【ボウケンジャー】第15話~第20話
第15話「水の都」
リュウオーン様がただの親切で力を分けてやるようなお人ではないことは、我々百も承知である。
父親の夢を受け継ぎ、一族の望みを果たすため、ラギ青年は長老の制止を振り切ってひとり旅に出る。これもまたひとつの冒険だ。だが惜しむらくは、彼の肉体は地上での冒険に向いていなかったのである。
第16話「水のクリスタル」
最終的にラギは竜の力(姿)を保持したまま水の力を再度得ることができていた。二つの力は同時に持つことが出来るはずなのだ。だがリュウオーンはそれを許さない。巧みな言葉でラギを誘導し、「水の証」を放棄させることにより、ラギは水の力を失う。これにより、もう彼は後戻りが出来なくなった。故郷への帰り道を失ったラギにできるのは、がむしゃらにアクアクリスタルを探すことだけだ。
げに恐ろしきはリュウオーンの手練手管である。親切を装いつつばっさりと逃げ場を断つことで、ラギはもうジャリュウ一族に依るしかなくなってしまったのだ。
確かにあの身体が無ければアクアクリスタルを手に入れることなど不可能であった。ラギの父含む水の都の民がいままで誰一人手に入れられなかったのも道理である。リュウオーンは本来なら復活し得ないはずの水の都再建に図らずも手を貸したことになるわけだ。ラギを拾ったのがガジャやダークシャドウであったらここまでうまく事は運ばなかったかもしれぬ。
第17話「アシュの鏡」
高丘映士、堂々登場である。科学技術とは異なる不思議な力を用いて、異形を狩る一匹狼。「牙狼」と同時進行で視聴しているためか、何となく冴島鋼牙感があってわくわくする。鋼牙は生野菜を齧ったりはしなさそうだが……。
言葉尻をとらえてこねくり回している。とりあえず確実にわかるのは「菜月がただものではない」といったところか。さきにネンドガミが幻で見せたような、「ちょっと変わった力を持った、普通の仲良し家族」というわけにはいかなさそうだ。菜月にとってはどちらが幸せなのだろう。だが、彼女の出自がどんなものであれ、真墨や仲間たちは彼女を決して手放したりしないだろうから、そこだけは安心である。
第18話「生きていた男」
アシュ再び。明石は一人レイの攻撃を受け、毒による幻覚を見せられる。かつて事故で失ったはずの仲間が生きて目の前に現れ、現在の明石を糾弾するという、明石の無意識の恐れが形をとったような光景だ。
だが明石は自らの力でそれを克服する。力づくで押さえつけるのではなく、自分自身の心と深く向き合うことで、納得づくの答えを導き出すのだ。
毒が見せた悪夢であるはずのその男は、消えていくさなか、明石に笑顔を見せる。その場しのぎの言い逃れではなく、明石が自分自身の結論に自信を持っているからこその表情だろう。それでこそボウケンレッド、みんなのチーフだ。
さくらはポーカーフェイスのように見えて、明石のことになると嘘みたいにわかりやすく感情を出してしまうのがかわいい。菜月とはまた違ったベクトルのかわいさ。
第19話「眩き冒険者」
チーフへの退職勧告が別働部隊への引き抜きであったことがわかり(そしてきっぱりと断ってくれたので)一安心。人命救助をメインとするサージェスレスキュー、仲間思いのチーフには確かに向いている役職のようにも思える。しかし明石がその仕事を持ち込んだのは、およそ人助けとは縁遠そうな一匹狼・映士のもとである。大丈夫なのか?
父祖伝来の錫杖を失った映士。父が死に際にかけたまじないは、映士にとって何よりも強い心の支えであった。錫杖を持っている限り、映士は人間として生きていくことが出来る。
映士が生まれ持ったアシュとしてのサガ。それを押さえるための新たな安心毛布として明石の与えたまじないは、しかしすぐにその効力を破棄される。映士を救えるのは他者から与えられた安心ではなく、自分自身の内側にある確固たる自信であるからだ。
大神官ガジャ、どことなくユーモラスで不気味な演技も相まって、強敵というよりは腐れ縁の敵みたいな感触を持ちがちなのだが、たった一人で頑張る根性や記憶力、技術力など、実はすごい人なのではないか?
第20話「新たなる巨人」
幼少映士は父親と二人でアシュを探して旅暮らしのようだし(冴島鋼牙じゃん……)、同年代の子どもと触れ合うことも少なかったのかも。コミュニケーションの相手が父親(絶対的に信頼)とアシュ(絶対的に不信)では、言葉の裏の駆け引きに対する経験値が不足していても止むをえまいか。
父親が与えてくれた堅固な守りのまじないを、時を経て届けられた母親の愛情が溶かしてゆく。誰も信じようとしなかった映士がまず両親を、そして自分自身を信じられるようになる一幕。
後輩が出来ても末っ子キャラはそうそう払拭できるものではないので、真墨殿に於かれましては安心されたし。でもうかうかはしていられないから頑張ろうね……!
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