Instant Cytronのこと
Instant Cytronの片岡知子さんが先日、若くして亡くなられた。
僕は熱心なInstant Cytronのファンとは言い難いかもしれないけれど、高校生くらいの頃に主に渋谷系と呼ばれていた音楽を聴いていた時、Instant Cytronのことを知り、「CHANGE THIS WORLD」というかわいいジャケットのアルバムを愛聴していた。
特に表題曲は短いアコースティックギターのアルペジオから、すっと風景が開けていくようにブラジリアンなリズムが入ってきて、流麗なストリングス、そして片岡さんのとても華奢だけれど芯の強さを感じるボーカルが聴こえてくる。すてきなコード進行とメロディ、幼少期の思い出や憧憬を描いた歌詞。
印象的なサビのリフレインにたどり着く前に、僕はこの曲にとても深く引き込まれてしまった。その後もいつもいつも、というわけではなくても、ふとした時にこの曲が脳裏に浮かんで、(実際には朴訥な青春時代を過ごしたわりには)柄にもなく暖かい気持ちになったりした。
それから25年くらい?たった今も、僕は頭の中でこの曲をイントロからアウトロまで再現することができる。渋谷系やネオアコ、ギターポップ、ソフトロック、ボサノヴァなどとあわせてシューゲイザーやオルタナティヴロックのようなノイジーな音楽も聴いていた高校生だったが、大学生になりバンドサークルに入ると、どうしてもライブ映えする、ラウドな音楽を演奏する人たちが多数派となっていて、僕も自然と先にあげた音楽のうち、後者のようなバンドの曲を演奏する頻度が増えていったが、それでもその傍ら反抗心?を持ってフリッパーズ、advantage lucy、belle and sebastian、TFCみたいな音楽をずっと演奏してきたバックグラウンドには、Instant Cytronのような「頑なさ」を秘めた音楽の煌めきを帯びた音楽を何年も聴き続けてきたことが影響しているのだろう、と思う。
それから長い年月が流れた今も、それは変わっていないな、と最近映画”god help the girl”を観ながら思っていたところだった。
改めて片岡さんが生み出した音楽たちに、感謝を。これからもずっと聴き続けます。
https://youtu.be/7vY7e4dNGx4