【ニンニンジャー】第37話~第43話
忍びの37「手裏剣伝説 〜ラストニンジャへの道〜」
×27話 → 〇37話 まさかの話数間違い。
進路に悩むと言えば今までは風花の独壇場であったが、容赦なく時は過ぎ、とうとう年下の凪にもその試練が襲い掛かる。といっても堅実派の凪は1話の時点ですでに公務員志望であり、元々の目標を押し通すか、新たな目標であるところのラストニンジャに志望を変更するか、という、風花とはちょっと違った悩み方だ。
そしてかわいがられていることをそのままに享受している凪。世渡り上手の気配。
好天謹製のRPGにより、凪は自分の進むべき道を見定める。最後にはラストニンジャの力をお試ししつつ、ゲーム世界に入り込んでいたモクモクレンを撃破することに成功。好天のプロテクトがなっていないというより、妖怪なんでもありだなあという感じである。
忍びの38「魔女っ娘は八雲がお好き?」
デート回! 八雲の生真面目っぷりが堪能できるお話である。やはりエレナの身分と釣り合おうと思ったら、あれくらいの身分詐称はやむなしか。バレそうでバレないギリギリラインの嘘をついてまでエレナの夢を壊さぬように尽力するその意気やよし。
ボウケンジャーのデート回と見比べると、八雲の絵に描いたような振り回されっぷりがあからさまに見えてくるので、それもまた楽しい。とにかくエレナのために何かしよう、エレナの望むことをかなえよう、という努力は大いに評価されるべきだが、そのある種決めつけ的な心根はきっちり見透かされているのであった。
あんなに古風な見かけの学校であるから、体系立てて学問に位置付けられたエレガントな魔法の系譜以外は認めてくれないかとも思ったが、案外頭は柔らかいご様子。エレナがまだ子どもであることもその一因かもしれない。
そして翼ちん、てっきりプロボクサーになっているのかと思いきやまさかの先生である。ちょっぴり意外だったが、トレーニングや努力の重要性を知っているアスリートの翼であれば、案外根気強く教えてくれる良い教師になれるのかもしれない。逆に蒔人や芳香ちんが招聘されなかったことに安堵すべきか。
世を忍ぶ潜在的忍者は、若人向けファッション雑誌を買い支えられる程度には存在するようだ。そら忍者運動会のビラにもほいほいひっかかってくるわけである。あるいは忍者の伝統を絶やさぬように手弁当で作られている同人雑誌という可能性もあるが、それはそれで涙ぐましい。忍者の名誉を守る会辺りが一枚噛んでいそうな予感。
妖怪が死にかけて初めて子を成すとすれば、好天との戦いはまさにその絶好のタイミングであろう。有明の方は十月十日どころか、牙鬼幻月が封印されてから現在まで、最低でも444年間は身ごもり続けていたことになる。安定期を通り越しておなかの中で安住していそう。ともあれ、それだけの長い間育んできた命とあらば、出産の喜びもひとしおというものだ。
忍びの39「牙鬼の息子、萬月あらわる!」
なんて恐ろしい若君なんだー(棒読み)
萬月の肩や頭部から突き出すいくつもの手は、出産に際して有明の方が欲していた大量の恐れが形を成したもののようにも見える。血の池から伸びる無数の腕は分かりやすく地獄のメタファであるが、それに近い禍々しさを感じる。
こっそり演技の練習をしている萬月を想像すると少し愉快であるが、それはともかく。
牙鬼幻月の息子であるという自負を持ちつつも、そのプライドを全て押しやってうつけの演技を出来る萬月はなかなかのつわものである。自尊心よりも、ニンニンジャーを倒すという実利を選択するタイプ。有明の方から受け継ぐべき楽観的な性格は、どうやら母の胎内に置いてきてしまったようだ。
忍びの40「あぶないサンタクロース!」
クリスマスの時期に現れて頼んでもいないプレゼントを渡していくのは大抵怪人であると昔から相場が決まっている。たまに本当のサンタである場合もあるが、その場合にはプレゼント自体になにかとんでもない爆弾が入っているパターンが多いので要注意だ。
今回は霞にスポットの当たるお話。いつも年長者の余裕でほかのメンバーを見守り、サポートするのが霞のお約束だが、そんな霞にもスランプは否応なく訪れる。
同じ年長者でも天晴と霞・キンジは違うベクトルの性格をしている。天晴のある意味子どもっぽい、無邪気な性格は、大人の忍者として洗練されていく中で、本来はそぎ落とされていくべきものなのかもしれない。だが、伊賀崎流は「忍びなれども忍ばない」のである。刃の下に心ありと言うが、刃をふるう前に心をしっかり開示して、より連帯を高めていくのが次世代の伊賀崎流である。
忍びの41「牙鬼パーティー、五番勝負!」
牙鬼萬月の当主襲名の儀に余興として招待されるニンニンジャー御一行。萬月、つくづく遊び心があるというか、一息にひねりつぶさないあたりに彼なりの哲学を感じる。444年も羊水を揺蕩っていると一筋縄ではいかない人格が出来上がるのかもしれぬ。
天晴はストーリー上、折に触れて個性とチームワークの重要さを確認しながら成長していく。序盤で気付いた基本的なことが結局一番大切なのだ。
あんなナリなのに時々的を射たことを言うあたり、流石は天空のオトモ忍である。伊達に年の功を重ねていない。
忍びの42「オトモ忍ウォーズ!ネコマタの逆襲」
オッサンがコックピットに入るのはアリなのか! オトモ忍内の序列とか大丈夫なのか?
八雲と旋風の協力プレイにより、妖怪メガネコマタが爆誕。ネコマタ・マタネコときて三度目の正直である。声は旋風のままなので、流派東方不敗とはならなかったのが残念と言えば残念。
そして九衛門に真実を告げられ、ひとりさみしく命を散らす萬月。あれだけ引き連れていた有象無象はもはやおらず、盛者必衰のことわりを感じる。救いを求めるような手のモチーフも、九衛門の冷たいまなざしの前には無意味であった。
忍びの43「伝説のニンジャ!妖怪かるた大作戦」
伊賀崎家のセキュリティがザルなのは今に始まったことではないが、忍者や妖怪はともかく一般的な防犯は大丈夫なのだろうか。『D.N.ANGEL』の丹羽家よろしく玄関からいつもの道場まで数々のトラップが仕掛けられている可能性もあるが、はてさて。
妖怪ハンターである前に妖怪おたくのキンジにとっては、手作りカルタはまさに垂涎の一品であろう。というかパイセン、あんなに手の込んだカルタをハンドメイドするとは、案外時間を持て余していらっしゃるのか……。
これは完全な余談だが、「あつまれどうぶつの森」で芝刈り機が売られているのを見るとついつい無限回収してしまう。完全にカーリーのせいである。
封印された夫をひたすら待ち続ける有明の方にとって、萬月の存在は夫と自分とをつなぐかけがえのない鎹である。そうでなくても腹を痛めて生んだ我が子だ。その心情は想像するだに切ない。
一方の九衛門は、腹違いの弟について何の感慨も持っていない様子である。幻月復活のため、利用できるものは実子であっても利用するといったところ。自身が正妻の子でないからこそ、嫡男でありたいという願望は萬月よりもずっと鮮烈なのかもしれぬ。