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眠れない夜

眠れない夜。
あれから度々ある。

あれからとは父の葬儀の後からの事。

何度も寝返りをうって、悶々とする。
悶々として眠れない。
考えるだけ虚しい時間が過ぎる。

夜中の月明かりが窓から差し込んでいる。
今晩は随分明るい。


僕にとって親の死は初体験であった。
還暦手前にしてである。

18で上京し、以来40年以上にわたって親とは別居。
25で結婚し自分の家庭を持つ。
子供を連れて、盆と正月それにゴールデンウィークは親元に帰省した。

上の子が二十歳を迎えたあたりから帰省が疎かになり、
子供なしで夫婦2人だけで気が向けば帰っていた。

父は孫たちに会えないもどかしさからか、
彼ら彼女らを心配するあまり、次第に小言を口にするようになる。
その度に面倒くさい親父だなと僕は思った。
そして足が遠のいた。

それでも正月ぐらいは夫婦2人で様子を見に帰った。

そして忌々しいコロナだ。
無能な知事たちの愚策の所為で県境を跨げず、
社会が家族が分断された。

ワクチン射ってから来いと父は言っていた。
孫の一人はワクチン未摂取だからって玄関先で追い返されたそうだ。
どうせ死んじゃうんだったら、ワクチンに拘らなければ良かったのに。


若い頃、親父の考えが理解できず、
口論になったことがあった。

いま思えば、住んでる時代背景が違うから当たり前のことなのだが、
あの頃は僕自身は真剣に悩み考えていた。
自分が年を取って、子を持ち親となっても、
親は自分の30年先を歩んでいる。
この30年差の社会的価値観は大きな溝であったり壁なのだ。
親子の意見など到底合うわけがないのだ。

合わないにしても理解を示すぐらいしておけば良かった。
それだけでも絆は深まったかもしれない。


夜中の三時半
やっと眠くなってきた。。。。

遠州一之宮 小國神社の夜紅葉

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