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シードステージのCFO        資金調達 1. 登場人物

シードステージのCFOの小林です。自己紹介記事もありますので、ご覧いただけたら嬉しいです。

2024年8月にCFOを務めている株式会社チッピーにて資金調達を致しました。

また、私の前職であるGOOPASSという会社では数回に分けて30億円超の資金調達を実行致しました。

シード〜シリーズCの資金調達の経験をし、調達方法についてご相談を頂くことも増えてきました。何かお役立ちできる情報になるのではないかと思い、初めて資金調達をする方に向けて書きたいと思います。
1. 登場人物
2. 事前準備
3. 投資家との面談
4. 投資実行(払込)
こんな四部構成にしたいと思っています。

登場人物がどんな人達か分からないと想像力も働かないと思うので、まずは各登場人物を紹介致します。

① Equity と Debt

大きく2種類、投資(以下、Equity)と融資(以下、Debt)があります。Equity資金の出し手である投資家とDebt資金の出し手である主に銀行のビジネスモデルを比較すると下記のような違いがあります。

Equity:100社に投資したら1社すごい大当たりをする(会社の価値が⚪︎倍になって儲ける)
Debt:100社に融資したら1社しか倒産を許容できない(数%の金利で儲ける)

このようなビジネスモデルの違いがある中で、自社の魅力は投資家と銀行で異なることを留意しなくてはなりません。前者は会社の価値がどれくらい上がるか、後者はいかに確実に融資の返済ができるかが魅力を訴求するポイントになります。
こちらのnoteでは、Equityについて掘り下げて書きます。


② 投資家の種類

前段で触れた投資家にも様々な種類があるので代表的な人達をご紹介します。

ベンチャーキャピタル(以下、VC)
外部(事業会社や銀行等が多いと思います。LPと表現されます)からお金を調達してスタートアップ投資自体をビジネスにしている投資家です。投資する会社のステージや業種にポリシーがあるところが多く、投資の目的は純投資です。リターン目線として、シードなら⚪︎倍、シリーズAなら⚪︎倍 と彼らの中でも基本ルールがあります。ファンドには満期があり、その期日までにExit(IPOもしくはM&A)できるかという時間軸も投資をする上で重要視するポイントです。

コーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)
事業会社が運営するVCです。事業シナジーがあるスタートアップを発掘する+余剰現金を積極的な投資に回す という考えで運営されているかと思います。その会社の経営企画室や財務部が兼任されているケースもありますが、投資実務はVCが請け負っている(グローバルブレインさんなど)CVCも多くあります。このように登場人物が多いので、どのような意思決定プロセスなのかはCVCによって大きく異なります。事業会社よりも請負VCの方が意見が強かった、その逆だったというケースがあるので、個社毎に異なる前提でコミュニケーションするのが良いかと思います。また、CVCという呼称ながらVCのようなファンドではなく、下段で紹介する事業会社のように本体からの直接出資をしているところも多くあります。

事業会社
CVCを持たずに、直接投資活動を行っている事業会社もあります。その会社のBSから直接出資しますのでファンド満期のような投資期限は無く、IPO後も株式保有する方針の会社もあります。事業シナジーを重んじるところが多い印象ですので、心強いパートナーにもなり得ますが、事業シナジーを作ることで忙殺されてしまい自社の事業に手が回らなくなるということもあり得ます。お互いの期待値の確認が大切です。事業シナジーの解像度を上げるために事業部門も議論に参加することも多く、投資検討が長くなることもあります。

エンジェル投資家
純粋に応援の気持ちで投資する方もいますが、リターンを目的とした純投資目線の人も多いかと思います。顧客紹介や経営支援などメンター的な役割を担ってくれる方もいます。一方で、個人のお金を扱うこと緊張感はありますし、担当交代ももちろんありません。個人によって投資への期待やリテラシーも様々です。信頼関係が特に重要だと思います。

また、投資家は忙しい方が多いと思います。投資をする会社を見つける以外に、投資した会社のフォロー、(VC, CVCの場合)LPへの報告、次のファンド組成に向けてLP募集、(事業会社、エンジェル投資家の場合)自分たちの本業、などマルチタスクがかなり多いと思います。自分たちのことを短い時間で魅力に思ってもらい、検討プロセスも効率化できると良いと思います。

③ 社内メンバー

CFOや財務責任者がいない会社も多いと思いますので、社長や事業責任者、コーポレートメンバーを中心に初回の資金調達は進めることになると思います。感情としてはおそらく「不安」で、こんな種類があるかと思います。
・本当に自社は魅力的だろうか。他社と比べるとどうなのだろうか。
・資金は集まるのだろうか。集まるにしてもいつまでにいくら資金を集めるのが良いのだろうか。
・(コーポレートメンバーから)社長や役員が楽観的に見えるが資金調達は順調なのだろうか。
この不安を払拭するにはとにかく関わるメンバーへの見える化が大事だと思います。いつ資金が枯渇するのか、入金や支払タイミング・販管費抑制をするとその資金枯渇タイミングはいつまで伸びるのか、各投資家からの期待投資額と確度はどれくらいか。2.事前準備のところで後述いたします。

④ 協力者

既存の株主、銀行、取引業者、顧客、様々なビジネスのベテランが色んなネットワークを持っています。自分達のリソースやコネクションだけでは限界もありますので、いかに集めるかが重要です。皆様本業があるので忙しく、協力してくれる理由は「応援」「信頼」などの感情的な繋がりによって動いてくれていると思います。都合の良い時だけ連絡してくる人にならないように逐次ご報告や御礼が大切です。今ある信頼を無くしてしまうことにも、今ある信頼をより強固にすることもコミュニケーション次第でどちらもあり得ます。


このようにたくさんの登場人物がいるので、自分を中心に置くとあまりうまく進みません。次から具体的なプロセスのご説明をしますが、登場人物の今の状況や感情を想像する為に逐次振り返る機会は常に作った方がよく、思いやりと想像力によって資金調達もうまく進むと思います。

資金調達についてご相談などございましたら、Facebook MessangerやLinkedinなどでお気軽にご連絡頂ければ幸いです。

また、チッピーのコーポレート部門に興味がある!という方もお気軽にご連絡頂ければ幸いです。まだオープンポジションでは無いのですが、少し長い目線で応募へのご興味を持って頂けたら嬉しいです。

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