社内SEの基礎体力②・・・IT企業時代の24時間365日対応の経験
「こんな時間にごめんね~」
社内SEをやっていると、朝とか夜とか、就業時間外に電話が掛かってくることがある。
ま~正直なところ本当は勘弁して欲しい。
時間外の対応は心が疲れる。
それに時間外だから完璧な対応ができる環境も準備されてないことが多い。対応できなきゃできないで、謝らなきゃいけないし・・・こっちにとっては、メリットなしだ。
時間外対応・・・イラつくことは多いが、それでも多少は我慢できている。
なぜならIT企業時代にもう少し厳しい環境に置かれていたからだ。
それが24時間365日保守対応・・・
■24時間365日保守対応
パソコンが壊れた、サービスが落ちた・・・そんなとき対応してもらえる保守サポートの種類は一例として、
①土日祝日を除く平日9:00~17:30受付(対応は翌営業日以降)
②土日祝日含む9:00~21:00対応(即日対応)
・・・etc
ま~こんな感じで、至れり尽くせりな対応であるほど、当然保守費用も高くなっていく。
ただ中には、ユーザーにとって極めて重要な、1年中昼も夜も休みなく稼働し続けなければならない、停止が許されないシステムが存在する。そして万が一そのシステムにおいてトラブルが発生した時のために、24時間365日対応保守というものが存在する。
これ、よく保守サービス一覧表とかにしれっと記載されているけど、当然その裏では、過酷な労働環境に身を置かれている保守サービスの方々がいらっしゃる。
そして私もかつて、IT企業時代、24時間365日保守対応の人員として配置されていた。その期間、約7年・・・
■保守内容・・・私の場合
保守対応の人員配置の仕方は会社によって色々ある。例えば完全に3交代制にするというやり方。1人8時間会社にいて、時間が来たら交代・・・
でも私が勤めていた会社のやり方は違った。
日中は通常業務を普通にこなす。もちろんそこで24時間365日稼働のシステムがトラブったら対応する。業務が終わったらうちに帰る。
そして、システムがトラブったら、そっから出勤してトラブル対応する。
深夜、トラブル対応した次の日も、普通に出勤する。
最悪、心と身体のお休み時間を奪われる。
その見返りは待機手当とトラブル発生の際の時間外手当が、ほんのちょっぴり給与に上乗せ・・・今、考えても全くもって割に合わない内容だった。
だって他の社員は普通に寝てるのに、こっちは出勤して対応するなんて、不公平じゃね?
ま~、ITスキルが低く、みんなに迷惑を掛けまくっていたから、強くは言えず、不満を押し殺しながら対応はしていたけど・・・
この惨い役割の人は私以外にも2~3名ほどいたが、いずれも社内での立場が弱い人だった。強い人、仕事に線引きする人、人間的に面倒な人には絶対に回ってこない過酷な役割だった。
■トラブルの呼び出し方法
じゃ~具体的に落ちちゃいけないシステムがトラブルと、どんな風に呼び出されるのか・・・
会社携帯にメールが届く。
①〇〇サーバーと疎通できませ~ん
②〇〇サービスが落ちていま~す
③ftpダウンロード中に処理が止まりました~
・・・etc
そう、人間に呼び出されるわけじゃない。
仕事熱心な”監視サーバー君”に呼び出されるのだ。
夜中の11時だろうが午前2時だろうが、明け方だろうが・・・
こっちがご飯食べてようが、休日で遊んでようが、熟睡中だろうがお構いなしにメールを送ってくる。
彼は空気が読めない。また察することもできない。今は寝ているだろうから、メール送るの後1時間待ってあげるかな・・・
なんつう配慮は一切ない。
無慈悲に己に組み込まれたフローチャート通りの行動を取るのみ。
彼に恨みはないが、そのメールを見て何度叫んだことか・・・
「くっそー!」
「マジかよ!」
「お願いだから本当に勘弁してくれ!」
7年間、睡眠中にメールが来たとき、起きれなかったことはない。
それくらい、寝てる時も、気が休まることはなかった。
■拘束からの解放・・・今思えば良い経験
前職から転職し、24時間365日保守対応から解放されたときは本当にうれしかった。きっと、あのまま会社に残り続けていたとしたら、今も、あの拘束からは逃れられなかっただろう。
そして、24時間365日拘束の経験は、今では良い経験となっている。
多少の休日・夜間対応も、あの時に比べれば数段、楽。
それにあの当時のトラブルは、緊急性も難易度も高く、自分の心にとてつもなく重い負荷が掛かった。
今現在、休日でも夜間でも、あそこまで重いトラブルは存在しない。
20代~30代であの過酷な環境に身を置けたのは、本当にラッキーだった。
あの当時の経験は、社内SEとなった今、本当に役立っている。
もっとも、40代となった今、またあの環境に戻れと言われたら、絶対に拒否するけど・・・
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