野良ネズミの魅力
2020年、僕にたくさんのバスを連れてきてくれたのが、ティムコの野良ネズミ。半日で6匹、最大で47センチなんて日もあったし、真夏でどうしようもないと諦めていた昼過ぎに貴重な1本を絞り出してくれたことも。同じブッシュから1時間で3発ということもあったな…今時、一つのブッシュから複数釣れるなんて滅多に起きません。それくらいバスを狂わせる魅力があるルアーです。僕は普通のサラリーマンで月に何度もフィールドに出られるわけではなく、とにかく釣獲能力の高い野良ネズミとの出会いには助けられました。
一方で、とてもキュートなルックスを持ち、釣り人を釣ることにもたけています。これで釣れたらうれしいな!と思えることは、ルアーとしてとても大事な要素です。自分も最初はそういう動機で使い始めましたが、あまりに釣れ続くうちに超1軍へと上り詰めていきました。
【使い方】
基本的には「細かなドッグウォークをノンストップで続ける」のみです。すべてのフィールドでそうとは言い切れませんが、障害物周りをチョコチョコチョコっと引いたら、さっさと回収するのが大事です。
もちろん何もないと見せかけて岩や舟が沈んでいて、その上を通ればバスが飛び出てくるかも知れません。でもピンポイントを知らないなら、見えているアシやクイなどを通過したらさっさと回収して次のポイントに狙いを変えるのが吉です。出るときは一発で狂ったように出ます。
キモだと感じているのは、「ストラクチャーに突っ込ませる」ことです。特にアシでの話です。素人にとっては、トリプルフックのルアーをアシ際にピタリと着水させるなんて至難の業です。そりゃ百発百中でできるならポッパーでもいいかも知れませんが、野良ネズミならルアーロストを恐れず投げ込んでいけます。そしてそれが結果としてバイトへとつながります。
あのカワイイ形状の特長で、本当に引っ掛かりません。だから飛ばしすぎてネズミがアシに突っ込んだとしても大丈夫。ただし、うまく脱出させるにはコツがあります。
まず慌てて引っ張らないこと。ロッドであおるのもあんまりオススメできません。PEラインを使う釣りですので、急な動きをさせると糸の特性でクルクルと巻き付いて回収不能になります。ひっかかりそうな箇所までゆっくり巻いてきて、茎などに軽くスタックしたかどうかの所で技を発動させます。それは「ロッドのお尻を左手でコツコツたたいて揺する」という技です。とあるプロに教わったのですが、ポロっと抜けます。笑えます。
この技のいいところは、ネズミがポロっと水面に落ちるので、そのままバイトチャンスに変わることです。力一杯外すと、ストラクチャーから離れて着水するし、揺れや音で魚を驚かせてしまいますからね。いいことだらけです。
で、あとは必死に逃げるネズミ(虫?カエル?)を演出するのみです。止めないことが大事。釣れない時間が続くと、自分も今でも止めたくなりますが、ステイ中に出た記憶はほぼないです。1回あったかな?ってくらい。
合っているかは分かりませんが、あれが例えネズミではないとしても、ああいう系のエサは陸地から落ちてくる何かに似ているのでしょう。いきなり水面に落ちてきても魚は反応しにくくて、バスの期待通り草むら側から現れると疑いなくバイトするのではないでしょうか…
トゥイッチを続けるので、まあ前腕がパンパンになります。無駄な疲労を避ける意味でも、急所を超えたらさっさと回収しちゃいましょう。勝負の場所でのみ頑張る。これも大事なことだと思います。
補助的な使い方として「チョウチン」も実績があります。護岸に張り付いて生えるアシの向こう側に竿を出してチョンチョンやっていたら出ちゃったことがあり、それ以降は念のためやるようにしています。尻尾がマイクロサイズのストレートワームっぽく動くのが効くのでしょうか…でもドッグウォークの方が圧倒的に釣れるので、あくまで補助です。
【タックル】
2020年の釣りフェスティバルで開発者の大津さんに直接教わったそのままです。
ロッド: フェンウィック リンクス LINKS-CT60SULP+J "Critter Stick"
リール: スピニング2500番(ハイギアで、軽いほうがいい)
ライン: 柔らかいPE1.5号(完全シーバスなど)
フック: インフィニ#1/0
ラインは0.8号でもやってみましたが、障害物周りで使いますし1.5号の方が安心でした。あと0.8は細すぎて無駄に飛びすぎて難儀しました。1.5で飛距離も十分で、ライントラブルも特にないです。
ロッドは専用のクリッタースティックが抜群なのは言わずもがなです。LやMLのロッドでやりましたが、ウネウネウネ~という動きを出す難易度が全く違います。もちろん他の竿でもやれるんですが、厳寒期以外は常に投げる可能性があるので、専用タックルを組んでしまえばいいと思っています。
色々なテクニックで釣れるのがバスフィッシングの面白いところで、僕もこれからも開拓を続けていくつもりです。でも、それでもしばらくは野良ネズミが僕の中心選手として君臨するでしょう。