犬を飼うことについて
飼い犬と飼い主との関係で、犬の目線で捉えれば、最も近いものが、子と親だと思います。
子供が生まれたら犬を飼いなさい、という文章がありますが、あれも手っ取り早く幼な子に兄弟を与える、という意味なのだろうと考えています。
犬を飼うということは、飼い主より遥かに短命な子供を作ることと同義でしょう。
種族を超えた関係性について、人間は様々な定義をすることができますが、犬としてみれば一方通行です。
自ら餌を取ることさえできない、愛情によって迎えられ、育てられた飼い犬は、その愛情に頼り続けることしか生きる手段がない。
飼い犬は生まれ、飼い主に出会い、少年、青年、中年、老年と10年余りにその生涯を駆け抜けていきます。
老い衰え、病に苦しむ中でも子として親に頼り続けるしかありません。
どうか老いた犬を看取るとき、そして新たに飼うときは、自分より短命な子供を目の前にしているのだと思っていてほしい。
ペットというものは、残酷との隣り合わせですが、その残酷に様々な言葉を与えることができるのは人間だけの特権なのです。