look back on "after blue"(その10)
11 empty boat
楽曲が描写する風景に、人物(それは僕かもしれないしあなたかもしれないし、誰かかもしれない)が存在する曲と、存在しない曲があって、どちらかというと存在する曲がこのアルバムの多くを占めていると思うのだけど、この「empty boat」という曲は完全に後者、夜の湖とそこに浮かんでいるボートについてのみ、音で描写した曲です。
このアルバムで漠然と想定している人物はカメラのフレームのかなり遠くにいて、カメラは今、夜の深い闇の中に広がる湖と、岸辺に結びつけられている無人のボートを映しています。
日中、その人物はこのボートに乗ったのかもしれない。もしかすると「lake side song」あたりで。
真相は僕にはよく分からないですが。
およそどの人物の視線からも外れた場所の、誰からも認知されない風景と、それでもそこにただよう気配。
そんな音楽が作ってみたくて、ごく短時間の間に制作したのがこの曲です。
各パート、といってもすべてエレクトリックギターですが、ほぼ一発録りだと思います。
録音を終えてざっくりミックスをして、なんとなくそのままの勢いでsoundcloudに大した告知もせずに、しばらくダウンロード可能の状態で放置して、眺めてみる、ということをしてみました。
そんなことをしてみたかったのです。今後も同じようなことを唐突にしてみると思います。
そうそう、心暖かいラジオ番組、radio yunomusiqueさんが当時この曲をピックアップして流してくれたのは嬉しかったです。yunomiさん、ありがとう。
その後、この曲はafter blueの世界にそのまま当てはまる気がするな、と思い、並べてみたところばっちりはまってくれたので、特に手を加えずにそのまま収録しました。
この曲を境界線として、いよいよ眠りの世界へと滑り落ちていく、ような、そんな流れになっています。
もう時刻は22時をとうに過ぎた頃でしょう、たぶん。
「empty boat」の試聴はこちらから。
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