都合な点の紹介とそれに対する安南向け記譜法の提案をしたいというのがこの記事の意図です。


【参考】本将棋の棋譜表記法

念のため本将棋の棋譜について確認しておきます。
棋譜の表記法は日本将棋連盟のサイトに書かれています。


図1 棋譜の例

棋譜は6つのパーツに分かれています。

(1) 到達地点の筋
(2) 到達地点の段
(3) 駒の種類
(4) 駒の相対位置
(5) 駒の動作
(6) 成・不成・打

このうち(4)と(5)については以下のように定められています。

(4) 駒の相対位置

右=指す側から見て右側の駒を動かした場合
左=指す側から見て左側の駒を動かした場合

(5) 駒の動作

上=1段以上、上に動く
寄=1マス以上、横に動く
引=1段以上、下に動く

ただし、金銀が横に2枚以上並んでいる場合は、1段上に動く場合には「直」と表記します。

既存の表記法では区別できないケース

本将棋では起こらない桂馬跳び

図2

図2の局面で「44と」について考えます。

上記のルールに従うと、
54とが44に移動 ⇒ 44と寄
55とが44に移動 ⇒ 44と上
56とが44に移動 ⇒ 44と上
となってしまい、区別がつきません。

これを区別するために(5)駒の動作に「跳」という動作を追加します。

跳=(2,1)または(2,-1)方向への移動

安南将棋の棋譜表記まとめ

さいごに、図3の局面での「55と」の表記をまとめて終わりたいと思います。

図3

33とが55に移動 ⇒ 55と右下
45とが55に移動 ⇒ 55と右
46とが55に移動 ⇒ 55と右上
47とが55に移動 ⇒ 55と右跳
54とが55に移動 ⇒ 55と下
56とが55に移動 ⇒ 55と直
65とが55に移動 ⇒ 55と左
66とが55に移動 ⇒ 55と左上
67とが55に移動 ⇒ 55と左跳
73とが55に移動 ⇒ 55と左下

さいごに

今回は本将棋の棋譜を拡張して安南将棋の棋譜表記法について考えました。
「安南将棋の棋譜表記法の提案」などと大きく言っておきながら実際には「跳」という漢字1文字を提案するに過ぎませんでしたが、そのあたりはぜひご容赦いただければ…。

本将棋と安南将棋ではルールが異なるため、本将棋のルールや用語では対応できないことがこの他にも多々あると思いますが、いつかの機会にそういったものもまとめられれば良いなと思います。

ご拝読いただきありがとうございました。

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