惑星間郵便 25通目
「はる、どう?」
「え、あの、チカチカさん」
「どう、夫のSF野郎の声は?」
「野郎、あ、えっと、急で驚きましたが、なんか好きです、この人」
「そう」
「ピューさん惑星と言い合いをしてるだけのボイスメールでしたけど……」
「あの惑星は真面目だから編集無しのノーカット版で送ってきた」
「はあ」
「融通が利かないと評判」
「ひょうばん」
「嬉しい?」
「あ、はい。とっても」
「そう」
「くふふ」
「変な顔」
「だってチカチカさんが頭撫でてくるから!」
「……あの、チカチカさん」
「なに」
「私って『マイビューティフルフラワー』って呼ばれてたんですか?」
「3日間くらい」
「みじかっ」
「マイビューティフルフラワー……私の美しい花……」
「へへっかっこいい……」
「次は映像でくる」
「へ、へい」
「そうそう、はるの前の惑星がSF野郎の書き溜めたラブレター朗読会を開催したいそうだけど『参加』で返信しとく?」
「ちょっと待ってなんの話」
「SF野郎が地球人時代に書き溜めたはるへのラブレターを朗読する会」
「いやそういう事じゃなくてなぜ朗読会に繋がるのなぜなぜなんで」
「良かれと思って」
「惑星の『良かれ』についてはもっと人間の立場に立って考えた方がいいと思います」
「じゃあはるは『不参加』で返信しとく」
「……はる”は”? え、あの? 私が不参加でも開催を強行する意味ありますか? おそらく惑星の皆さんはすでに内容知ってるでしょ……」
「はるとSFの思い出を演出したい親心」
「SF……略し方……。でも親心なのか…………。あの、お気持ちはとても嬉しいですが、1人でこっそり読みたいので郵送してもらえると嬉しいです。それでお相手から許可が出たら朗読会に参加したいです。50年後くらいに」
「SFには秘密のサプライズ開催」
「やめてあげてお願いします!」
おわり
LOVE&PEACE&WORLD&MOFU