社内SEとなって思うこと・・・スマホ業界を支える”IT強め””地位弱め”の方々の存在
「iPhoneのアップデートしてたら、途中で止まって起動しなくなっちゃった!何とかならないかな?」
iPhoneユーザーであれば決して見たくない画面のひとつ、リカバリーモード・・・私用携帯のその画面を印籠のように見せられ、助けを求められる社内SE。
無駄と分かっていても念のため尋ねてみる。
「アップデート前にバックアップ取ってませんかね?」
そしてごく当たり前の返答が返ってくる。
「バックアップ?どうやって取るの?多分取ってないな~
多分というか、絶対取っていないでしょ・・・
「あの~もしかすると、データ全部なくなっちゃうかもしれませんよ~」
何でこんな言いたくねー情報を、私が伝えなきゃならねーんだと思いながら、恐る恐る伝えると案の定・・・
「もしかすっと、電話帳もなくなっちゃう?電話帳だけは何とか残せないかな~、すげー困るんだよ!」
「そう言われましても・・・」
私も困るんですけれど・・・
これは社内SEとして、私がある社員の方から相談を受けた際の実際のやり取り・・・きっとこんなやり取り、日本中あちこちで繰り広げられてるんじゃないだろうか・・・
■無償で相談受けてんのに感じてしまう、本来不要な罪悪感
はっきり言うとだ・・・
私用の携帯トラブったからって、社内SEに相談しにこないで欲しい。
マジで言いそうになる。本当にもう少しで口から出そうになる。
ま~気持ちは分かる。
この状況、携帯ショップ屋さんに持って行ったって、「弊社ではどうすることもできません」・・・そう言われるのが落ちだろう。
本来、スマホを買った後のトラブルは、自分自身で何とかするしかない。自己責任の世界だ。
ググるなり・・・ググるなり・・・そしてググるなりして必死に自分で解決方法を探し、復旧作業を試みるしかないのだ。
でも人は復旧作業をショートカットしたがる。
復旧までの時間が怖い、面倒、自分ではできないという思い込み・・・理由は人それぞれだが、自分で復旧する手間を放棄する。
そしてこのトラブルの解答を知ってそうな・・・解決してくれそうな人に声を掛ける。
それは社内SEだけではなく、全国至る所にいるであろう心優しい人達、特に
”IT強め””地位弱め”
そんな人達に助けを求める。
そして助けを求められた彼らは、基本的に断れない。
優しい心を持っていたり、逆らえない状況にあったり・・・
必死に最善の解決方法を模索する。
本来はトラブルを引き起こした人達が死に物狂いで行わなければならない復旧作業を、リスクを冒して引き受けるのだ。
そして、もし万が一、解決できないとなると、無償対応の上、本来責任を感じる必要のない事態なのに、依頼者に対し不要な罪悪感を感じてしまう。
「すいません、解決できませんでした」
何で謝らなきゃならないのか、分からないが・・・でも解決できなきゃ謝ることになるのだ。
■受けなきゃいいじゃん・・・そんな単純な問題じゃない
そんな面倒ごと、そもそも受けなきゃいいじゃん・・・
そう思う人もいるだろう。
でも、線引きしっかりしている、拒否の姿勢を貫ける人達のところへは、そもそもそんな面倒ごと、持ち込まれないのである。
助けを求める人達も、ずるいかもしれないが、ちゃんと人を見て助けを求めている。
この人だったら、言うこと聞いてくれそう。この人はITスキル高いけど、面倒そうだから声かけないようにしよう。
ちゃんと計算しているのだ。
■スマホ業界を支える”IT強め””地位弱め”の方々の存在
もしも、この世の中に起こるスマホのトラブル全てを、携帯ショップの人達が解決しなければならないとしたら、きっと携帯ショップ屋さんは今の体制じゃ、立ち行かなくなるだろう。
それはトラブルを解決できるスキルがあるかどうかは全くの別問題で、そんな問題にまでいちいち関わってしまったら、きっと携帯ショップに勤める方々は過労で倒れるだろう。
でも、ITリテラシーの低い人達までスマホを持ち歩き利用しまくっている昨今・・・
そんな人達が自分のスマホでトラブった時、操作が分からない時、アプリの初期設定が分からなかったとき・・・
〇無償で助けてくれる存在が近くにいなかったとしたら・・・
〇自分のリスクを顧みず、復旧の努力をしてくれる”誰かが”近くにいなかったとしたら・・・
〇ググってググってググりまくって解決方法を探してくれる存在が近くにいなかったら・・・
きっとスマホ業界は困ったことになるだろう。
どこにいるか分からないが、全国各地、確実に存在する”IT強め””地位弱め”の方々の存在のことを、スマホを利用する人達、そしてスマホをビジネスにしている人達には、忘れないで欲しいな~と思う。