新壱万円券のデザインの許せないこと
お疲れ様です。
7月3日から新日本銀行券の発行が始まりました。自分も約1週間たってようやく新壱万円券(以下渋沢券)を手に入れました!
新紙幣のデザインに関しては数年前に発表された当時から賛否両論ありましたが、今回実際に手に取ってみてデザインを学ぶ自分が「許せない」ことを3つピックアップしたので是非読んでいってください。
この記事では紙幣の全体的なデザイン構成や前々から言われていた額面を表示するアラビア数字などについては言及しません。また自分はユニバーサルデザイン(国籍や障がいなど関係なく広く多くの人にわかりやすいデザイン)については未履修なのと、日本政府がむこう20年ほど使用される国家の顔とも言える紙幣のデザインを適当にするわけもないと思うので、これから言及することにはデザイン的な意味以上に実用的な意味があるのかもしれません。
許せないこと其の壱 「文字の中に背景がない」
まず、文字というのは線の組み合わせだということは皆さんもわかるでしょう。その上で文字は線のある部分とない部分で構成され、その2つの要素から私たちは文字を認識するのです。そして文字というのは紙の上に「書かれる」ものという認識もあるでしょう。そのため、線のない部分にはその台紙の模様がそのまま残っているべきです。渋沢券においては、東京駅の絵が背景であり、その上に文字が書かれているという印象を受けるはずです。それなのに、渋沢券裏面の額面数字を見てみると0の中は塗りつぶされ、背景がありません。非常に大きな違和感を覚えます。流通紙幣(以下福沢券)はとても小さいですが背景がしっかりと透過されているのが見えます。背景が黒などの文字と類似した色ならまだしも、全く邪魔しなさそうな色なのに。
許せないこと其の弍 「カーニングがされていない」
カーニングって何?という方に簡単に説明しますと「文字と文字の間のスペースを調整し文字列を違和感なくそして美しく仕上げるテクニック」です。気になった方は調べてみてください。デザインはしなくても、パワポを作成するときにも有効です!
そしてこのカーニングが渋沢券ではあまりできていないように見受けられます。裏面のNIPPON GINKOの文字列でNIPとPONで2単語に分かれているかのような印象を受けます。またGINKOの部分も特にKの両隣のスペースが気になるのではないでしょうか。これらは先ほども説明した通り、スペースの調整を怠った結果です。Oは特にカーニングに置いて一番槍玉に挙げられる文字と言っても過言ではないくらい、多くのデザイナーを悩ませます。縦や横のラインが無いから、他の文字との間隔の取り方がとても難しいんですよね。しかし、NIPPON GINKOという名前の特性上Oが2回も出てきてしまうので、もうちょっと頑張って欲しかったところです。ただ一方で福沢券ではしっかりとカーニングがなされ違和感がないことが、素人でも見てわかると思います。これはこのままで良かったんじゃ良かったんじゃないかとも思ってしまいます。
許せないこと其の参 「額面表示が右上にない」
皆さんの使用している財布を想像してください。おそらく多くの方が長財布や折りたたみ財布のような紙幣を横向きに収納するものを使用しているのではないでしょうか。となると、紙幣を取り出す際に一番最初に見るのは紙幣の上部分です。そして紙幣の角は額面が表示されている場所として多くの人が認識しています。これは米ドルや英ポンドなどでも同じことから、世界共通の認識と言っても過言ではないでしょう。しかし、渋沢券では取り出す際に表面右上角を見ても額面がわからないということが発生します。これは不便極まりないです。取り出すたびに反対の角を見なくてはいけないし、そこに書かれてるのも漢字ですから外国人などはもっと下まで取り出さなくてはいけません。ただ、優秀なことに日本銀行券は千円券は青、五千円券は紫、壱万円券は橙と言ったようにそれぞれの種類に応じて「色」がありますので、一部だけ見えれば色で判断できるかもしれません。しかし、紙幣を取り出す瞬間は焦っている時、酒に酔っている時などさまざまです。色をいちいち確認して思い出してる暇なんてない時もあります。間違いを防止するためにも額面表示が表面の上角両方でなくなってしまったのは大きなダウングレードと言えます。
最後に
自分は全体的な新紙幣のデザインはとてもモダンでありながら日本らしさも残した良いものであると大変気に入っています。しかし、細かいところを見ると、「手抜きなのかな?」と思ってしまう部分もありました。ただ一番最初に説明した通り、今回の紙幣発行における最も大きな課題の一つはユニバーサルデザインへの対応であり、私はそれを学んだことがないのと、政府も適当なことをするはずもないと思うので、私が上で紹介したデザインには何かしらの意味があるかもしれません。まぁ数ヶ月もすれば市場に多く出回ってきて見慣れてくると思います。その頃には細かいことなんて気になってないと思いますが、最初の印象として書き留めておきたかったので今回投稿しました。福沢券には許せないデザインないんだけどなぁ
それではまたいつか。
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