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【ニンニンジャー】第15話~第20話

忍びの15「妖怪、ワタシ失敗しないので」

 オトモ忍の指紋、組み立て・運搬時についた微細な傷などを指すのだろうか。最初から指先の意匠に組み込まれていたのならそれはそれですごい。
 霞の攻略法は裏技じみているが、そうでもしないと裏を掛けないほどきっちり契約書が作られていたのだろうなあと予想。さすがは失敗しない口裂け女、抜かりなし。

 確かに口裂け女はロデオマルの代理人だが、契約書の名義まで代理をするのはさすがに越権行為である。そこを気付かせずにハンコをつかせてしまうのが口裂け女の手腕といったところ。

 一番パーリナイな奴が一番シリアスな背景を背負ってる展開、こんなんなんぼあってもええですからねえ……。


忍びの16「父ツムジはスーパー忍者!?」

 というわけで父ツムジ回。サブタイトルが「ツムジは~」でも「父さんは~」でもなく「父ツムジは~」となんだか説明口調である。「ツムジ」だけだとぱっと見で誰だかわからないかもしれない(役名は漢字の「旋風」だし)ので、何となく選ばれなかったのも合点がいくのだが、それならわかりやすく「父さん」「お父さん」などの単語を使ってもよいところである。だが、天晴の父、八雲たちの叔父であるという普段の立ち位置を一歩はみ出して、一人の(元)忍者としての旋風をメインに据えた今回のお話には、やはり「ツムジ」がサブタイトルに入っていてほしい気持ちもすごくわかる。
 普段の保護者枠「旋風」をカタカナの「ツムジ」に書き換えているのは今回のケースがイレギュラーで特別なものである(旋風とツムジはいわば別人である)ことを思わせるし、頭に「父」をくっつけることで、「ツムジ」のスーパー忍者化が父の立場であるがゆえに発生した=子どもらの手によるものであることが窺える。語尾の「!?」は話者から見てその事実が意外であったことを意味するだろうから、普段の旋風とスーパー忍者・ツムジのギャップがこれでもかと強調されている感じ。確かに扇風機未満が竜巻に化けたら大びっくりである。

 一つ屋根の下ならぬ、一つ傘の下。
 旋風がなくした大切な万年筆は妖術によってあやかしのものとなり、しかし子どもらのおかげでその状態は回復されて、旋風は再び万年筆を手に入れる。こうやって書くとまるで何かの暗喩のようだが、恐らくは気のせいであろう。


忍びの17「グッバイ、スターニンジャー!」

 血は水よりも濃い、ということわざもある。ニンニンジャー一党の内部には、まず旋風ー天晴-風花の親子関係があり、そのすぐ外縁にいとことしての凪・霞・八雲、そしてそれらすべてを包み込むように、旋風の父かつ天晴らの祖父である好天が存在している。
 キンジはただの弟子志望の居候であり、伊賀崎流につらなる血族ではない。だから弟子入りができない、というわけでもないだろうが、孫たちには無条件でラストニンジャの後継者争いをさせる一方、好天はかたくなにキンジの事を受け入れようとしない。なんなら最初のころの凪たちよりもよっぽど忍者的向上心に溢れているにもかかわらずだ。
 その向上心故、独学でここまでできるようになったキンジである。これからも我流忍法を極めればそこそこいい線行くのではとも思うが、あえてラストニンジャを志望していくあたりに、さきに見せた終わりの手裏剣への秘めた情熱が関わってきそうな予感。

 あんなに完璧で怖いものなしに見える好天にも、拭い去れない後悔があるのだ。Nobody’s Perfect、私の好きな言葉です。

 家族でも友達でも、ましてお手伝いさんでもない。幾度もお命頂戴を繰り返してきたが故の抜群なコンビネーションである。


忍びの18「八雲が愛した妖怪」

 サーファーマル、(リアタイ時間では)一週間ぶり2度目の登場。ピンチを察して自ら駆け付けるなどではなく、「呼べるから呼んだら来た」というのがなんともニンニンジャーらしい。普通に来るんだ! ただし呼ばれたのはあくまでもサーファーマルの方なので、おまけのキンジは半ば戦力外である。

 プレゼントでもらった大切な芝刈り機とのことで、傷を付けたくない気持ちはわからんでもない。先日妖怪にされた旋風の万年筆については代替品を用意することで決着したが、今回はそうもいかない雰囲気である。最終的に無傷で戻ってきたのがありがたい限り。

 メイドインジャパンは伊達じゃない。あるいは輸入販売される際に代理店がひねった商品名を付けた可能性もある。洋画が日本語の題名を付けられて上映されるがごとく、あるいは「You Only Live Twice」が「007は二度死ぬ」になったがごとし。


忍びの19「探せ!天空のオトモ忍」

 好天に破門されたことは、九衛門にとってはよっぽど人生の汚点なのだろう。時間薬が全く効かず、それどころか年月を経るごとに煮凝って悪化していくタイプの記憶だ。常日頃から折に触れて意識していないとなかなか人を罵るのは難しいし、いらないことまで喋ってしまうのはイライラによって九衛門の余裕が失われているからであろう。

 合体ってそんな、力づくで剥がせるものなのか……? ニッパーでちょん切られなかったのが不幸中の幸い。

 忍具を扱うからくり技師などというどう見てもニッチな需要向けの商売だが、なんと海外発送にも対応してくれるグローバルな商いをされている様子。販路拡大は大事だが、どうやってキンジの元へ品物を届けたのかは気になるところ。はじめてのおつかい方式でロデオマルが単身旅立ったのだろうか。だとしたらよくぞご無事で……。

 困難に立ち向かうための「燃えてきた」、天晴の不屈がひしひしと感じられる。目の前の問題から逃げずに立ち向かうため、自分を律する一言だ。


忍びの20「ザ・超絶!ライオンハオー」

 オトモといえば暴太郎さんちのドンブラザーズ。主であるタロウ/それをサポートするオトモという関係性は絶対のようで、タロウはなんだかんだナチュラルに上から目線であり、オトモらはなんだかんだ文句を言いながらもタロウの(文字通り)手足になって働いている。尊大な態度をうっかり受け入れてしまうのは、タロウが完璧超人のくせに不器用で放っておけないからというのも一因だろう。
 閑話休題、こちらは尊大なオトモ忍と熱血一直線な天晴の組み合わせである。頭ごなしに従わせるのではなく、仲間として協力関係に持ち込む展開。「手なずける」という言葉に含まれる強制的な雰囲気は見当たらない。どちらかというと、暴れたい獅子王と力を借りたい天晴の利害関係がうまいこと一致したような感じだ。
 オトモ忍の姿ではなく、精霊の人型の姿でファーストコンタクトをとったことも良いように働いたのかもしれない。からくりの見た目なら「従わせよう」と考えても不思議は無いが、見るからにおっちゃんらしい精霊をなかなか服従させようとは思うまい。

 仲間たちの戦い方を観察する天晴。初期だったら「見てらんねえ」と飛び込んでいきそうなシチュエーションだが、そこで踏みとどまる余裕ができたのは、仲間たちに相応の実力がついているのを理解しているからだろう。

 チーム戦には向いていないようにも思えるスターの戦い方を、うまく集団行動の中に落とし込む采配。味方への気兼ねさえ無ければ文句なしの高火力なのだから、使わなければ損というものである。

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