見出し画像

空間装飾について1:吊り飾りのこと

はじめに


このノートはedalab.が空間装飾に関する質問を集めており、いただいたコメントに対する返信の記事です。
早速質問を見ていきます。

吊るす装飾について質問させてください。空中からテグスなどを使いチキンネットに掛けると思うのですが、
1.テグスの強度はどのくらいのものを揃えておいたら良いでしょうか?
2.またテグス以外にも吊るす資材として使うものはありますか?
3.テグスを張り、いざ挿していくと花材の重みでぐるんっとバランスを崩してしまいます。
(ネットが傾いてしまう)バランスを取りながら挿していけば良いのでしょうか?土台づくりについても教えいただきたいです。

たしかに空中に浮いているような美しい吊り装飾は、イベントや展示会で観客の目を惹きつける大きな要素となります。しかし、その魅力を最大限に引き出すには、装飾が揺れたり崩れたりしないよう、しっかりと安定させることが必要です。

今回の記事では、テグス、ワイヤー、ロープを使って、安定した吊り装飾を作り上げるためのコツを紹介します。素材の選び方から設置のポイント、結び方まで、プロの現場で応用できる具体的なテクニックをお伝えします。これを読んで、吊り装飾を長時間保てるようにしていきましょう。

テグスの強度選定 ー軽やかな見た目でも、確かな強度をー


テグスは透明で軽いため、装飾物が空中に浮かんでいるような美しい効果を生み出します。しかし、軽やかな見た目とは裏腹に、強度の選定が非常に重要です。装飾物が重かったり、屋外で風にさらされる環境では、強度不足が装飾の破損を招くことがあります。
*edalab.は結ぶときの作業難易度の高さからテグスを選ぶことは少ないです。

• 屋内展示:10kg〜20kg程度の強度があれば十分ですが、屋外展示や重量物の場合は50kg以上の強度を選びましょう。特に風が強い環境や、長期間にわたる展示では、複数本のテグスを使うことも検討しましょう。
• 1点吊りのデザイン:1点で吊るす場合、横長のデザインは傾きやすいため、避けた方が良いでしょう。代わりに、雫型やボール型のデザインを推奨します。これらの形状は、重心が真ん中に集まりやすいため、より安定したバランスを保つことができます。

ワイヤー1点吊り
あえて球体が回転することを目的といている
リボン1点吊り
リボンと天井のコードが太く回転しない

・花材の茎(なるべく花に近い部分)とテグスを透明テープで固定することで、装飾物が傾くのを防ぎます。全体のボリュームが増えるとテグスがゆがんでくるので反対側に同じ重量やテンションをかけてあげると安定感でます

1点吊りの傾き軽減策

ワイヤーとロープの活用 ー強度が必要な場面ではこれがベストー

ワイヤーは、重量のある装飾物や風にさらされる場所での使用に適しており、非常に高い耐久性を持っています。金属製のため、長期間吊るしても強度が落ちにくいのが特徴です。視覚的に目立つことがありますが、黒や白に塗装して背景に溶け込ませる工夫をすることで、デザインの一部として調和させられます。
*edalab.は基本的にワイヤーを使用することが多いです

ワイヤー2点吊り

・ロープ
合成繊維のものを選べば屋外でも耐久性が高く、湿気や紫外線にも強いので長期間の展示にも最適です。ロープは柔軟性があり、設置や撤収もスムーズに行える点がメリットです。

• 具体例:天井高のある空間での装飾では、長さが必要になり、太めの合成ロープを使用して大きなオブジェを吊るしました。風に対しても安定し、さらに装飾物が揺れることなく美しいまま保たれました。

ロープ4点吊り

複数点での吊るし方 ー吊るす点を増やして安定感を高めるー


1点で吊るすと装飾物が揺れやすくなりますが、上記の作例のように3点や4点で吊るすことで、全体の安定性を大きく高められます。特に、三角形や四角形の配置にすると、重さが均等に分散されるため、揺れを防ぎ、装飾物が長時間美しい状態を保てます。

ワイヤー4点吊り

バランスの取り方と土台づくり ー安定感と見た目を両立するためにー


装飾を支える土台が柔らかい場合は、金属フレームや木製フレームでしっかり補強しましょう。特にチキンネットのような素材を使う場合、土台がしっかりしていないと揺れや傾きが生じやすくなります。
下の作例はチキンネットの中にオアシス/アクアフォームを入れています

思い描く形に切り出したフォームにネットを被せています
この大型作品は下の木のフレームを自作しました
この木のフレームに花を挿して球体を作りました。

結び方の重要性 ーしっかり固定して安心の装飾をー


テグスで吊るす装飾を固定する際に重要なのが結び方です。クリンチノットやボウラインノットは、滑りやすいテグスやワイヤーでもしっかりと固定でき、重さがかかっても緩むことがありません。

クリンチノット:数回巻きつけてしっかりと締めることで、テグスのような滑りやすい素材にも対応できます。重い装飾物にも適しており、しっかりとした固定が可能です。

ボウラインノット:強度がありながらも簡単に解けるため、展示終了後の撤去作業がスムーズに行えます。大規模なイベントや長期展示で特に役立つ結び方です。

まとめ


吊り装飾を安定させるためには、素材選び、バランスの取り方、複数点での吊り方、そして結び方をすべてバランス良く取り入れることが重要です。この記事で紹介したテクニックを活用すれば、どのような環境でも美しい吊り装飾を長時間保てると思います。
次のプロジェクトでぜひ試してみてください!


空間装飾に関する質問がある方はコメント欄に書いてください!
些細な質問でも複雑な問題でもお気軽に!

いいなと思ったら応援しよう!