シナモンシュガードーナツとエレガント。
表参道をお散歩してて、ふと甘いものが食べたくなったので、
最近お気に入りのガレット屋さんに行くことにした。
キャットストリートの小道に入っていくと現れるテラス席が素敵なその小さなガレット屋さんは、
内装の壁が『アメリ』の寝室みたいな真っ赤に塗られていて、そこだけみたら奇抜なはずなのに、不思議とお店の入り口にたくさん植えられた木々と滑らかに溶け込む可愛らしいお店。
テラス席が1席空いてる!
今日はお天気だから、外で食べたら気持ち良いだろうな〜と思いながらお店に近づくと、中から店員さんが出てきて、
「ごめんなさい〜、今日、予約で満席なんです。」とのこと。残念。
ならば、もう一つ、アメリのガレット屋さんを発見する前に暫定1位だったガレット屋さんに行こう。そこでシュガーバタークレープを食べたらいい。
せっかくだし、と
お散歩がてら いつもとは違う道から向かっていると、
ふと現れた、
「ハニーマスカルポーネドーナツ」の看板。美味しそう。
”北海道産マスカルポーネチーズとハチミツをミックスしてディップした逸品!揚げたてのドーナツに、とろける冷たいマスカルポーネがベストマッチの大人気商品!”
ほう。
この世の幸せをぎゅっと詰め込んだような味がするに違いない。
でも、でも今日は、シュガーバタークレープを食べるって決めたからな。。
お店も素敵で、緑に囲まれた大きな縁側があって、木漏れ日がお店の中まで差し込んでいる。
ここで幸せドーナツを食べたらすごくいい気分になりそう。
食に関しては異常に保守的で、いつもはプラン以外のものを選べないんだけれど、今日は選べそうだから、ドーナツ屋さんに並んでみた。
並んでいると、メニューを渡された。
もうわたしは幸せドーナツを食べると決めてるから見る必要ないけど、一応見とこ!と見てみると、いろんなドーナツが並んでいる。
結構オーソドックスなのが多い。デコラティブなのもすきだけど、こういうシンプルなのが結局おいしいんだよね。
一際きらきら輝いた「シナモンシュガードーナツ」という文字が目に飛び込んできた。
わー!シナモンシュガーも食べようかな。2つ頼んじゃおう!
なんて思ったけれど、
わたしは欲張りだから、よくたくさん頼みすぎる。で、お腹いっぱいになりすぎて後悔する。
今日は清々しい秋晴れだから、胃もたれなんてしたくないんだ。
勇気を持って、ドーナツをひとつに絞ろうと決めた。
さて。どっちのドーナツにしよう。
このハニーマスカルポーネドーナツのために、シュガーバタークレープ計画をわざわざ大変更してこのドーナツ屋さんに飛び込んだ。
なのに、シナモンシュガードーナツを選んだら、それは過去の自分への裏切りにもなりかねない。
でも、シナモンシュガードーナツと水だしアイスコーヒー、めっちゃ合うだろうなあ〜。
美味しそう。
心ではわかっていた。シナモンシュガードーナツを食べたいとわかっていた。
なのに、ハニーマスカルポーネドーナツはここの店舗でしか食べられないらしい、だとか、シナモンシュガードーナツはどこでも食べられるしな〜とか。
でたでた、自分の選択がどれだけ希少価値が高いかどうかで、意思決定の質を測ろうとする悪い癖。
結局、レア度じゃなくて、自分が欲しいと思ったものを選べた時の方が幸せだし、そうしなくて後悔したこともある。
(※こないだアイスで同じことをしたばっかり)
もしハニーマスカルポーネドーナツを選んだら、
ひとくち食べて、もうひとくち食べて、「やっぱり違ったかも」という気持ちを抑え込んで自分を無理やり納得させながら食べ続けて、途中でマスカルポーネのモッタリ感に飽き飽きしながら、シナモンの香りとお砂糖のざらざらに恋焦がれて永遠に満たされることなく、揚げ物を食べた罪悪感でいっぱいになるだろう。
そして自分の気持ちに素直になれなかった自分に落胆するかもしれない。
ハニーマスカルポーネドーナツに惹かれてドーナツ屋さんに飛び込んだ過去の自分を振り切って、ついついレアな選択肢に心惹かれちゃう自分も振り切って、シナモンシュガードーナツとコーヒーでご満悦な未来の自分を信じてみることにした。
でも一応注文の時に、
「このマスカルポーネのやつは、ベースはなんのドーナツなんですか?」
と尋ねてみた。
「プレーンになります!」
そりゃそうだ。
シナモンシュガードーナツにマスカルポーネがトッピングされてるなんて、そんな都合のいいことはない。
「じゃあ、シナモンシュガードーナツください!あと水出しコーヒーをひとつ。」
注文を終えて店内をぐるりと見渡すと、
さっきまであんなに人がいたのに、ちょうど縁側の席がひと席空いている。やったー!
優しい光が心地良い。
ひとくち頬張ってみると、シナモンの香りで穏やかに満たされる。口の中がお砂糖のざらざらで愛おしい。
何よりも、シナモンシュガードーナツを選べたことが嬉しかった。
ちょっと大人になった気分だった。
シナモンシュガードーナツを選べたということは、自分の求めているものをちゃんと自覚できて、そして手を伸ばせたということで、
ドーナツを2つもオーダーしなかったということは、自分のキャパシティと扱える量をちゃんとわかっているということなのだ。
そして、自分にとって心地の良い事を知っていることは、とってもエレガントなことだと思った。
こうやって書き出してみるとすごく大げさだけれど、
ひとりのとき、頭の中は、こんな感じでごちゃごちゃひとりごとを呟いている。
ひとりの時間も最高だよね。
▼今日のドーナツ屋さん
記事のtop画像は、お店のフロア。木漏れ日がお店全体に降り注いで綺麗だったから、晴れた日のお昼下がりに行ってみて欲しいな!