come wind come rainのこと(その3)
2 野草
2018年5月の録音合宿で即興演奏したトラックにtmm菜穂さんが歌を乗せ、構成し直したトラックに、さらに僕が展開部(「そよぐ草の音〜」のパート)を付け加えて出来上がった曲。それを2018年9月の録音合宿で一から録り直し(僕はベースを担当しました)、さらに後日ボーカルをオーバーダブし、石原さんのミックスにより完成しました。
リハーサル音源から抽出した奇妙なイントロ。呪文のようにも聞こえる野草の名称の連なり。ここまで野草をポップにフィーチャリングした曲を、僕は他に知りません。とてもユニークな世界観と、僕が関わった曲の中でも初に近い、ギターレスアレンジがとても新鮮でした。
"today"の次にこの曲、さらに次の"windy day"というアルバム冒頭の流れもとても気に入ってます。
3 windy day
録音合宿が決まって、新曲をどうしようかな…と思いながら、舞浜の巨大な空間を延々と歩いていた、三月のある日、思いついた曲。
文字通り、風の日おめでとう(クリストファーロビン)って感じに風の強い日で、iPhoneのボイスメモにとりあえずハミングで吹き込んだイントロの木琴のメロディには、ボフッ、ボフウッと風の音がたくさんかぶさっていた。
5月の録音合宿のときにはBメロ(「淡い声と緋色〜」のパート)にはまだメロディがなく、後にギターソロなんかを入れようかなと思っていたのだけど、石原さんからの提案で後からメロディと歌詞を付け足しました。
せーので音を出して、少しずつ曲の世界観、輪郭を肉付けしていったのは、まるで四人編成のバンドみたいで(みたいで、というか、その時はまさにその通りだったのだけど)とても楽しかった。
その後、トラックごとに分けて一から少しずつ録音を積み重ねていったのだけど、最後の方までミックスに難航した曲でもあって、作業にあたっては石原さんから助言を何度ももらいました。ありがとうございました。
自分で自分の書いた歌詞を見返したり、意味を考えたりすることって滅多にないのだけど、この曲はこういう世界観なんだなあ、って他人事のように感じた曲でもあって、うまく言えないけど、人間が決して手の届かない世界についての曲なんでしょうかね、僕にはよく分かりません。
リハーサルをしている時から、tmmの皆さんとの間でもこの曲の歌詞が少し話題になったこともあり、僕の中で「今回のアルバムには歌詞を掲載してみるのも面白いかな」という気持ちが芽生えていた。石原さんも同意してくれたので、wool史上初の歌詞が掲載されているCDをリリースすることができた。恥ずかしい気持ちもなくはないけれど、せっかくCDを手にとっていただいた方には、歌詞も共有したい気持ちに自然となったのだ。自然の声には従いましょう。