マミのこと(アヤカのこと2)
アヤカは結局、わたしが最も多感な時期にわたしに大きな影響を与えたうちの一人だと思う。
同じくマミも、幼かったわたしに大きなショックを与えた。
小5のとき
4年生の間は同じクラスだったからかなり仲良くすることを強いられたが、5年生ではクラスが別々になった。
しかも、教室が校舎の端と端だった。わたしはアヤカの呪縛から、しばし解放された。クラスが別々だからって、たまには遊びに誘われたりはあるんだけど。
小5のとき、わたしは同じく小4のときわたしのことが大好きでわたしにひっついて同じクラブにまで入ったはずのマミから、壮絶に嫌われていた。
きっかけはなんなのか。わたしに心当たりは0だった。ただわたしは小5のとき、心の中で自分のことを優れている人間だと思っているような嫌な性格だったのでないかと思う。わたしが悪かったのかもしれない。マミは一人でわたしを無視したりするのではなく、周りの友達を巻き込んだ。
「ナルってやだよね」
小学5年生頃から、だんだんと友達グループが固定されてくる。4年生まではギリギリ、仲良しはいても固定されているようではなく流動性があった。5年生になると仲良しグループはもっと固まっていったが、わたしは「仲良しグループ」のどこにも属せなかった。
好きな友達はいた。仲良くしたいと思う子もいたけど、その全員と仲良くする、ができなくて、グループに入れなかった。それでもわたしはよかった。仲良くない子とむりに遊ぶより、一人で本を読んだりで十分楽しかった。
マミに嫌われたのは、「前はあんなにわたしのことが好きだったのに」とわたしをただ驚かせた。嫌なことを言われても、「なんで急に嫌いになっちゃったんだろう」と、わたしはその急変に呆気にとられていた。だけどやっぱり、他の子にまで「ナルってやな子だよね」と思われたくはなかった。だけどやっぱり、マミに嫌われてしまったのも悲しかった。
ある日、日直がマミと誰か男子だった。日直には、休み時間の間黒板を消す仕事がある。休み時間がしばらく過ぎても、黒板は消されなかった。わたしは友達もいなく暇だった。黒板が消されていないのが気になった。
「黒板消しなよ」と言うのはいけない。
黒板が消されてないのに気づいたまま、休み時間が終わって先生が注意するのもいけない。
そう思ってしまった。先生の注意されるなら、それでいいのに。
わたしは黙って黒板を消した。それがマミには嫌味に映ったんだろう。そのあとマミはわたしに聴こえるような声で「ナルってやだよね」と言った。
その行為が多少嫌味らしく映ることもなんとなくわかっていたが、わたしにとってそれは善意が大きかった。気づいていたのにマミが先生に怒られて欲しくない。楽しそうに遊んでるマミを呼んで黒板を消させるくらいなら、暇してるわたしが消せばいいじゃないか。でもそれはわたしが気持ちよくなるための善意で、それを見てマミが何か言うことはわかっていたのに。なんでやっちゃったんだろう。そう思って涙が出た。
「気にしないほうがいいよ」
と、ナリちゃんがわたしに声をかけた。ナリちゃんはちょっとひょうきんもので絵がうまくて、気が回る子で、わたしは少し憧れていた。
わたしが悪いことをしたから、マミに嫌われても何を言われても、しかたがないのかもと飲み込んでいたことが、ナリちゃんの言葉で救われた。
アヤカのこと
そんなふうに小4までわたしのことが好きだったはずのマミから壮絶に嫌われても、アヤカは依然わたしのことが大好きだった。同じクラスに仲良しグループがないわたしにとって、それは少し救いだった。マミに嫌われても、グループ学習のときユナちゃんのグループに入れてもらおうとしたら嫌な顔されても、アヤカはわたしのことが揺るがなく好きだった。わたしがアヤカのことを好きじゃなくても、アヤカはわたしのことが好きだった。
たまに休み時間なんかにアヤカにあったりすると、アヤカは満面の笑みでわたしに近づいてきた。学校が終わったら遊ぼうと誘いにきた。たまにならアヤカと遊ぶのも悪くないと思った。
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