1 参加する事に意義がある


 










「あーうまくできない! チカチカさん今何分!?」

「20分待たせてる」

「あーあーあー! チカチカさんがヘアアレンジしてくれないから……!」

「はるが自分でやるって言い張った」

「そ、そうですけど……お願いをチカチカさんが無視するから……!」

「すぐ人のせい」

「うわわ~? 人じゃないですぅーチカチカさんは惑星ですぅーヒトってなにそれ……痛!? あれ? 痛くないけど痛い? あ、やっぱちょっといたた。……さーせん、揚げ足取りみたいな事言ってまじさーせんした」


 チカチカさんに生意気言ってたら両ひじの皮の部分をめちゃめちゃ引っ張られた。
 なにこの感覚。新しいおしおきなの? さーせん。


「フォーン」

「うん……やっぱりマッチャにお願いする……」


 こんな事になるならはじめからマッチャに素直にお願いしておけばよかった……。
 でもたまに出るんだわ。謎の意地が。そんな能力もないのに。


「だって今日はおめかししたかったし……記念ですし……女子会だし……」


 今日は大根アザラシ達との記念似顔絵イベントの日だしさ。女子の集まりだしさ。オシャレって言われたいしさ。
 女子の集まりなら絶対何かしら『かわい~』って言ってくれるしさ。


「その記念の日に女子を待たせてるけど」

「わかってますう~」


 完全に自分が悪いのはわかってるけどもうちょっと優しくして欲しいという気持ち。



 今日はエリーゼちゃん達のキラキラした女子会に誘ってもらえたのだ。
 女子会というか休憩中の大根アザラシ、つまり眷属様と一緒のところを描いてもらえる会。港で毎日開催中。
 シャイア青年のお店でランチしてた時にエリーゼちゃんとお友達のメリッサちゃんがそんな話をしてて、そわそわチラチラしてたら誘ってもらえた。めっちゃ良い子。
 まあ前より仲良いもんね。うふふ。


 大根アザラシ達は島のみんなと違い、いつでもその姿を目にする事が出来るとあって大人気だ。
 白フワは身を隠すのが上手だから中々見つからないし。アルバートさんはばんばん出会ってるけど。

 そこで眷属様の邪魔になりたくはないが1枚の絵に一緒におさまりたいという要望がたくさんあったので、大根アザラシを描く許可を出した。
 ほら、私も画家っちゃあ画家だし? 
 さっそくサンリエルさんがガツガツ描いてた。


 最初、遠慮し過ぎて休憩中の大根アザラシと水の一族の人達からかなり離れた場所に陣取って似顔絵イベントが開催されていたので、変な構図の絵ができてた。
 大根アザラシちっさ! なにこれお米? ってなった。
 女子が顔の大きさをごまかすために後方に位置どるテクニックみたいになってた。下がりすぎだ。

 なので御使い権限で大根アザラシ達のその時の気分でお触りオッケーにした。
 お触りと言うかハイタッチと言うか握手と言うか。
 お触りオッケーが出たらラッキー的な。

 無愛想な顔をしたおじさんが大根アザラシとそっと手(足)のひらを合わせて絵を描いてもらっているのを見た時は笑ったよね。
 飲み物と食べ物を買ってきて本格的に腰を据えて観察するよね。あれは心潤う良い時間だった。


 舞踏会まであと1ヶ月ほどなので、街の人達のスケジュールがとんでもない事になってる。
 特に絵も描く一族の人達。分刻み。
 理の一族特製の栄養ドリンクで乗り切って欲しい。

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660字
〈エスクベルダイアリー編6000字×1話〉 〈まあまあの権力乱用編1500文字前後×12話〉〈アルバート視点6000字短編〉と目次。

小説家になろうに掲載中のほのぼのもふもふファンタジー小説、 『幸せに暮らしましたとさ』の続編小説『とても幸せに暮らしています~私とモフモフ…

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