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come wind come rainのこと(その6)

8 Wild Flower Way/Fly
tmmにしては珍しい男女ツインボーカル名曲のカヴァー。アコギとピアノとグロッケン、鍵盤ハーモニカといったアコースティック楽器の温かい音色のバランスが見事で、普段からよく聴いていた。パパパー。
アウトロの鍵盤ハーモニカによるフレーズ、ふっと消えていく感じもとても美しい。

何がきっかけでカヴァーしようと思ったのか忘れてしまったけれど、自分なりの解釈でコードをつけ直し、シンプルに演奏してみました。同じパパパコーラスでも、まったく違ったパパパになっているかと。
woolの"Fly"という曲の世界観に通じているな、と途中で気づき、繋いでみました。"Fly"は2009年に連続してリリースされたEPに収録された後、"Melody Laughter"というアルバムに改めて収録された曲です。
この2曲には共通する何かがあるのでしょうか。リリースした後も、たまにそんなことをぼんやり考えます。

9 Each Other’s Tracks
難産だった曲ベストテン第一はこんな曲だった、って感じの、個人的にはアルバム一、難航した楽曲です。

元々は2017年の"moment to save / 石原敏行作品展"のために制作された楽曲で、作品展とあわせてリリースされたコンピレーションCDに別バージョンが収録されました。当初は僕がメロディと歌詞を書き、大まかなアレンジをしたものを石原さんに送り、そこに浮遊感漂う音風景を石原さんが加えたものが、最初のバージョンでした。
その後も僕の中では、ゆっくりと時間をかけてもう一度この曲を形にしたい、という気持ちが強くなり、改めて今回ゼロから録音し直すことにしたのでした。最初のバージョンにはなかった歌詞も追記しました。

昨年5月の合宿ではメンバー全員で曲の世界観を改めて確認する作業をして、9月の合宿ではピアノやグロッケンなどを、さらにその後もウッドベースやギター、僕のボーカル、菜穂さんと真季さんのコーラス、年が明けて一月にはさらに僕がエレクトリックギターのソロ、鍵盤ハーモニカなどを、というふうに少しずつ少しずつ、音を積み重ね、その都度全体のイメージが揺らめいたり固まったりを繰り返しながら、海の上を揺れる小舟のように、録音とミックスは進んでいきました。
そして締め切りの間際まで、様々な微調整が続き、僕はこの曲の夜の海に何度も投げ出されそうになりましたが、なんとかどこかの岸辺に船はたどり着いたように思います。

改めてこの曲を聴き直すと、寒い冬の夜更け、膝掛けに包まりながら弾いたギターソロがいつまでも耳の中に響いている感じがします。


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