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1.4 コロナと環境

 目を覆いたくなるような悲しいことから、思わず笑顔がマスクからはみ出てしまうようなことまで、この一年世界中のみんなで共有してきました。日本でのワクチン接種も着々と近づいてきたことで確かな希望が見えた今、私たちは真剣に持続可能性について向き合わなければいけません。それは、生態系の一部である人間の義務であり、環境に与えてきた影響に対する責任でもあるからです。

なぜワクチンができた今、持続可能性について考えるべきなのか?

 一部のワクチンの生産に『アジュバント』と呼ばれる、ワクチンの効き目を高める成分が添加されています。サブユニットワクチン、病原体の一部を使用してつくられたワクチンは十分な効果をもたらすために強い免疫反応を起こすアジュバントの助けを借りています。インフルエンザのワクチンもサブユニットワクチンであることが多いです。アジュバントを使うことでワクチンの生産に使われる抗原の量を減らすことができ、一度に大量のワクチンを供給することを可能にできます。他にもメリットがあり、例えば:


・ワクチン接種の回数が減る
・新生児、高齢者などの免疫力が弱い人にとってのワクチンの効果を上げる
・ワクチンの生産コストが減り、将来的に発展途上国でのシェアがさらに広がる

ということです。前置きが長くなってしまいましたが、アジュバントは主にアルミニウム塩、スクワランが使われており、スクワランに関しては野生のサメを捕獲することによって手に入れられるので、持続可能性のあるサメ漁、生態系への影響が心配されているのです。

生態系におけるサメの役割とは

 サメは生態系において三次消費者にあたり、生態系ピラミッドの一番上に君臨しています。生態系の中でやり取りされるエネルギーの量は限られているため、栄養段階が上がっていく(ピラミッドの頂上に近づいていく)ごとに生息数が少なくなっていき、自然の摂理的にサメの生息数も生産者の海藻などに比べると断然少ないです。ただ、ここでサメの数が更に減少した場合、例えば乱獲が起きた場合、生態系はみるみる崩れてしまいます。一つのシチュエーションとして考えられるのは、サメの乱獲により:
①本来サメによって消費されるはずだったエネルギーが余ってしまう
②サメの下に位置する第二消費者の数がコントロールされず増えてしまう
③第二消費者によって第一消費者が食べ尽くされる
④生産者(海藻など)が第一消費者に消費されず増加する
⑤生産者が水中のほとんどの酸素を使ってしまう
⑥海中にいる生物が窒息する
ということです。実際はさらにたくさんの要素が関わっているので、上記のシチュエーションよりも複雑となり、影響も大きくなります。

 大三生産者であるサメは成長も遅く、アジュバントとして以外にも需要が高く供給が間に合っていません。前提としてサメは人間のものではなく、需要と供給という見方をすることは道徳的にあっているのか?疑問に感じてしまいます。

問題は乱獲を続けてきたこと

 ナショナルジオグラフィックによると、実新型コロナワクチンの開発を挙げている202の研究所うち5つの研究所がスクワランを使用していると言います。この5つのうちに現在主流のモデルナ、ファイザーは含まれていません。このデータを見てサメの生息数についての危機感を強く感じた人はどれだけいるのでしょうか?サメが何十年も乱獲され続け、生息数は正常でないことを考えると、どんなに少ない量でもワクチンのために捕獲されることがサメや生態系にとってプラスでないことは明確です。ただここで誤解をしてはいけないのは、この問題がワクチン接種にあるのではなく、乱獲を続け、改善してこなかったことにあるということです。サメの絶滅は新型コロナウィルスのパンデミックの何年も前から危惧されています。よってワクチンを受けないことが解決方法ではなく、私たちの生活を変えることが大切だということがわかります。

私たちの責任をどう果すか

 私たち一人一人異なった考えをもつように、生活の仕方も違います。それぞれが抱えている問題も違います。では全員にとって一番良い方法で環境問題に取り組むにはどうしたらいいのか?まずは問題に関して正しい理解をすることだと考えます。最近はテレビ番組などでSDGs、サスティナブルなど取り上げられることが多くなってきました。環境に優しい食材で作られたビーガンスイーツについてテレビで知り、電車に乗って食べに行く。。(遠出することで排出されるCO2は?そのケーキの食材はフェアトレードされているの?持続可能な方法で生産されているの?→出てくる疑問は山積み、これは他のどんな事に対しても同じです)ビーガンのケーキを食べに行くよりも、もっと良い方法があるはずです!受動的に情報を知るのではなく、積極的に自分で調べていくことが大切です。得られる情報を正しく理解し、利用するためにも一緒に学び続けていきましょう!

参考文献
C. (n.d.). アジュバントとは. Retrieved January 24, 2021, from https://www.nibiohn.go.jp/CVAR/adjuvant.html


Meneguzzi, J. (2020, November 16). Why a COVID-19 vaccine could further imperil deep-sea sharks. Retrieved January 24, 2021, from https://www.nationalgeographic.com/animals/2020/11/why-covid-19-vaccine-further-imperil-deep-sea-sharks/


日本放送協会. (n.d.). コロナ後こそ環境問題を考えて 気候科学者 江守正多さん NHK特設サイト. Retrieved January 24, 2021, from https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/interview/detail/opinion_10.html


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