【ニンニンジャー】第1話~第5話
スーパー戦隊における忍者と言えば、思い起こされるのはポップな忍者ことカクレンジャー、ならびに忍びの風吹けハリケンジャーだ。いずれも本編を未履修のため、「スーパー戦隊ヒーローゲッター」によりお経のごとく刷り込まれている。少し前に学研の図鑑「スーパー戦隊」をひとから頂いたので、それぞれのページを興味深く眺めた。ひと口に忍者と言っても、あくまでもそれはモチーフであり、テーマや個性は様々なのである。
個性と言えば、これから視聴しようとするニンニンジャーもまた個性の塊のような戦隊である。忍びなんだから忍べよ、とか言ってはいけない。草の者たる忍者でありながらも、奴らは日陰に潜むのではなく、日向の道を堂々と暴れて行くのである。
というわけでニンニンジャー、リアタイはしていたが、記憶に強く残っているのは八雲の出自、「イングランドで魔法のレッスンを受けている」というただその一点ばかりである。なぜピンポイントでそこなのか。魔法を使える忍者、これもまた余人に代えがたい個性だ。
忍びの1「俺たちはニンジャだ!」
×合体時にで→〇合体時に
爆発落ちならぬ、爆発開けである。斬新な開幕と共に、修行の旅から戻った天晴ことアカニンジャーは華麗な殺陣を続けざまに披露する。タイトルに冠した「忍者」の名に恥じぬ、アクロバティックでわくわくする始まりだ。
さっそく次々に召喚されるオトモ忍たちだが、他のオトモ忍たちにいちいち絡みに行くシノビマルがかわいい。ワンマルのリードに引きずられてみたり、ダンプマルのうえでちんまり正座してみたり、もはや完全に癒し。そのくせいざ実戦となればはちゃめちゃ軽快に動く。巨大ロボの重厚感を全く感じさせない足さばきは、やはり忍術の影響によるものであろうか。
ダンプマルといえば、OPで足を投げ出してダンプマルに乗っているキニンジャーが最高に無邪気かわいい。忍者刀をぐっと外皮に突き立てて操縦桿のように使っているが、「巨大ロボの上に立つのは浪漫」と「戦闘中に手すりもないところに立つのはさすがに危険」の妥協点をうまいこと見つけたようにも思える。忍者だからバランス感覚は優れているはず、と言われれば、それはそうなのだが……。
忍びの2「ラストニンジャになる!」
わざわざイングランドでのレッスンを中断させられてまで忍術修行をしている八雲である。今まで学んでいた魔法と比較し、うまく扱えない忍術を軽んじてしまいたくなる気持ちもわからないではない。ただ、ラストニンジャの孫であるという血筋が魔法の習得にもプラスに働いている可能性は否定できないので(同じ不思議パワー仲間として)、まあそこまで嫌ってやるなよ、と肩を叩きたいような感じもする。
忍びの3「強敵、蛾眉あらわる!」
世に武将は数あれど、第六天魔王の呼び名をほしいままにするのは信長を置いて他にあるまい。有能な小姓がついているから、という安直な思い付きではあるものの、牙鬼幻月の放つカリスマ性は「魔王」という名の持つ響きと相通ずるものがあるような気がしてくる。このところ刀ステなど見てにわかに身の回りが信長づいているため、余計にそう感じられるのかもしれぬ。
おじいちゃまはともかく、孫たちは忍ぶどころか暴れるタイプの忍者になるつもりなので、要人警護や暗殺には全く不向きなのである。警備会社への就職は諦めた方がよさそう。
忍びの4「でたゾウ!パオンマル!」
一話で実家に戻ってくるまで、天晴は修行の旅に出ていたのである。他の4人はブランクもあり(唯一八雲は魔法のレッスンという搦め手を有しているが)、いきなり足並みをそろえようと思ってもそうはいかない。知識をつけたり奇策を練ったりしたところで、基礎体力が足りなければいざというときに足をすくわれるのである。
おでんのたまごばかり食べるのも、天晴に協調性がないことの暗示のようだ。よその家のおでんを食べたことがないので完全に主観の物言いになるのだが、おでん鍋の中の具材を指折り数えた時に、たまごってそうたくさん入っているものではないような気がする。大根や練り物のそばに堂々とその身をそびやかし、特別なごちそうのような顔をして居座っているのがたまごではなかろうか。大根ならいくらつまんで食べても文句は言われないだろうが、たまごを独り占めした日には家族内抗争の勃発待ったなしである。
天晴がいたのは食卓ではなく屋台だから、喧嘩が始まることもなく、お金さえ払えばいくらでもたまごばかり食べ続けることはできる。誰がどこで何を食べようとそれは個人の自由だが、さすがにああも立て続けだと口の水分もだいぶ持っていかれるだろうし、喉に詰まらないか若干心配になるところ。
天晴にはリーダーになるための実力はあるものの、チームワークの部分で大いに難がある。それが先天的なものなのか、長男気質の賜物か、あるいは修行の旅の中で身についた考え方なのか。
そして今回新たに登場したオトモ忍、パオンマル。必殺技をキメるとき、背景に立ち並ぶ緑色の提灯の中に「象」の一文字が染め抜かれたものが混じっていて、間違い探しのようについつい探してしまう。
忍びの5「宇宙忍者 UFOマル!」
あの岩だらけの空間を見たら月面ラビットハッチ付近と思え、と脳髄に刻み込まれているタイプのおたくなので、若干わくわくしながら戦闘シーンを見守った。しかしオトモ忍にはUFOもあるのか。というか、UFOの技術が元になって他の諸々が生まれたようなことをおじいちゃまが言っておられたので、あのからくり類はよくよく考えると、宇宙のもたらした知識と技術をもとに作成されたオーパーツに相違ない。
勉強とバイト(のようなもの)を何とか両立しようとして頑張っている人に対して、「勉強をやめればいい」とは当然簡単には言えないし、かといって「バイトをやめればいい」と軽々しく言うわけにもいかない。
名は体を表す。といか、体は名を表すとでも言おうか。
大凧、脳内TOKIOがアップを始めそうな自給自足っぷりである。そのレベルから作る人はなかなかいなさそう。