【エグゼイド】第7話~第10話
第7話「Some lieの極意!」
「患者を救いたいなら信じろ」
いつもの軽薄さを消した、落ち着いた声音で貴利矢は言う。隣の永夢をひたと見据えて、さらに続ける。
「今日の自分に嘘は無い」
バグスターと「黒いエグゼイド」の猛攻に、さきに変身していたブレイヴは押され気味だ。迷っている時間は永夢にはなかった。なにより、CRで見た貴利矢の本音の一端を、永夢は信じることに決めた。
かくして、人バ(人とバイク)一体とでも言うべきドライビングテクニックでバグスターを圧倒していくエグゼイドとレーサー。あっという間にゲーム「ギリギリチャンバラ」をクリアすると、エグゼイドはそのガシャットをレーサーのドライバーへ装着した。そんなところにドライバーをつけていたのか……。
侍のごとく鎧を纏った人型になり、改めてレーサーは「黒いエグゼイド」へ勝負を挑む。今日の彼に嘘は無い。「黒いエグゼイド」の正体は壇黎斗であると断言し、論より証拠とばかりにその姿をエグゼイドらの面前で暴こうとする。「ギリギリチャンバラ」のキメワザ、空に放たれた無数の光の矢が、鋭い回し蹴りの圧で一気に相手へ殺到。「黒いエグゼイド」は激しい爆発と炎に包まれ、その後には壇黎斗が現れる――はずであった。
だが、黎斗とパラドはまだ種明かしを許さない。
裏切られる形となった永夢もショックであろうが、意図せずに裏切ってしまった貴利矢もまたしばし呆然としている。「今日の自分に嘘は無い」、今日だけは本当のことを話そうと、覚悟を決めていたはずなのだ。だが明かしたかった真実は歪められた。そして飛彩が去り際に語るのは、明かすつもりではなかった事実。
「黒いエグゼイド」の正体についても、貴利矢の同僚の死因についても、そこに至る過程をすべてすっ飛ばしたうえで急に結論に迫ろうとしたがために、情報の伝達に齟齬が生じているのであった。これを解決するにはよくよく話し合うしか方法は無いのだが、飛彩はもはや聞く耳を持たず、貴利矢の方も弁明する気など萎えてしまっている。「どうせ信じてもらえない」という諦めが、殊更に彼を偽悪的な言動へ駆り立てる。永夢が皮肉や冗談を真に受けるタイプだと、わかったうえでやっているからタチが悪い。
二体のバグスターを倒すなら二手に分かれるのが効率的であるはずだが、黒いエグゼイドによる妨害を勘案するとなかなかそうも言っていられない。バグスター相手にタイマンを張ったつもりが2対1でボコられてしまえば本末転倒だ。ということは、永夢たちが黒いエグゼイドを引き付けている間にもう一体のバグスターを叩く大我、ある意味おいしいとこどりでは。
第8話「男たちよ、Fly high!」
ゲーム内アイテムなのだからゲーム内のキャラが使えない道理はない。と頭では理解しつつも、実際に使われるとどきっとする。今回はどちらかというと、スナイプが無理やり効力を及ばせたような感もあるので、ゲーム設計の穴をついた裏技のような気もしないでもないが……。
「バグスターを人質に取られた」という飛彩の視点も巡り巡れば患者の治療ができないことへの憤りではあるのだが……、ニホンゴムズカシイネー。
巡り巡った先のゴールである「患者の命」を勝手に見据えて憤慨する永夢より、単純な事実である「バグスターの誘拐」を眼前に捉えている飛彩のほうがより冷静に思える。問題点を把握しているがゆえに、次の行動に推移しやすそうだ。手術中に臨機応変な対応を求められる外科医ならではの現実的な見方なのかもしれない。
パラドは見るからにグラファイトへの仲間意識が低そうだが、グラファイトもグラファイトでこっそりプロトガシャットを持ち出してしまうあたり、黎斗の事もパラドの事もあまり頼りがいのある仲間とは思っていなさそう。
まさか自分で自分に施術できるわけでもあるまいし、監察医のコネをフルに使えば適合手術の一つや二つ出来てしまうものなのだろうか……。
第9話「Dragonをぶっとばせ!」
モンハン回・上。そもそも敵バグスターを倒すと「GAME CLEAR」のファンファーレが流れる時点で、ライダーたちの戦いはどう見てもゲームなのである。いくらオペと言い張ったところで、手術室から退出する時に陽気な音楽は流れまい。永夢たちは「ゲーム会社の幻夢コーポレーションが作ったのだからそういう仕様なのだろう」くらいに考えていそうだが、世が世なら不謹慎狩りの憂き目にあってしまいそうな演出である。
仕事の一環みたいなふりをして永夢の情報を探っている貴利矢だが、後々偉い人から怒られたりしないのだろうか……。
大我は敵の本拠地でだいぶおくつろぎの御様子。さすが肝が据わっている。
第10話「ふぞろいのDoctors!」
モンハン回・下。ドラゴナイトハンターのガシャットはメイン使用者が他のライダーへ使用権限を付与することにより協力プレイが可能になる。当然ながら、中心で音頭をとる人間が必要になってくるわけである。今回の永夢のやり口(だまし討ち)は初回のみ使用できる猫騙しみたいな手口なので、次回以降もやろうと思えば他の工夫をせねばならない。
ばらばらの方向へ歩いていく飛彩たちを中心から見送る永夢。見ている方向が全く違う三人をかすがいのようにつなぎとめることが出来るのは永夢だけ、ということなのだろうが、永夢だけがどこにも歩き出せずにいるようにも見えてしまう。
1クール保たずに退場の憂き目とは。お疲れさまでした。