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デンタルフロスの難しさ
永久歯列(大人の歯)になって、毎日の歯磨き。それは本当に正しい方法でしょうか?
最近ではデンタルフロス(以下フロス)や歯間ブラシ、電動歯ブラシ、ワンタフトブラシなど、歯ブラシ以外でケアされている方も多いかと思います。
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SSSS~サイズがたくさんあります。
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歯並びは人それぞれ。同じ人はいません。もっと細かく言えば1本1本歯の形状や硬さ、口腔内(口の中)の環境、細菌の種類・数も違います。ご病気で唾液が出ず口腔内が乾燥していて食べられないという方、認知症で歯磨きができない方も。
デンタルフロスを使いたい。また使ってみたけどうまくできない。歯間ブラシも同じ。結局諦めてしまっていませんか?
「小学校高学年、中学の時にブラッシング(歯磨き)・フロッシング(デンタルフロスで歯と歯の間の掃除)の技術教えてもらってたらな。」
と思いませんか?
正直私も歯科衛生士学校に通う18歳までフロスをしたことがありませんでした。入学時は歯肉炎でした(というか歯周病一歩手前)。
それから42年経ちました。定期的な歯科医院での検診や歯石除去。歯磨き・フロスのおかげでむし歯や歯周病になっていません。
治療したといえば、子どもの時に治療してもらったインレー(詰め物)のやり直しと親知らず(第3大臼歯)の抜歯です。
私の子どもたちは乳歯が生え揃ったあたりからフロスもやっていたのでむし歯なし。成人してからも歯周病なしです。
歯科衛生士になってフロッシングはブラッシングと同じくらい重要だと思っています。食後はもちろん、夜寝る前の口腔ケアは時間をかけてやっています。
自分の担当の患者さまがデンタルフロスも含め口腔ケアが上手になった時、本当に自分の事の様に喜びますし歯科衛生士になってよかったと思う瞬間でもあります。
私はどうしても食後歯と歯の間に物が挟まる箇所が2か所あります。歯磨きの前にその詰まった物を除去しなくては気持ち悪いので外出時にもフロスを持ち歩いています。
フロスが先か、歯磨きが先かの答えは「フロスが先です」
ご自分の口の中を3D感覚で頭の中で再現してみてください。
上の奥歯のフロスはやりにくくないですか?毎日のフロスでコスパの悪いフォルダー付きを使いますか?
口は大きく開けても顎を支点に開きます。フロスが届かない(できない)のはそのせいですが、できるんです。
フロッシングで大事なことは歯肉縁下のポケットにある歯垢・バイオフィルムを除去することです。このことを意識する必要があります。ただやみくもにフロスを歯と歯の間に通しても歯肉が傷つきます。
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フォルダー付きのフロスは初心者向けで、(F字型・T字型)慣れたら糸巻きタイプを使いましょう。私見ですが、歯と歯の間は何か所もありますから同じ糸を他の場所に入れるということに抵抗があり、糸巻きタイプだと手の加減で常に新しいフロスを通せるということと、フォルダー付きのものだと万が一フロスを通してそれがうまく外せない(引っ掛かる)フロスのせいで詰め物が取れたということも。
どうしたらフロスが上手にできるのか。それは専門家に教えてもらうしかありません。先ほども書きましたが人の口の中は人それぞれなのです。糸巻き型のフロスは中指に巻き付けて両手の親指と人差し指をうまく使うのですがコツがあります。歯肉縁下に入れて歯垢をかき出すのです。1本歯が抜けてブリッジにしているとか、インプラントにしているとか、部分入れ歯でバネをかけている歯のお手入れなど複雑です。
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オーラルケアのフロアフロスセイビング
これ非常にいい
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矯正していても使える
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歯磨きが上手にできなければフロスも上手にできません。歯を1本単位できれいにするというか歯を奥歯でしたら5面(前歯部は4面)に考えてきれいにする必要があるからです。
私もたまに歯肉から出血することがあります。定期健診前で歯石がたまっていたり、いい加減なフロスをしていることがあるのでしょう。そういう時はガンガンにフロスをして悪い血を出してしまいます。(悪い血の時は口腔内で変な味がしますし、気持ち悪い話ですが使用後のフロスの匂いを嗅ぐとわかります)そうすると落ち着きます。皆さんは血が出るとフロスやっていいのか悪いのかの判断が難しんだと思います。歯周病が進んでいる場合はケアの方法が違うので注意。
初めてのフロスは鏡を見ながらやりましょう。
嫌でなければ使用後のフロスの匂いを嗅いでみてください。どんな匂いでしょう。次回からフロスをやらずにはいられなくなります。(患者さまはこの動機付け)
そんな時間がないと思っていませんか?夜寝る前だけでもいいのでやってみませんか?寝る前の「ながら磨き」(TVを観ながら・お風呂に浸かりながら・本を読みながら)をする習慣をつけませんか?洗面所で歯磨きをしていませんか?(我が家ではリビングダイニングにあります←お客様が来た時だけ移動します。)
それが一生美味しく自分の歯で食べることに繋がり、ついでに歯の治療費も節約できます。インプラントに1本何十万もかけるんだったら旅行して美味しい物を食べませんか?
高齢になると一番の楽しみは美味しく食べること。周りの高齢者をみると「歯が悪くて食べられないものがある」「入れ歯だから美味しくない」方多いです。
次回は中学生向けに作った「フロス中心」の授業展開を公開します。
ここだけの話、もう少しフロス安くならないかな・・・
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