見出し画像

#2 わたしの12年史

12年前、皆さんは何をしていましたか?

わたしは現在使用している画材、「マスキングテープ」と出会いました。
今回は絵に関する12年を振り返ろうかと思います。

はじめまして、マスキングテープ

高校生の頃、イラストレーターを夢見ていたわたしは学校を休みがちで好きな時に好きなものを描き、インターネットをし、自由に過ごしていました。
インターネットでは特に「ニコニコ動画」ばかり見ていて、VOCALOID作品の手書きMVを見つけてはマイリストに登録。
「いつかわたしもMVを作れたらなぁ」なんて思ってたりもしたっけな。

そんな日々の中で、とある動画と出会いました。

【鏡音リン】『強烈な色』勝手にPV
https://nico.ms/sm8052131

こちらの動画説明文に
「イラスト(アニメーション)はマスキングテープを貼って描いています」
と、書かれています。

テープ!?どういう事!??

衝撃的な出会いでした。

試行錯誤の日々

先程の動画投稿主、りょーのさんはメイキング動画も投稿されていました。
必要な道具、手順、貼っている様子等を惜しみなく公開して下さっていて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

りょーのさんの当時の制作スタイルは「マスキングテープをちぎって貼る」といった感じでした。
見様見真似で作った初めてのマステ絵のデータは残念ながら残っていないのですが、「ちぎって貼る」というやり方がとにかくわたしに合っていなくて。
センスが圧倒的に足りていなかった。
あまりにも下手だったもんでモチベーションもだだ下がり。
そこから「ちぎって貼る」以外のやり方は無いだろうか?と試行錯誤を始めます。

画像1
手元にデータが残っている最も古い作品

そうして生まれた作品がこちら。

デザインカッターで「切って貼る」やり方がわたしには合っていたみたいです。

わたしは元々アナログ画材では透明水彩をメインに使っていたので、透明水彩(メイン)+マスキングテープ(サブ)のようなイラストが増えていきました。

画像2
2010年頃の作品

その後、「マスキングテープのみで描く」という挑戦も始まります。

2011年頃の作品
主線を一切描いていない作品
輪郭線のみを描いている作品

水彩に頼らず「マスキングテープのみで描く」事に慣れてくると今度は線画を一部分だけ描いたり全く描かなかったりの試行錯誤が始まります。
楽しかったです!

この頃からトレース台を使っての制作をしていました。
漫画のスクリーントーンのようにトレース台で透かして切って貼る感じです。


デザインフェスタへの参加

都内で開催される大型アートイベントへ生まれて初めて参加しました。
記憶が正しければ2013年頃の話です。
わたしが自分のブースで頒布したのは5種類のポストカードのみ。
マステで描かれたイラストをスキャンしてデジタルペイントツールで少し加工して、印刷所さんへお願いしてポストカードにしました。
初めての参加でどれだけ印刷すればいいかもわからず結果として大量の在庫を抱える事となりましたがとても楽しい時間を過ごせました。
お金を払ってわたしの作品を手にしてくれる人がごく僅かでもいるという事実は大変勇気付けられました。

その後もオリジナル作品の頒布イベントに参加するようになりました。
しかし、活動を進めていくうちにある問題が浮上します。

マスキングテープの商用利用について

わたしが初めてデザインフェスタへ参加した際に、使用しているマスキングテープを製造したメーカー様に問い合わせをしました。
いわゆる「商用利用」に当たると考えたからです。
その際のお返事は「問題ない」との事だったのですが、数年経ち、メーカー様が「商用利用」に関するお知らせを発表しました。
簡単に言うと、購入したマスキングテープそのものを使ったハンドメイド作品等の販売は認めるけれどマスキングテープを使ったデザインを印刷したグッズの販売はご遠慮ください。みたいな感じ。
マスキングテープの柄にも著作権はあって、印刷物の販売は「柄の複製」にあたるのでやめてほしいとの事でした。
その事を知って詳しく問い合わせたんですが、この柄は大丈夫、この柄は絶対ダメ等、結構複雑になっていて。
メーカー様によって使用許諾の範囲も全然違っていて、わたしは混乱しました。

「マスキングテープで描いた絵は、印刷したものを販売出来ない」
当時イラストレーターを目指していたわたしにとって大きな壁となりました。
イラストレーターのお仕事はそのほとんどが印刷物の展開だからです。

そこから丸一年ほど絵から離れてしまいました。

印刷して作るマスキングテープシートとの出会い

なんとなしにAmazonを眺めていたら「印刷して作るマスキングテープシート」を見つけました。
A4サイズのそれは自宅で印刷出来るシートタイプのマスキングテープ。
メーカー様のマスキングテープを使う事が出来ないとなった時に「自分で作ればいいかな〜」と軽い気持ちで調べてみた際は印刷所さんにお願いしてマスキングテープを作る場合最小ロット数も掛かるお金も大きかったので諦めていたんですが、このシートなら自宅印刷で必要な数だけ作れるなと思い試しに購入。
これが思いのほか使い勝手が良く、自分の表現したいものを表現できたんです…!

オリジナルマスキングテープのみで描いた初めての作品

自宅印刷なのでどうしても色味が落ち着いてしまうんですが、それがわたしにとってはむしろ合っていたような。
一気にテクスチャーを20種類近く作成し自分だけのオリジナルマスキングテープシートを手に入れる事ができました。
2018年頃からオリジナルマスキングテープシートのみを使った作品づくりが始まります。

これからもよろしく、マスキングテープ

今も変わらず自身で作ったオリジナルマスキングテープシートをメインに使った作品づくりをしています。
最近だとクリエイターさんが作った「商用利用可」のマスキングテープも有り難く使わせていただいてます。

わたしはアナログで絵を描くことがとても好きだったんですが、水彩絵具を使っていた頃は思うように表現が出来なくて苦しいばかりでした。
そんな中マスキングテープで絵を描く、という衝撃の出会いをきっかけに自分の表現したいものを試行錯誤しながら形にできる今に繋がって本当に本当に楽しいです!
12年前に起こった出来事が、今のわたしを形づくっている事がとても不思議で、道中色々ありましたがそれら全部が今に繋がっているんだな〜と幸せな気持ちでいっぱいです。
かなり端折りましたが、絵に関する12年の大まかな出来事でした。

そして現在、わたしはまた色々な分かれ道や壁にぶつかっています。
悩む事も苦しい事も多いんですがもしかしたら12年後「あの出来事が今に繋がってるな〜」と懐かしんでいるかも。
そうなれるように、未来に繋げられるように。
今を精一杯頑張りたいと思います!

いいなと思ったら応援しよう!

背骨/作家・イラストレーター
いただいたサポートはクリエイター活動に充てさせていただきます。お菓子もほんのちょっとだけ買ってしまいます。

この記事が参加している募集