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【ボウケンジャー】第12話~第14話

Task.12「ハーメルンの笛」

 ツインカムエンジェル、マジカルシスターズに次ぐ女子ユニット回。ただしこちらは特にコンビ名はなさそう。女子二人組というより、さくらはチーフ、菜月は真墨との組み合わせのイメージの方が強いため、あえてユニットとしてくくる必要性がないのかもしれぬ。互いに理解しあうイベントはもう序盤でこなしているので、ここでのチームワークはある意味当然なのである。
 立ち雛関連では冒険野郎の血をこれでもかと滾らせていたチーフだが、周りがボケればちゃんとツッコミに回ることも出来るのだ。それでこそ将の器。

 面倒なので三つまとめて同じものを注文した、という可能性もあるか。だとすると、菜月は一人一人の要望を確かめて回りそうだし、真墨はグリンピースが入っている可能性のあるメニューは最初から除外するだろうから、注文者は蒼太とみた。まさかグリンピースが入っていることを知って注文したなんてことはないとは言い切れないのが喰えないところ。

 どの登山道を登っても、いずれは頂上へたどり着くのである。正反対の性格の菜月とさくらだが、捕らわれた仲間や子どもたちを助けたいという気持ちは同じ。目指す頂上が同じなら、力を合わせて一気に駆け上っていくことも可能である。


Task.13「かぐや姫の宝」

 プレシャスには強大な力があると学習したジャリュウ一族、どうやら手当たり次第に宝物を探し回っているようである。効果よりも名前を理由に欲しがったり(確かに竜関係のプレシャスなら竜の強化に使えそうではある)、見た目がお宝らしくなければさっくりスルーしてしまったりするあたり、よく言えば大変シンプルなものの見方をしている。風のシズカもどちらかと言えばこちら側のように見えるのだが、彼女には深慮謀略をめぐらすブレーンがついているので問題なし。

 まあ、女好きであることと信頼のおける人間であることは必ずしも矛盾するとは言い切れないので……。
 女好きとは言うものの、女性に入れあげて身持ちを崩しているわけでもなく、ただただレディファーストを日常的に実践しているだけであるとも言える。紳士的でそつのない振る舞いはスパイ時代の訓練の賜物?

 本物の天の羽衣ともなれば、超一級のプレシャスであることは間違いなし。だが、サージェスの保護は必要ないだろう。セレネーはそれを自在に使いこなしており、地球上のネガティブシンジゲートからは手の届かない場所まで文字通り飛んでいくことが出来るのだ。
 仮に保護が必要なプレシャスだったとしても、蒼太はあえて黙っていたのではないだろうか。羽衣を奪われた天女は地上に縛られ家庭を持つものだが、蒼太はきっとそれを望まないだろう。

 よっ見栄っ張り! そういう素振りが全国の小さいお友達のハートをわしづかみにしていること請け合い。


Task.14「甦る過去」

 生き別れの妹を騙り、菜月に偽の記憶を刷り込んで同士討ちをさせようとするネンドガミ。お前は利用されているのだと囁かれ、頑なにそれを信じ込んだ菜月は真墨や仲間たちに敵意を向ける。あわやこれまでと思いかけた瞬間、真墨がとったのはおよそ彼らしくもない行動であった。
 菜月を助けたのは、菜月がかわいかったから。
 文字にしてしまえば「それだけ?」と拍子抜けしてしまうが、真墨にとっては一世一代の大告白@仲間の面前である。斜に構えてクールぶったいつもの真墨ならば絶対に言わないそんな台詞を、しかし彼はここで打ち明ける。菜月の洗脳を解くためには強いショックを与えなければいけないというのが理由の一つ。そして、なあなあにはぐらかして誤魔化してきたことへの後悔も少し。なにより、菜月からの不名誉な誤解を解くために真墨は必死だ。
 出会ってから二人で時間を重ね、経験を重ねていくうちに、「かわいいから」だけではないいろいろな思いが真墨の中に積み重なっていく。きっかけは見た目だったかもしれないが、ただかわいいという理由だけで無邪気すぎる女の子を連れて歩けるほど、冒険の世界は甘くないだろう。かわいいだけじゃない菜月の魅力を、今の真墨はよくわかっている。わかっているからこそ、初心に立ち返った「かわいかったから」というシンプルな一言がどうしようもなくこっぱずかしく、見ているこちらまでなんだか照れくさいのだ。これが青春、俺の青春。

 真墨の人生の転換点をどこかに求めようとしたとき、様々なポイントを挙げることが出来るだろうが、そのうちの一つが菜月との出会いであることは間違いない。以前ひとりで飲んでいたココアは、菜月と二人で飲んだ思い出の味となった。ボウケンジャーに加入し、二人だけで旅した日々は遠い記憶になっていっても、菜月がココアを淹れてくれるたびに、真墨は大切な思い出を呼び覚ますことが出来る。
 菜月にはそもそも人生の転換点がない。気が付いた時には、彼女の人生はすでに転換し終わっていたからだ。だから、真墨と二人でいた時間も、ボウケンジャーとなってみんなでいる時間も、菜月にとっては等価である。どちらの時間も大切であることの証明に、彼女は真墨から習ったココアを皆へ振る舞う。片方の時間だけを特別扱いするのではなく、すべての出来事が菜月にとっては地続きで、どれも新鮮なのだ。

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