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【RX】27話~30話

第27話「大逆襲!影の王子」

 あの山(どことは言わないが日本一高そう)が噴火すれば、確かに人間界はただではすむまい。溶岩流もそうだが風に乗った噴煙など諸問題も発生しそう。
 そんな大事な役割を持って出陣したマットボットであったが、どこからともなく現れたシャドームーンに脅され、クライシスではなくシャドームーン個人に協力することに。そこでシャドームーンを退けるために大事な爆弾を使ったりしないところが彼の小物らしさで好感が持てる。
 とうのシャドームーンは相変わらず、光太郎を倒すことに全精力を傾けている。マットボットに人質に取られた子どもたちのことなどお構いなしだ。そんなシャドームーンの態度に「許さない」と怒りを燃やすRX。
 噴火を背にした一騎打ちの末、RXはシャドームーンに勝利する。膝をついたシャドームーンに対し、RXは「一緒にここを脱出しよう」と呼びかける。さっき許さないって言ったじゃないかと思いつつも、やはりどこかでシャドームーンの中に信彦を見てしまう光太郎の気持ちも痛いほどわかる。一度は救えなかった親友をまた助けるチャンスが巡ってきたのだ。かつての信彦は今のシャドームーンの中にはもういない、そう理解はしていても、RXはシャドームーンに手を差し伸べる。
 だが、シャドームーンから返ってきたのは意外な言葉だ。彼はマットボットとクライシスの計画をRXに明かし、「行け」という。「あの子どもたちのことは俺に任せろ」とも。思わず「信彦」と呼びかけた光太郎に、彼は否定も肯定もしない。ただ「我が名はシャドームーン」とだけ言い残し、壊れかけの身体を引きずって子どもたちを助けに歩いていく。
 きっと、光太郎が期待していたような元のままの信彦は、もうシャドームーンの中のどこを探しても丸ごとは存在していないのだ。キングストーンを埋め込まれ、ゴルゴムによって改造が完了された時点で、「信彦を元通りにする」という光太郎の望みはかなわない。だが、仮面ライダーブラックに討ち果たされてもなお「南光太郎を倒す」という強い執念がキングストーンに宿り続けていたように、薄らとした信彦の魂のようなものまた、キングストーンには痕跡のように残っていたのかもしれない。
 最後のシーン、花畑の中で静かに眠るシャドームーンの身体を光太郎は抱えていく。二度目の死を迎えた銀色の鎧は役目を終え、あれほど待ち望んでいた親友の顔を、光太郎はようやく眺めることができたのだ。


第28話「皇帝陛下の代理人」

 なかなか進まない侵略に業を煮やし、クライシス皇帝が送り込んできたのは査察官のダスマダー。ジャーク将軍やマリバロン様に比べてもだいぶ童顔で、皇帝直属という肩書からして、将来有望な出世頭の気配が濃厚。あるいはガロニア姫のように、皇帝の意のままに動く試験管ベイビーとして生み出されたのではないかなどとも妄想してしまう。
 精神だけの姿になって地球人に取り憑けば、拠点の確保やその他もろもろの雑務をすべて省いて侵略活動に打ち込めるというトリッキーなアイデアにより、蝶の姿で出陣してゆくクライシス兵士たち。だが地球人の肉体のままエネルギーを補充することはできないらしく、定期的に基地に戻って専用の花形補給機で休まないといけないのが玉に瑕。そして最も残念なことには、一般庶民に取り憑いたところで直ちに世間を転覆させるような大事業を成し遂げられるわけでもなく、取り急ぎやったこととしては家具の打ちこわしくらいであったという事実。蝶が飛ぶと家具屋が儲かる。


第29話「水のない世界」

 今までも散々ばら巻き込まれたり操られたり、クライシスには迷惑をこうむっている玲子である。気力が萎えて嫌になってしまってもおかしくないところだが、それでも彼女はクライシスと戦いたいと望む。もともとカメラマンをしている玲子は、それまでもジャーナリストの倫理観に基づいて彼女なりの行動をしていたはずだ。そこから一歩踏み込んで、クライシスに対して明確に抵抗をしようとするのは、もしかするとジャーナリスト的には反則行為かもしれない。だが、職業を離れたところで、玲子という一人の人間がそれを望むのであれば、光太郎にとっては大いに心強い味方ができることになる。

 こちらのキョウコは杏子ではなく響子ちゃん。信彦を弔った直後でもあり、余計に感慨が深い。
 マリバロン様の道中は大人向けのダークな絵本に出てきそう。妖女らしさ全開で大変に素敵。


第30話「明日なき東京砂漠」

 両親の敵を討ち水を守りたいという強い思いにより、響子は「特別な力」を手に入れた。これにより水不足は解消され、マリバロン様の人心掌握も中途半端に終わってしまう。ただ、事が済んだ後でも、「クライシスが水をめぐんでくれた」という事実は事実として人々の記憶に残り続ける。後々に響かないとよいが。

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