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2021年のトラーナをどうするか

玩具のサブスクリプション・レンタルサービスを提供している株式会社トラーナ、代表のしだのりです。年の瀬なので、子どもたちは民放番組を、妻が漫画を読んでいる平和な年末、2021年、会社をどうするのか考えます。(読み返すと、だんだん真面目になっていくので文体が変わってる・・ご承知おきください)

2020年はどうだったか

こちらの記事にもあるように2020年終わりにかけて、ANOBAKA、サムライインキュベートによる第三者割当増資を行いました。シードVCとして著名な二社からのフォローオン投資です。2019年に初回の増資を行って、2020年は2回目の増資です。金融機関からの借り入れなども含めると約3億円を自己資本ではない、直接・間接金融にて資金調達を行ったことになります。投資が十分が出来たことにより、トラーナの単一事業であるトイサブ!事業は以下の通り事業成長しました。

■フルタイム:2名から9名

■パートタイム:約20名から約70名

■継続お客様数:約2,200名から約7,600名

■オペレーション拠点数:1拠点から2拠点

2024年には継続お客様数を10万人にまで拡張します。それに対する事業成長としてはまずまずのファーストステップに出来たと思います。チームが大きくなったことにより自分の職責も変わったと思いました。

■現場業務(e.g ゴミ出し、ピック、棚戻し、検品、電話対応)から組織運営へ

■起業家から事業家へ

■個人戦からチーム戦へ

弊社は9月末決算なので、1月はQ2になるのですが、振り返ると以下の通りでした。

2019/Q2:資金調達直後。採用計画に基づき正社員を迎え始め、まだまだ組織ではない状態。増えるお客様とそれに必死に追いつくチーム。自分以外のフルタイムメンバーにはまず現場業務を剥がしてもらうべく採用・教育を強化してもらい、自分は現場リーダーとして現場の最終防衛線となりあらゆる溢れる業務を拾う。毎日全員で改善していた。全員一丸でオペレーションに夢中だった。

2019/Q3:緊急事態宣言に伴い、採用が止まり、一部従業員が出社できなくなる。事業最大のピンチだった。増え続けるお客様に対し、完全にフルフィルメント・オペレーションは追いつかなくなった。自分は昼間と深夜に、妻は早朝と昼間に、出勤可能な限りのパートさん達でなんとか現場を回すことになった。フルタイムのメンバーにはリモートで可能な業務を最大限お願いした。継続のお客様を優先することにし、新規のお客様は1ヶ月お待ちいただくことにした。清掃・発送、個別のお客様へのプランニング、お客様対応、仕入れ、営業キャッシュフロー、どれをとっても厳しかった。この頃、アルコール5リットルを15,000円で買ったり、ニトリル手袋を100枚4,000円で買ったり、資材調達もつらい状況だった。子どもの預け先はなくなった。自分の家や事務所でみんなの子どもを預かり、シッターさんに来てもらうオペレーションでなんとか働く環境を整えた。システム改修の構想を作ることが出来るようになり、将来への備えが始まった。はじめてレギュラー番組でのテレビCM(テレビ東京:シナぷしゅ 素晴らしい乳幼児向け番組です!)も行ったが、コロナになることは想定していない中で契約していたので、この頃お申し込み頂いた方に結果お待ちいただくことになってしまい、想像通りに行かないなと思っていた。この四半期は明らかに睡眠時間が減り、寝られなくなった。

2019/Q4:緊急事態宣言解除に伴い、現場が正常化。採用も進み、この四半期で完全にリカバリーした。営業キャッシュフローの回復が2ヶ月程度、実態の回復に遅れてやってくる中で、次の一手に進もうと思った。ただ、もう少しステップを刻んでもいいと思い、ステップは小さく確実にやっていく方向にした。今の所その意思決定に後悔していない。この頃から財務が自分の中心になり、現場オペレーション、お客様対応は完全に自分はしなくなった。組織としてはいい方向のはずであるが、「自分が現場に入らなければならない」「自分が現場に入らなくともよい」の大きなギャップは理解しながらも、更にその先に「現場最前線にいない時間で何が見えなくなってしまうのか」を不安に思うようになる。しかし会社成長と会社存続には会社のビジョン策定、そこから生まれる計画、財務、は必須で、だんだんとそれが業務になってくる。これを任せる人がいるかもしれないと思い始めた。常にメンバーが改善してくれていた。自分は発送の現場だけ持っていたが、パートタイムメンバーの中での管理組織を作っていったことで、自身にエンジンを持ち改善していく、自分の理想の発送オペレーションチームに近づいていった。

2020/Q1:資金調達を終え、気づけば同業が何社も生まれていた。好ましいことだと思う。お客様は選択出来るようになり、よりよいサービス事業者だけが生き残る。私達のトイサブ!は、何が絶対的な価値なのか。社内で議論することが増えた。デザイン担当がサービスデザインも含めて議論をリードしてくれ、今も長い時間をかけて私達の提供できる価値のAsIs-ToBeを議論している。玩具を取り巻く環境は、「選ぶ⇒買う⇒楽しむ⇒飽きる⇒捨てる」このサイクルで市場が成り立っている。エンジニア時代にログばかり見ていたことからだと思うんだが、数値にして傾向把握するのが好きな自分は玩具は適正解があるだろうなと直感的に思い、「届く⇒楽しむ⇒評価する⇒交換する」というサイクルに変え、その裏では長期利用評価データに裏付けられた玩具選定が行われるほうが顧客目線に立っている体験だろうと考えてサービスをはじめた。大学のときに受けたエネルギーと環境の授業、自分の幼少時の体験と親としての体験も大いにサービスの根幹にある。模倣は簡単であるため、自分たちで作った新しいサイクルを前提として、もう一つ上のステージに事業を上げないといけないと思った。その姿はまだ見えていないけど、もう自分だけでなく、組織でそれに向き合う体制になった。率直に嬉しい。なんてことだ。

2021年の成果(きっとこうなる・・!)

自分たちの提供価値を、もう一つ上のステージに上げ、それが言語化出来ており、サービスにも反映され、それにより利用する家族が「トイサブ!のサービスを使うことで家族がハッピーだな」とより感じる。今のトイサブ!では物足りない。数あるサービスプロバイダの中で、真っ先にファーストペンギンとして先に出て機能実装していく。

オペレーション中心の組織から、オペレーションとエンジニアリング、マーケティングとバックオフィスの四輪駆動組織になる。大学生のときに傾倒した本に、「Kite flying leadership vs Airplane leadership」ということが書いてあって、目指しているのはまず飛行機型で、エンジンを積み、自身で動力を持っている状況を作れるリーダーシップ。この四輪駆動それぞれ別々に動きながらの荒れ道を真っ直ぐ進む4WDなチームにしたい。自分の役割はなんだろう、車であるならカンガルーバーかな・・・

Opexを更に引き下げる施策に対し研究が進んでいる。社会価値があっても、儲けは薄利では事業として面白くない。1つ1つのプロセスの無駄をなくして、1つのエンドトゥエンド・オペレーションで100円でも削って利幅を大きくする。OpexR&D。「オペレーション支出をリデュースしてデストロイ」そういう感じ。Opex削減は昔アルバイトしていたマクドナルドを参考にしたい。徹底したマニュアル化、強力なサプライチェーン、QSC+Vに基づいたレストランオペレーション、時代の先を追うシステム。

その先10年くらいのスパン

Hasbroを超える企業価値になる。玩具産業の流通を大きく変えることで。今までそんなに大きく流通構造(買い方、売り方、使い方)が変わった業種はあっただろうかと思っていると、携帯電話はそれに近いのではないかと思った。キャリアによる割賦販売やベンダーによる分割払いが生まれたり、それを買い取る二次流通が生まれたりした。二次流通があることで、買い取っているようで、実質は利用に費用を払っている構造が生まれた。資源は有効活用されることになる。玩具の二次流通を作り出すのは意義がないことではないはず。そのモデルを、エンジニアリング、オペレーションで昇華して、Hasbroを超えていく。日本でこんな中期目標を持つ会社は他にはなさそうだ。そうなっている頃、自分たちが作り出している良い親子時間の総量すごいことになっていると思う。ふふ。

大事にしたいこと

最高責任者としての自分(何があろうと責任は自分にある)がいて、その周りにチームメンバーがいて、その先にお客様がいる。その先にもしかしたらお客様になってもらえるかもしれない人がいて、その先に社会がある。これは、立体的には逆円錐の形になっていて、自分は一番底にいる。底から、こっちは楽しいよ!と声掛けしている、声が届く限りで・・チームメンバーはそれを増幅してくれる。お客様も増幅してくれる。そんな形をイメージしている。The customer is always rightと言われ続けて育ったので、常にどうしたら"お客様"は"満足"してもらえるか、そのための資本配分、それによって生まれるサービスを定義し続ける、という順番で考えている。ここでいうお客様とは常に変化している。満足ですらも変わる。「いいサービスだけど飽きてきたな」これは満足ではない。自分の半径5mにいるチームメンバーが働く環境を満足なものに出来ないと、その先にいるお客様にも満足はされない。ここでいう、チームメンバーの満足も、常時変化・進化している。自分がまず大事にしなければならないのは、ここのはずだと思いたい。

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