【エグゼイド】第25話~第32話
第25話「New game 起動!」
全45話の折り返しをちょっと過ぎ、とうとう第2部開幕と言った趣。プレイヤーがガチ勢のみに限られたゲームは発展させていくも大変そうだし、ここらで一つ裾野を広げるのは販売元として必須の判断。やり方はかなり乱暴だが。
第26話「生存を賭けたplayers」
ゲーム「仮面ライダークロニクル」が引き起こしたのは、ゲームオーバーの人間が消滅するという異常事態。衛生省がいくら回収しようとしても、一度世に出てしまったものを残らず駆逐することは容易ではない。ましてこれはロケテストではなく電撃全国発売だ。いきなり広範囲に投入しても管理は可能という幻夢コーポレーション側の自信がうかがえるところ。
仮面ライダーポッピーは、自らのつかさどる「ドレミファビート」ではなく「ときめきクライシス」のガシャットで変身する。自分の意志ではなく誰かに与えられた意図で行動していることの表れのようにも見える。
第27話「勝者に捧ぐ love & peace!」
×ラブリカ → 〇ラヴリカ 発音はねっとりと確実に。
天才ゲーマーはゲームの種類を選ばないと、ドレミファビート攻略の際に知った我々である。ノーコンティニューとはいかずとも、おそらくコツさえつかめば最短距離で伝説の木の下へ向かってくれるだろう。ちょっとだけ見てみたいような気もする。だいぶ怖いもの見たさだが……。
やたらいい声のラヴリカは取り巻きのラヴリーガールズを連れており、モテキャラとして絵に描いたようなハーレムを築いている。そのせいで、というか主にあの声のせいで、「ときめきクライシス」はギャルゲーなのか乙女ゲーなのか、いまいち図りかねていた。もちろん元ネタがメモリアルな恋愛ゲームであることは百も承知だが、ギャルゲーの主人公くんにいい声のボイスがついているイメージがあまりなかったのである。
だが、公式の仮面ライダー大図鑑によると
とのことらしい。上記の攻略対象キャラクターとはガシャットのラベルに描かれた桃色おかっぱ少女のことであろうから、つまりこれはやっぱり、女子キャラをプレイヤーが攻略していくギャルゲーなのか!
考えてみれば、今まで出てきたソルティやアランブラなどのバグスターは、「マイティアクションX」や「タドルクエスト」の敵キャラ=プレイヤーのクリアを阻むキャラであった。その流れに則れば、二枚目キャラのラヴリカは、プレイヤーのクリア=恋愛成就を阻んで攻略キャラにちょっかいを掛けるライバルキャラの立ち位置とわかる。色々納得してすっきり。しかしその立ち位置、世間ではかませ犬と呼ぶような気もするのだが……
どうしてもフルネームで呼びたくなる男、天ヶ崎恋。苗字と名前のバランスが絶妙。
ともあれCRのドクターはゲーム医療の専門家ではあるものの、未知のガシャットに対しては一から研究を重ねていくしかない。永夢のはっきりしない態度は、医者の口から出た言葉には責任が伴うと理解しての行動だ。ガシャットについては幻夢コーポレーションが開発のための技術も知識も独占しているが故、他のゲーム会社などに協力を仰ぐことも出来ない。他に対抗する手段がない以上、ドクターたちはあくまでも相手の土俵で戦わねばならないところが辛い。
第28話「Identityを超えて」
しばらくOPをお休みしていたと思ったら、怒涛の新キャラ投入に向けて映像を作りだめしていたのだろうか。
バイク型に変形できる貴利矢はドクターたちの中で唯一人を「乗せる」ことのできるキャラクターであるが、誰かをその背に乗せられるということは、その誰かをどこかへ連れて行くことが出来るキャラクターでもあるということだ。まさに導き手である。
「仮面ライダークロニクル」の中のキャラクターとして組み込まれてしまった以上、元々持っていたゲーム上の特性は一度リセットもしくは弱められ、「クロニクル」内の法則に従って当たり判定がされるようになったということなのかもしれない。異なるフィールドのキャラクターを無理やり同じ土俵に乗せる感じ、スマブラ感がある。
リプログラミングの技術を毎回永夢は器用に使いこなしている。遺伝子を書き換えるのだからかなりの大ごとだと思うのだが、ゲームキャラがボタンを押すだけで技を繰り出すように、変身した状態ならば魔法のようにその力をふるえてしまうのだろうか。無論強力な技を使うには複雑なコマンド入力が必要だが、そこは天才ゲーマーの勘と現役研修医の知識でカバーできる範囲なのだろう。
なんだかんだ仲良し女子ズ。かわいい。
第29話「We're 俺!?」
クールな一匹狼ぶっていたはずの大我だが、ニコが来てからというもの振り回されっぱなしでガードも下がりっぱなしである。よいことだ。
第30話「最強VS最強!」
バグスターに身をやつし、ゲーム内の世界を根城にしながらも、ゲームの外へも自由に行き来し、より上位次元からゲームに干渉することが出来る存在。壇黎斗は確かに人間だったころよりも、ゲームマスターの肩書に相応しい立ち位置にやってきたようだ。
ポッピーはその出自上、どうしても黎斗を憎み切れないところがある。幻夢コーポレーションではなく黎斗自身を信頼しているのは、権利関係はともかくとして、彼女自身が黎斗に帰属意識を持っているからだろう。「幻夢コーポレーションの商品」ではなく、「壇黎斗の作ったゲームのキャラクター」としての自意識である。そして、シリーズ前作のセーブデータが新作のプレイ内容に影響を及ぼすタイプのゲームのように、彼女の宿主から流れ込む感情の記憶も、ポッピーの心には何かしらの影響を与えているはずだ。
黎斗の事だからわかって保険を掛けていた可能性もある。人の記憶を外部メモリー代わりに使ったわけだが、今回は上手く功を奏した。
第31話「禁断のContinue!?」
コンティニューした黎斗の背後に堂々と浮かび上がる残りライフ数。そこは隠しておいた方が絶対に優位に立てると思うのだが、敢えて明かしていくのはゲームをより盛り上げるためか。というか、そもそもなぜ黎斗は残機を設定したのだろう。今までさんざんレベル0だのXだのやってきたのだから、「残りライフ∞」くらいのことは平気でやりかねない気もするのだが。もしかすると、神の技術力をもってしても、ひとの魂を無限にガシャットにとどめることは不可能だったのかもしれない。
第32話「下されたJudgment!」
永夢や飛彩たちは医師である以上、培ってきた医療の知識と経験に基づいてすべての判断を下していかなければならない。その大前提として、そもそも死者は蘇生しない。失われた命は帰ってこないからこそ、身命を賭して医師は医療行為にあたる。
その大前提が、「仮面ライダークロニクル」によって揺るがされる。
失われた人間の命はコンティニューが可能で、失われないはずのバグスターの命は、「絶版」の言葉一つで永遠に失われる。
人間にとってもバグスターにとっても、これは価値観の根底が揺らぐ大事件である。檀正宗はその影響力を熟知しており、ここぞというタイミングと演出で過たずに情報をぶち込んでくる。まさに管理者の振る舞い。